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上場会見:テクニスコ<2962>の関家社長、広がる放熱需要

26日、テクニスコが東証スタンダードに上場した。初値は公開価格の560円を63.21%上回る914円を付け、776円で引けた。半導体から出る熱を逃がす部品であるヒートシンクや、ガラス製品などを製造・販売する。「切る」・「削る」・「磨く」・「メタライズ」・「接合」という5つの加工技術を組み合わせる「クロスエッジTechnology」に強みがある。戦略製品である「シルバーダイヤ」の量産化のメドが立っている。第一製砥所(現ディスコ<6146>)の研究開発部門として、個人出資で1970年に設立。ディスコの出資比率が1989年に100%になり、2014年にMBOを行った。関家圭三社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

最終製品のイメージとして、高出力レーザーの仕組みとその利用場面について、技術の強みとともに説明する関家社長
最終製品のイメージとして、高出力レーザーの仕組みとその利用場面について、技術の強みとともに説明する関家社長

―今日の株価の動きについて
我々がどうこうできるものではないと認識している。我々に対する期待が大きかったという結果が出たと思っている。これから、非常に責任が重く、事業展開をさらに良くしていかなかなければならないと感じている。

―上場の決断のポイントはMBOか。その前からあったのか。
2014年にMBOをする前に、2000年頃にITバブルがあった。その頃にFiber To The Homeで日本中に光ファイバーを配線するに際し、当社の通信用のヒートシンクが非常に当たり、売上高52億円を達成した年があった。そこを機に上場しようという話が1度起こった。

ただ、翌年に通信・ITバブルが崩壊してガタ落ちになったところで挫折を味わっていた。その後、2014年のMBOの前にも、1度上場プロジェクトを作ったが、なかなかうまく立ち上がらなかった。MBO後に、独立したからにはしっかりと足元を固めて、もう1度上場チャレンジしようという流れで、今回に至っている。

―上場前審査では過去2年の業績が重視されるが、バブルが弾けた辺りの業績悪化で挫折したのか
ITバブル崩壊の後は、売り上げが3分の1ぐらいに落ち込んだ。当時、私はテクニスコにいなかったが、3分の1となったことで実質的に諦めた状態だった。

―既上場企業で、ヒートシンクでの競合はどこか
特に高出力レーザー向けヒートシンクでは京セラやMARUWAが常に入札に参加する競合になっている。

―その競争のなかでは、かなり強いのか
特に中国市場が急激に伸びているが、この市場で6割程度のシェアを獲れていると見る。顧客は大体2社購買する。そのなかで、ほとんどの顧客で1番に購買されていることからその程度のシェアを持っていると考えている。

―2021年~2022年6月期に中国向けの販売が好調だった一方、欧米のメーカーとも取り引きしている。世界の産業用レーザーの業界で、重要な位置を占めるのか
中国に限らず、欧米の重要なメーカー全てに納めており、重要な位置付けと認識している。

―将来的な売り上げや利益の目標は
計画という形ではないが、これから売り上げの伸び率で15%。5年後ぐらいに全体で100億円をイメージできればと考えている。売り上げの構成も、新製品のシルバーダイヤが3割程度で、既存のヒートシンクが3割ほど、ガラス製品が3割、そのほかが1割というボリュームで展開できれば順調と言って良いのではないか。

利益率も足元では少し下がったが、5年後の100億円の体制で、営業利益率で10~13%。利益率が取れる形でうまく持っていければ、シルバーダイヤのほうが17~18%までいけるイメージを持っている。

―ほかのKPIはあるか。株式市場からの評価という点ではROICなども含めて今後重視する指標は
基本的に質を高めていきたい。売り上げの規模はその結果として付いてくるだろう。顧客からの評価、投資家も含めてステークホルダーからの評価をどう高めていくかが課題と見ている。我々の理念のなかで、「次も期待される存在となる」という言葉があり、あらゆる人から次も期待される存在になるべく活動していきたい。

―シルバーダイヤモンドの展開可能性について。今までの物よりかなり性能の良いヒートシンクが作れるようで、いろいろな展開の可能性があるとのことだが
元々、シルバーダイヤも高出力のレーザー向けに開発・製造のプロジェクトをスタートした。マーケティングをしていくうちに、それ以外の分野でもサーマルコントロール(熱の処理)をすることが非常に重要な業界が多々あることが分かってきた。

半導体分野も含めて航空宇宙などにも使用されるため、今、試作品が評価されている件数が100件を超えている。最近はAIなどが盛んになってきているが、そういう(高速の)処理をたくさんしなければならないものに関して、熱の問題が多く出てくるだろう。そういった分野に期待が持てる。

―シルバーダイヤの市場の広がりはどの程度のものか
これから開発していくところではあるが、先ほど言ったように5年後ぐらいに30%・30億円ぐらいで、まだここも手探りで、30億円を超えてくる可能性ももちろんある。今評価中の各業界のトップクラスのメーカーが、どういう形になるか、まだ公表できるレベルではない。追って、記者会見の回を重ねるごとにいろいろな情報が出てくると思うので、今回は5年後に30億円を目指すというレベルでご理解願いたい。

―クロスエッジTechnologyの展開可能性について。今までにないものを出していければとのことだが、どのようなものを広げていくイメージか
過去のテクニスコの歴史のなかで、顧客からの要望に真摯に応えていくことで身につけた技術が、幅も厚みも広がって、今のクロスエッジTechnologyがある。これからも顧客が持つ大きな課題に対応していくことで幅を広げていくことになる。最近では、加工が切削加工からレーザー加工に幅が広がっている。そういった新しい加工は、積極的に取り入れていく姿勢を常に持っていくことで広げていきたい。

―調達資金の使途は。広島工場に全額を注ぎ込むのか
7割ぐらいは広島工場の新設で、2割が中国の工場、1割がシンガポールの新製品の設備だ。

―設備投資について2026年1月に完成予定とあるが、どんなところにどのくらい力を入れていくのか
2026年1月は広島工場だ。広島工場が非常に手狭になっているというか、拡張の余力がなくなっている。この2年の中国向けのヒートシンクの増産のために、従業員の食堂の半分をクリーンルームに改装して運営している状態だ。お昼も交代で食べる状態になっており、次の拡張のために、どうしても次の工場が必要で計画している段階だ。

―ヒートシンクに最注力するのか
広島工場で手掛けているものは、ガラスもあるが、全体的に分散するような形になると想定している。

―海外の投資家に目を向けているのか
特に動いているわけではないが、投資家に国内も海外も色を付けるつもりはない。

―配当は
安定配当をしていきたいが、配当性向をどの程度にするかはこれからじっくり議論する。今発表できる数字は持ち合わせていない。やはりメーカーなので、安定した配当をできればと考えている。

―いつ頃か、2023年6月期は無配だが
2023年6月期は既存の株主しかいないので、ここで無理に配当してもしょうがない。それよりも、設備投資に回す。1年後にどうするかはこれから議論していきたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]