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上場会見:コロンビア・ワークス<146A>の中内社長、消費者主体の不動産開発

コロンビア・ワークスが27日、東証スタンダードに上場した。初値は公開価格の3300円を13.48%上回る3745円を付け、3725円で引けた。1都3県を中心に賃貸住宅やオフィス、ホテルなどを開発し、大手デベロッパーや投資家に販売する。パーソナルトレーニングや朝食を提供する賃貸マンションなど、周辺地域や顧客ニーズに合わせた商品開発で付加価値を高めている。オリックス不動産出身の中内準社長が2013年5月に設立した。中内社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

社会課題の解決や多様なライフスタイルの提案といったコンセプトで、建物とサービスが一体となった都市開発を進めてきたと話す中内社長

―初値が公開価格を13.5%上回り、終値に関しても3700円台だった。株価の受け止めと、投資家への意気込みを聞きたい
上がって良かったというのが第一印象で、今回が第2創業期と捉えている。今10年と少しを迎えて、今年の5月で11周年になるので、また次の10年に向けての出発点と捉えている。投資家の期待に沿えるように、ともに成長していければ良い。

―今の街は利益を追求するあまりコンセプトがない建物に溢れているとのことだが、これまで不動産業界にいて、それを実感した経験は
例えば、オフィスビルが適している土地であっても、住宅が専門の会社がたまたま土地を買ってしまうとマンションになってしまう。そういうのは、基本的には消費者動向とはあまり関係なく、あくまでも自社の営業マン、自社のサービスを満たすために開発する。

我々のいる業界は古くからある業界で、特に資本が必要なので、どうしても資本優位の会社の主導の下になってしまうところが、前々から問題点だと思っていた。そこを消費者主体の開発に取り戻したい。

―それをやるには資本は必要ないのか。資本を追いかけていくのか
資本が必要だ。

―規模が小さくて特徴があるというより今のコンセプトの下で規模を追いかける方向性か
そうだ。

―最もこだわりたい経営指標は
ROAをKPIとして置いており、それを高めていきたい。営業利益の総額についても増やしていきたい。

―直近でのROA目標は
8%程度を維持しつつ、それをさらに高めていける経営を行いたい。

―中内社長は明和地所とオリックス系の不動産会社を経てコロンビア・ワークスを設立し、直近10年間で急成長したが、設立の経緯や短期間でここまで大きくできた要因は
35歳で起業すると決めて、明和地所を選び、オリックスに移ってリーマンショックを経験して、2年後の37歳で起業したが、私の感覚では全然大きくなれていない。自分たちで経営して貸借対照表を自分たちでコントロールしながら、となると、これぐらいの成長だったという成績だ。宮仕えの時は、数字は今よりももっとやっていたもので、少し不甲斐ない結果に終わっているのが正直な感想だ。

―今後10年後、5年後でも3年後でもどういう事業体で、売上・利益の規模を含めてどういうイメージを持っているのか
イメージは、自社で総資産だけではなくAUM(Asset Under Management)を抱えているアセットを含めて1兆円程度のマーケット規模まで持っていきたい。

リーマンショックを経験した時に、前職もかなりの痛手を被ったが、当時はいわゆる新興デベロッパーという会社が続々と潰れていった。大きい財閥系の会社と中身の何が違うかと言われると、同じだった。ある程度の規模があると、いろいろな人に支援してもらえる。そういうところまでこの10年で持っていきたい。

―アセットマネジメントへ進出し、1兆円と言われてもイメージができない。その時の売上や利益の規模は
売上はKPIに置いておらず、営業利益で今の20倍程度を確保したい。
水山直也取締役:単体の総資産で1兆円ではなく、アセットマネジメント会社で抱えるSPCの規模、AUMをひっくるめて1兆円なので、ROA8~10%程度の成長をさせていきたというのは、当初からあった。

コロンビア・ワークスの連結ではその程度の利益になると想定している。加えて、当社の開発の手法としては、自社開発型というオーソドックスの開発だけではなく、開発型SPCでオフバランスを図りつつ、当社のノウハウである開発を促進させていく。

そこで資産の高効率化もROAを高めるうえで使っていきたい。貸借対照表に乗るアセットだけではなく、総合するとどうしても膨らんでしまうというか、大きくなって1兆円と説明している。

―足元のAUMは
今は、アセットマネジメントはないので300億円台半ばぐらいだ。

―アセットマネジメント業務は今年中に認可が降りるのか
中内社長:その予定で動いている。
水山取締役:行政マターなので、確定的なことは言えないが、予定としては今年中だ。

―複数のアセットタイプを抱えて事業をしようと考えた背景は
中内社長:私も水山取締役も元々オリックスだが、どうしても大手も同じだが、マンションはマンションの部署がある。例えば、我々がホテルを開発したい時に、住宅の部門と競合すると、向こうは住宅のプライシングしかできない。我々は全てのプライシングができる。1人の営業マンで全てのアセットタイプを扱うので、全部のソリューションが提供できる。メニューとして全てやっていくことが重要だ。

―起業に当たっては最初からその構想だったのか
そうだ。

―テーマのあるマンション開発をしており、居住者に対するサービスのバリエーションは今後時流に合わせて変わっていくと思うが、こういうものが来る、面白いというものはあるのか
水山取締役:アセットタイプを多様に持っていることと、サービス付きマンションは連続している。立地に応じてエリアマーケティングを徹底したうえで、こういう人たちが住むうえでは、こういうサービスがあったら良いのではないかというものを抽出したうえでの開発を主眼に置いており、強みと思っている。

今後について、エリアとしてのニーズに左右されるが、ライフスタイルには短期間で変わるものと、中長期的にしばらく維持できていくものがあって、一過性の流行り廃りがある。我々は不動産という息の長いものを商品としている。あまり流行り廃りがないサービスのなかで、我々の実績でいうと、健康や美容をテーマにするなど一定のニーズを叶えられるところを攻めていく方針を取っている。

―ホテルの開発や運営の部分の売上比率を上げていきたいとのことだが、次に注力したいアセットタイプや運営比率をどのように高めていきたいのか
コロナ禍になって、昨年の売上が全て住宅開発になっていた。2019年は住宅が半分、残りがそれ以外で、その形に戻していきたい。ホテルの開発を促進していきたい。率としては、現在、不動産運営サービスが5%ぐらいだが、将来的に20%程度まで伸ばしたい。

―ホテル開発で、沖縄や箱根で予定があるそうだが、進んでいるのか
今、設計を行っている状況だ。

―今年はインバウンドが回復してホテルが目されるアセットだろうが、コンセプトなどは
方向性としては、沖縄に関しては食にこだわったリゾート開発を行っていく。箱根に関しては、コロナ禍で、いわゆる高いところが増え一般の人が気軽に行けるホテルがない。温泉を自由に楽しんでもらうために、少しリーズナブルに提供したい。

―どのようなIR活動をしたいのか。アピールしたいポイントは
ロードショーの時に、住宅の比率が多いので、いわゆるワンルーム販売会社と同義に扱われた。事業内容をもう少し詳しく説明していきたい。ワンルームのような商品もあるが、エリアによって2人住まいや子供がいる家庭向きのさまざまなものを提供している。ワンルームを区分で販売する会社と同義に扱われているので、丁寧な説明、IR活動に努めていきたい。

水山取締役:場所が違うのに同じような建物を建てて、利回り何%だという不動産開発をしているわけではなく、立地に応じて、利用者の効用が高いと、賃料・収益還元的にはそれが最後に帰ってくる、その分賃料は当然に上がってくるという目線で取り組んでいる。

その開発の手法が当社の最も強みとしている部分なので、投資家に丁寧に伝えたい。一見するとよく分からないと言われる会社だが、実績を通してということかもしれない。

―今回の通期予想でファンドなどフィービジネスの分を入れていないので、業績も上振れする可能性もあろうが、それも踏まえて株主還元は
中内社長:配当性向については15~20%と伝えているが、当然、利益成長を毎年積み上げていきたいので、そこで株主には満足してもらえるように努力したい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

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