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上場会見:グリーンモンスター<157A>の小川代表、アクティブユーザー送客に強み

グリーンモンスターが29日、東証グロースに上場した。初値は公開価格の980円を73.47%上回る1700円を付け、1619円で引けた。投資学習支援事業として、FXや株式投資、資産形成をゲーム感覚で学習できる無料の体験型アプリを開発・運営する。主なアプリは「FXナビ」と「トウシカ」、「カブタス」。小川亮代表が東京証券取引所で上場会見を行った。

投資への心理的不安を解消には、ゲーミフィケーションや段階的なコンテンツ開放による継続学習という独自の学習プロセスを盛り込んだ体験型投資学習アプリが有効だと話す小川代表

―初値が公開価格を上回った
開原信一CFO:市場から高く期待されていると感じており、身の引き締まる思いだ。株主や投資家の期待に応えられるように成長していきたい。

―今日は時価総額50億円強だと思う。政府がリスクマネー立国を掲げ、小粒上場はやめてほしいという要望を出している。そのなかで上場しないで非公開のまま成長させる選択肢もあるが、なぜここでIPOを選んだのか
小川代表:確かにもう少し後での上場も、可能性としてはあり得た。だが今、新NISAなどで社会的な注目が集まっているこのタイミングで上場して、投資家と一緒に成長して、より大きくなっていきたいと考えて選んだ。

―広義のフィンテック企業だろうが、公開価格を決めるに当たって類似企業比較を、どんな業種・会社としたのか
開原CFO:公開価格を決めるに当たって、広い意味での競合では、ZUU<4387>やミンカブ・ジ・インフォノイド<4436>があった。似たような業態とまでは言わないが、価格目線ではセレス<3696>やポート<7047>を参考にした。

―海外の先行フィンテック企業で今後目指していきたい会社は
小川代表:具体的にベンチマークにしている会社はない。東南アジアでも例えば、タイなどでは国民向けの金融リテラシーを上げていく取り組みは始まっているので、我々が海外に出ていくことを早期に具体的に検討したい。

―アフィリエイトサービスプロバイダー(AFP)の、グリーンモンスターのビジネスモデルでの位置付けと、それらとの良好な関係がキーになるのか、今後の収益のモデルを続けるうえでの重要性などを聞きたい
エンドの広告主は確かに証券会社やFX会社だが、直接取引しているわけではない。AFPという業態の会社を経由して金融機関と取引している。平たく言うと広告代理店のような位置付けと考えてもらいたい。

AFPとのみではなく、証券会社とAFP、当社の3社で、月例でミーティングをして非常に有効な関係を築くことができている。実際に、我々はアフィリエイトの報酬単価も高い金額に設定されている。

―継続できる自信は
2点ある。1つは送客数で一定の規模を取れる、送客できる点が評価される。もう1つ、我々は座学ではなく体験型で投資学習をしてもらうので、証券口座開設後に休眠口座になってしまう確率が少ない。ユーザーがアクティブに投資しているので、証券会社からも「アクティブな投資家を送り込んでくれる」ことが評価され、報酬単価を引き上げてもらっている。量と質で良好な関係を築いていくことになる。

―投資家は参入障壁の低さを懸念したが、送客数やアクティブ投資家を送り出す確率が高いということで、参入しやすいが、そうは負けないということなのか
教育アプリを作るだけならできるが、そこにゲーミフィケーションを混ぜ、マーケティングオートメーションを入れるところでは、細かいことをやっており、同じものを作るのは難しい。

もう1つは、アプリストアのエコシステムのようなものがある。たくさんの累積ダウンロードを稼いでいるほうが検索上位に出る。今から新規参入する会社が我々と同数の累積ダウンロードを取っていくのはかなり難しいと思うので、作ることと顧客を獲得することの2点から競合はなかなか出てこないのではないか。

―広告費を原価に計上している狙いは
アプリインストールに対する広告費を掛けているが、インストールが広告媒体の仕入れのような形で、ユーザーがインストールすることを仕入れと見て、それを口座開設につなげて売上に転換していく考えなので、原価として計上している。

例えば、直接インストールにつながらないマス広告のようなものは、純粋な広告宣伝費として販管費に計上しているが、ネット広告のように「1インストールいくら」というものは仕入れに近いとして原価計上している。

―事業ポートフォリオの多角化とは
今は無料でアプリをインストールしてもらい、投資学習をした人が、我々のアプリ経由で証券会社の口座を開設すると、証券会社から、アフィリエイト報酬として売上を受け取る。それは刈り取り方で、非常に短期間で全額を回収できるのは強みだが、ライフタイムバリューをより引き上げていきたい。その考えの下、例えば、広告や課金を入れていく。

もう1つは、オンライン教育や対面の投資スクールに広げていくことで、1ユーザーあたりの生産単価を上げていきたい。

現在は個別株のトレードやFX、積立投資のみが金融教育でテーマになっているが、例えば、投資信託や株主優待・配当、デジタル証券、CFDなど手を付けていない投資テーマがたくさんある。そういったアプリを展開していくことで、より広いユーザーにリーチして、ビジネスを進めたい。

―金融教育の部分、証券会社サイドの考えに立ちがちなコンテンツが提供されているのではという話も聞くが、ポリシーはあるのか
我々は1社のみの広告取引ではなく、複数社と並行して取引しており、1社に偏らないことを守っている。

広告表現や金融商品取引法に触れず、なるべく中立公平なコンテンツの提供を心掛けている。その一環で、(グループ会社の)FPコンサルティングは、独立系と言われるファイナンシャルプランナーの事務所で、金融商品の販売を前提にしない中立公平なアドバイスをしている。

多くのFP事務所は保険販売や金融商品の販売を前提にしているが、当社はグループで一貫して中立公平に、必ずしもセルサイドに寄らないポリシーを持ってビジネスを運営している。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

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