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上場会見:D&Mカンパニー<189A>の松下社長、医療・介護インフラを守る

D&Mカンパニーが11日、東証グロースに上場した。初値は公開価格の1000円を30.8%上回る1308円を付け、1186円で引けた。診療・介護報酬債権などを買い取るファクタリングなどの「F&Iサービス」と、コンサルティングの「C&Brサービス」、人材紹介・派遣など「HR&OSサービス」で医療機関などの経営を支援する。松下明義社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

顧客数拡大と新サービス導入で単価を向上させ、さらに、医療機関のM&Aニーズも取り込みたいと話す松下社長

―初値の受け止めは
投資家が決めることなので一喜一憂せずに、精進してもっと大きく成長していきたい。

―いつ頃から上場を意識していたのか
創業して3年目ぐらいから上場したいと考えた。我々の真骨頂は資金を入れて顧客と同じ船に乗って一緒に汗をかくことなので、どうしても資金調達の多様化と強化が必要だった。何より医療・福祉の顧客は警戒心が強い。信頼という意味でも上場がビジネスにプラスになるので、早くから考えた。

―今後の利上げ局面での営業は、現状の対策で乗り切れるのか
平均の運用利回りは7%程度で、調達が大体2.2%だ。ほとんどが短期で今のところさほど大きな影響を受けていない。上がったとしても顧客にその部分を転嫁できる余地がまだある。契約期間は1年で一回切って、もう一度継続する形を取っているので、顧客に(転嫁を)頼みやすい。工場などに投資をして資金が固まっている状況ではないので、大きな影響が鮮明にあるかというとそうでもない。

―今後注力する医療機関向けのM&Aは特殊とのことだが、法務デュー・ディリジェンスもかなり難しいのか
組織や診療報酬の精査が特殊な部分だろう。医療の場合は法人のやり取りをするので、企業間でも同じかもしれないが、そこに変な債務があるのか割と不透明なところがあるので特殊だろう。法人によって適用する法律も違う。

―人材サービスは、登録者数の減少などが原因で、今期に減収の計画だが、来期以降の反転の見込みは
今期は身を縮めて、ベースを固める時期と考え、それ以降は大きく伸ばしたい。とりわけ東京の拠点での立ち上がりが今ひとつだったのが、前期に伸びなかった大きな理由で、それを今期中に立て直して来期以降の成長に繋げていく。来期以降は高い成長率を復活させていく。

―今後、ソーシャルレンディングを含むファンドの組成、中長期に金融商品取引業の登録や不動産特定共同事業許可を取得し、金融機関に依存しない独自の資金調達手段を得たいとのことだが、どのようなことか
我々はファイナンスするに当たり、概ね銀行からのバックファイナンスに頼っている。私も元々銀行員なので(理解しているが)、銀行が1つの会社に融資をするパイはそれなりに決まってくる。ある程度時間も必要になる。最終的にはいろいろな判断を銀行に委ねるというか、銀行の判断も我々の判断に影響を及ぼすので、独自で(資金を調達する)。

我々の社会インフラを守るための事業でもあり、広く皆さんから資金を集めることはその趣旨にも合っている。銀行は銀行の考えでしかやれない。医療・福祉は少し特殊で、支援できるところもしていないのが今までの銀行だったと思うので、その意味からもそのような形で資金を集めたい。そのほうがより多くの資金が集まると見ている。

―ファクタリングに強みがあるが、そのほかの金融手法を使うには別のノウハウが必要な気もするが、それほど難しくないのか
違うプロジェクトには違うノウハウがあるので、専門人材を採用しなければならない。これも上場が追い風になると想定している。

―株主還元の方針について
現状の配当性向は4.3%で、同程度で(配当し)、基本的に成長投資に回して、時価総額をより大きくしていくことに重点を置き、投資家の皆さんに喜んでもらいたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]