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上場会見:サイエンスアーツ<4412>の平岡社長、声・文字・映像で現場をつなぐ

24日、サイエンスアーツが東証マザーズに上場した。初値は付かず、公開価格(1710円)の2.3倍となる3935円の買い気配で引けた。同社は、IP無線アプリ「Buddycom(バディコム)」を提供する。Buddycomは、運輸や小売などの産業で現場の仕事に従事する「デスクレスワーカー」をつなげるライブコミュニケーションプラットフォーム。鉄道会社や航空会社、GMSなどいわゆるラージアカウントでの導入が多い。平岡秀一社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

「かんたん」、「間違わない」、「速い」という現場で求められるプロダクトの要素について話す平岡社長

「かんたん」、「間違わない」、「速い」という現場で求められるプロダクトの要素について話す平岡社長

―初値が付いていないが
株主の期待に身が引き締まる思いだ。

―今のタイミングで上場した狙いは
知名度を速く広げたかったことと、リクルーティングの2点だ。ラージアカウントが多いので、赤字の小さい会社では導入に二の足を踏むこともあるだろうと思った。なぜ赤字になっているかはIPOをすれば見ることができる。「そういう理由か」と安心できる。攻めていることが分かる。全て開示して安心して使ってもらいたい。今、人材を採ることが難しいので、知名度を上げて優秀なエンジニアを採用したい。

―参入障壁や競合優位性は
グローバルでは、Zelloという会社がある。我々よりも数年前から事業をしており、グローバルではユーザー数が最も多いといわれているが、音声しかやり取りできていない。ユーザー数が多いので、今からチャットを作り、テキストを加え、映像に踏み出すのは、1から作り直す話になるので、非常に難しいと思う。また、米国やドイツ、中国のエアラインはBuddycomを使い始めている。彼らはZelloも知っている。音声だけでなく翻訳やテキスト化にBuddycomは強い。

国内では、大手が既に取り組んでおり、NECの「スカイトランシーバー」や、東芝の「RECAIUS」があり、ソニーグループ(「Callsign」)もやっているが、ほとんど負けたことがない。後発だが、音声だけでなく、多機能であり、日本のマーケットにも非常に強い。参入障壁かというと、それはソフトウェア・エンジニアの質によると思うが、今のところ、そこが圧倒的に強い部分だ。

―音声認識や翻訳は、どこかのエンジンにつなぎ込んでいるのではなく、完全に内製化しているのか
最先端のものを使いたいので、他社のものとつなぎ込み、ユーザーが選べるようになっている。例えば、日本語のテキスト化で「AmiVoice」を使いたければAmiVoice、GoogleやAzureも使えて、翻訳にはDeepLを使う。ユーザーが好きなものを使ってもらうようにスイッチが付いている。

―特許戦略について
グローバル特許を取ることは我々の戦略になっている。特に米国だ。国内の特許も複数出しているが、それをグローバルで、中国でも取れているものも、申請中の特許もある。例えば、Livecastという映像の機能も申請しており、翻訳やテキスト化もそうだ。ほかとは違うところは、必ず特許を出すようにしている。

―取得済みのものはあるのか
国内は全て取れている。中国は映像の特許で、米国はいろいろやり取りをしている。

―特許も参入障壁か
特許は結構難しくて、出すことで、かいくぐればよいので真似されやすくなる。出していないものも結構ある。クロスライセンスが最も多いが、相手がいるかどうかも含めて、必ず特許を出さなければだめというものではないと思っている。

―現状は赤字だが、黒字化の道筋は
全体の売り上げは成長が鈍化しているように見えるかもしれないが、Buddycom単体の売り上げでは倍々で伸びている。前期の赤字が9700万円ぐらいで、前期のテレビCMなどの広告宣伝費が1億円で、やらなければ黒字になっている。なぜ赤字になっているかといえば先行投資だ。時間を買っている。競合の話も含めて、のんびりやっている時間はないので、人に関しても投資している。成り行きではなく戦略的な赤字と捉えてもらうとよい。

―今後のコストの掛け方は
コストというか投資をいつぐらいに緩めるか。投資をしてでも売り上げが伸びて勝手に黒字になるか。多分後者だと思うが、遠くない近い将来というイメージだ。

―だいたい何年後か
遠くない近い将来だ。

―M&Aの考え方は
それは答えにくい。

―資本効率やWACC(加重平均資本コスト)の考え方は
松田拓也取締役:3億円少しを調達したが、費用はほぼ人件費で、大きな工場などの投資はないので、当面は新たな調達を考えていない。ただ、時間を買うということもあるので、必要に応じて資金調達を機動的に行いたい。

―そうすると調達コストやD/Eレシオがどの程度というのはこれからの話か
そうなる。

―国内市場規模を1500億円としているが、成長余地についてもう少し詳しく聞きたい
平岡社長:Buddycomの平均単価に、デスクレスワーカーの人数をかけただけのTAMだ。戦略としては、実績のあったラージアカウントはまだ取れていない。全体の数%で、横展開をパートナーと行う。最優先事項だ。その後、DXが全然行き渡っていないSMB(Small and Medium Business)、工務店や電気工事、水道などがたくさんあるが、そこに対してBuddycomの知名度を上げて、SMBに強いパートナーと一緒にチャレンジしていく。

―海外戦略は
Microsoftにいたので知っているが、海外はとても難しい。日本のソフトで、海外で使われたものは、多分ないと思う。米国で日本のソフトが売れたと聞いたことがない。どういうやり方が良いかはこれから手探りでやっていく。日本人だけではだめなので、外国人も含めていろいろな戦略を打っていかなければならない。東南アジアに逃げるのではなく、米国からいきたい。そこで認知されれば東南アジアではすぐ売れてしまうと思う。米国のマーケットにどう取り組んでいくか。これは誰もやったことがないので、非常に難しい。

―そこにチャレンジしていくのか
できたらいいなとは思っている。やりますとはまだ(言えないが)、腹のなかではやりたいと考えている。

―事業会社である株主との事業上の関係は
長期保有と事業シナジーの2点が中心になっている。

―それぞれどんな事業を検討しているのか
今、練っているところだ。

―個人投資家に伝えたいことは
スタートしたばかりで、いろいろな人にBuddycomを知っているか聞いても、誰も知らない。伸びしろは非常にある。IPOすることでの安心感がある。垂直的な伸びは、株の取引の状況から個人投資家も意識していると思う。解約率もほとんどないので、積み上がればそのままいく。個人投資家に関しては長期に持ってほしい。我々はこれだけでは収まらない。イノベーションも起こっていくので、そういうことにも期待してもらいたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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