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上場会見:DAIWA CYCLE<5888>の涌本社長、効率よりも接客重視

8日、DAIWA CYCLEが東証グロースに上場した。初値は公開価格の1610円を11.80%上回る1800円を付け、1677円で引けた。同社は、自転車とパーツ・アクセサリーなどの販売や、整備・修理サービスを手掛ける。トラブルに際しては、出張修理サービスも行う。8月末時点で、国内に直営114店舗とフランチャイズ6店舗を展開。自社企画・開発のプライベートブランド(PB)商品も扱う。ECサイトでも販売し、直接配送のほか店舗でも受け取ることができる。涌本宜央社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

首都圏でのドミナント展開を通じて、他の企業には真似のできない出張修理によるアフターフォロー体制を構築したいと話す涌本社長

首都圏でのドミナント展開を通じて、他の企業には真似のできないアフターフォロー体制を構築したいと話す涌本社長

―初値の感想は
株主に、まずは認めてもらえたのかと思っている。

―涌本社長が1人で引っ張ってきたという印象がある。経営体制として、これから従業員が何百・何千人、店舗が200から400に拡大し、中堅・大手になる場合、組織的な面の見通しは
上場を決意した段階で最も大事にしたかったのは、オーナー企業からの脱却、パブリック企業になることだった。指摘のように、多分今までは、私の意思決定によって会社を引っ張ってきた。IPOを機に、各部署や個人が自立し、自分たちの責任でやるべきことをこなしていくことを1番に掲げて動いている。これからは、私のトップダウンではないことを意識して、パブリックカンパニーとしてしっかりやっていきたい。

―同様の業態では、あさひ<3333>もPB商品を販売し、ネットで注文して店舗で受け取ることにも取り組んでいる。あさひとどう違うのか
我々は、あさひよりだいぶ後からチェーン展開してきた会社なので、あさひの強みは見てきた。

いかに独自性を持てるかがポイントになる。効率を重視したビジネスだけを追求するのではなく、例えば、当社の代名詞となる出張修理も独自性の1つに挙げられる。後発型だからこそ、自分たちの大事なところを残しつつ、そこが今のニーズと合致する。

電動自転車にしても、例えば、スーパーに行って雨が降ってきてパンクしてしまうと立ち行かなくなる。電動自転車を押すのも重い。その時に電話を1本かけてもらえれば、そのスーパーまで直しに行く。効率だけを見ると、来店して修理してもらうほうが簡単だ。そういうところを大事にすることこそが、他社との差別化になると考えている。

―割と泥臭く
泥臭くいきたい。

―ホームセンターやライバルの自転車販売店と競争するに当たって、特に強く意識してきたことは
自転車は特殊な乗り物で、説明を聞かないと同じように見える部分もあるだろう。だからこそ説明する。そこに意味があり、先に効率面を考えた企業は、接客を簡略化する、人員体制をできるだけ少なくするところから入るだろう。

しかし当社は、専門的なものをしっかりと説明するところから入った。おそらく他社とは切り口が違う。先程、「泥臭く」と言ってもらったが、泥臭くとも大事にしていきたい「人」に関して、スポットを当てていきたい。それが1番他社とは違うところだ。

―電動アシスト自転車の売り上げが市場よりも伸びているが、なぜか
電動自転車は高額で、機能も多様化している。顧客の購入時にニーズをいかに聞き出せるか。商品アドバイザーではなく、顧客の生活にマッチする商品を提案する「ライフアドバイザー」を意識して、社員教育をしている。

当店に来て自分の生活に合った自転車、「こういう使い方をするのにどれが良いのか」という問いに対し、「だったらこれです。理由はこういうことなので」と説明する。そこまでしっかりと接客することで、顧客が納得している。そのため、当社は他店よりも電動自転車の販売比率が高いと思う。

―人材育成に強みがあるが、どれだけ長く働いてもらうかという観点では、何か行っているのか
金子陽一取締役:モチベーションを持ってもらうところが非常に重要だ。業務の1個1個のステップアップをレベル別研修で細かく分け、それで達成感を味わってもらう。また、新たな仕事の範囲を広げていくことでモチベーションアップをして長く勤めてもらう。

涌本社長:店舗で働いた後に、顧客のニーズを聞き出せるようになる。それが当社の1番の強みで、そこから各専門職に移る準備もできている。そういった意味では長く勤めてもらえる。

―首都圏に潜在的な出店余地があるとのことだが、一方で、競合相手などハードルは
我々は大阪で勝ち上がってきた自負を持っている。大阪は特殊な街で、堺市に元々自転車メーカーが多数あり、有名なところではシマノ<7309>もある。いろいろな大型チェーン店もあるが、それ以外に大阪だけのチェーン店もある。そういう激戦区の中で我々は勝ち上がってきた。サービスと商品、人を、我々の勝ちパターンとして持ち合わせて、首都圏で勝負すれば勝てると見ている。

1つ不安要素があるとするならば、出店候補地をいかに探せるかにある。そこに関しては、出店開発の人材を増員して、地主と直接話ができるような環境作りなどもしている。フォロー体制はできあがっている。

―出店は、基本的に土地を買うのか
賃貸だ。

―今は地方のチェーン店との提携を進めているが、緩やかなアライアンスを志向するのか、将来的にはM&Aの可能性があるのか
現在は、M&Aは考えていない。それよりも、地域ごとに、地域密着で事業を運営する自転車店と密に提携することで、その地域の自転車生活を支える。それで十分だと今の段階では思っている。しかし今後、状況も変わり、もしそういう環境になった時は検討したい。

―差別化要素としての商品や人材、サービスはよく分かる。東証グロースへの上場なので、中長期的に成長するための「持続する競争力」、M&Aや新事業などの見通しを聞きたい。競争相手がやれることをやってくると、首都圏でも、人口動態的にも自転車を使う人口がそれほど爆発的に増える国ではないので、そのあたりはどうか
切り口が変わるかもしれないが、中期的に200店舗の出店計画を立てており、それはあくまで通過点だと考えている。この記者会見ではその先の話を明確にしにくいが、200店舗は一定の期間でクリアできると想定している。

ただ、その先に向けていろいろと計画を立て、準備している。確かに今やっていることの延長は非常に大事で、その先に何かを見つけないと、さらなる成長ができないのではないかというのはその通りだ。今はっきりしたことは言いにくいが、200店舗の先を見越した準備をしている。株主にも逐次報告をして、我々の成長の理由がどこにあるのか報告したい。

―首都圏などでシェアリング型の電動2輪スクーターが登場しているが、事業上の脅威となるのか
街の駅近や観光地など、街づくりとして多少なりとも市場はできあがってくるだろう。しかし、その物を借りに行くまで距離がある。自転車は家から一歩出た時からまたがる。そして買い物をして家まで自転車で帰ってくるものだと捉えているので、基本的に使う人のニーズは違ってくるだろう。

―高齢者の自動車運転免許の返納の話がある。それに伴ってモビリティのニーズが変動し、自転車を使いたい人たちもいるかもしれない。シニア向けについては
免許返納の受け皿として、警察との連携で、高齢者にいろいろとポイントを付与している。いかに自転車に乗り換えてもらうかという活動はしている。とはいうものの、高齢者が安心して自転車に乗って生活を送れるとまでは言えないのではないか。そこに今後、DAIWA CYCLEが少し踏み込んでいければと思っている。

―今後、既存店の売り上げ台数などを月次で開示するつもりはないか。あさひも行っており、見ていると状況がよく理解できる
齋藤勇治取締役:現在検討中だ。

―株主優待を出す予定は
涌本社長:具体的に今これといって決まったことはないが、株主にしっかりと還元できるように考えていきたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

首都圏でのドミナント展開を通じて、他の企業には真似のできない出張修理によるアフターフォロー体制を構築したいと話す涌本社長

首都圏でのドミナント展開を通じて、他の企業には真似のできない出張修理によるアフターフォロー体制を構築したいと話す涌本社長


Updated: 2023年11月8日 — 19:30
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