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上場会見:ジェイフロンティア<2934>の中村社長、オンライン診療に患者を集客

27日、ジェイフロンティアが東証マザーズに上場した。初値は公開価格(4190円)を15.04%下回る3560円を付け、3320円で引けた。同社は健康食品の通信販売を行うヘルスケアセールス事業が主力。メディカルセールス事業では、医薬品通販と調剤薬局のほか、オンライン診療・服薬指導・薬の即日宅配をワンストップで提供する医療プラットフォーム「SOKUYAKU」を手掛ける。ヘルスケア関連のインターネット広告代理店事業も行っている。中村篤弘社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

SOKUYAKU事業の背景には薬剤師としての経験と医療に対する課題認識があり、その成立には薬剤師のマネジメントとECやプロモーションに関する知見が必要と話す中村社長

SOKUYAKU事業の背景には薬剤師としての経験と医療に対する課題認識があり、その成立には薬剤師のマネジメントとECやプロモーションに関する知見が必要と話す中村社長

―初値が公開価格を下回ったが所見は
投資家の評価と真摯に受け止め、今後、利益の最大化と、最初に株式を購入してもらった投資家に恩返しができるように業績を上げていきたい。

―コロナ禍の影響と、今後の見通しは
EC化や巣ごもり消費の観点では、ヘルスケアセールスという医薬品と健康食品の通販に関しては、外出せずに購入する人が非常に増えていて影響はない。EC向けの広告代理業であるヘルスケアマーケティングも需要や顧客からの問い合わせも含めて影響はない。

メディカルケアのSOKUYAKUに関しては、足元で病院や薬局からの問い合わせが非常に増えている。何よりも患者からの問い合わせが増えている。ほかのプラットフォーム運営企業は消費者向けの集客を一切していない。あくまでもクリニックや薬局に導入する活動をしている。我々はラストワンマイルの薬を当日に届けるためにSOKUYAKUサービスを開始した。薬を届ける目的の下にオンライン診療が必要であり、診療に参入し、患者の集客に注力している。

「発熱」や「内科」、「PCR検査」といった言葉で検索してオンライン診療受けるユーザーが増え、多い時には1日400~500件の問い合わせがある。コロナ禍で、在宅治療を受けている患者が保健所に電話をすると「オンライン診療を受けてください」というアナウンスがされる。だが、具体的に医療機関や方法が示されないのが実状で、WEBで検索して我々のサイトにアクセスする人たちが増えている。

コロナ禍が終われば、オンライン診療の市場が弱まるのではないか、規制緩和の影響はどうなのかという話はあるが、医療の未来を見据えた時に、オンライン診療が米国やインド、中国を含めて非常に進んでいるなかで、日本ではあまりに浸透していない。その根本的な理由は理解しているつもりで、改善していきたい。我々がオンライン診療を手伝う際に医師や薬剤師に必ず説明するが、1番の原因は医師も薬剤師も患者もやり方が分からないということだ。その状態で、オペレーション構築を全て当事者に任せていたら浸透しない。

我々は、アフターフォローで1度テスト予約をして診察の流れを理解してもらう。また、患者が予約をしたタイミングで、アナログな方法だが前日に患者に電話をしてリマインドする。かつ、予約が入っている病院と薬局にも電話をする。医師は「気付かなかった」とか「その時間に来院が入っているから受けられない」ということが起きる。患者が予約してから診療が完結するまでのカスタマーサクセスと、薬局と病院のオンボーディング(システム利用者を支援し運用に慣れてもらう過程)が重要だ。

我々のプラットフォームを導入している病院のアクティブ率は約6割で薬局は9割近くになっている。ほかのプラットフォームでは医療機関が登録しているものの初診は受け付けず再診のみとする登録となっている。我々は初診の患者を診てもらえる病院をいかに増やしていくかを経営指標として推進している。

―SOKUYAKU事業は薬の宅配が強みだが、物流やサプライチェーンのコスト管理はどうなっているのか
今は地場に強いバイク便の会社と連携している。患者が診察を受けて利用料として150円を払い、アプリの画面上で薬の当日宅配を選択するとバイク便で近くの薬局がマッチングされ、宅配担当者がピックアップして運ぶ。当日宅配を選択すると患者は500円を支払う。急ぎでなく郵送で良ければメール便で済むため、場所によって値段は変わるが200円以内で運ぶことができる。バイク便の会社に支払っている我々の原価は500円だ。患者から受け取った費用をそのままバイク便の会社に支払っている。

宅配エリアを拡大するに当たって、いろいろな会社と話を進めている。新聞宅配の会社や、シニア向けの弁当を1日10万件以上宅配する会社、牛乳を運ぶ会社と話をしている。ヤマト運輸や佐川急便に委託するともう少しコストが掛かるが、地場の会社と連携して半径3~6キロ以内で500円という形での提携を進めている。新しい収益モデルを作りたいと考えている配送業者がたくさんあるので、開拓は難しくない。ただ今後の戦略として、件数が一気に増えた時のことを考えると、どこの物流企業とどのようなアライアンスを組むかを考えていかなければならない。

―病院や薬局から料金を取らずに利用者から150円を都度取るのか
オンライン診療を受けると150円で、オンライン服薬指導が150円だ。両方受けると1人当たり300円になる。この料金が高いか安いかという論点に関して、ほかの医療プラットフォームでは、例えば登録している病院や薬局によって値段が違う。Aクリニックは情報提供料で1000円、Bクリニックは500円を取るというように料金形態が不透明で、最後に点数を入れた後に手数料を上乗せするので、保険診療と実際にかかったコストが患者からは分かりにくい。また、薬局によって配送料がまちまちだ。レターパックや宅急便を使って薬を送るために1200円の費用を受け取る薬局もある。患者にとっては、どこでどのような料金でサービスを受けられるか分からず、画一性がない。

また、ほかのプラットフォームは、そのオペレーションを病院や薬局に任せている。我々はオンライン診療の料金と薬の配送料が明瞭になっていて、病院や薬局に対して情報提供料などのコストを取っていない。

システムを無償提供し、かつ患者を集客しているため、病院や薬局に送客することも可能なことが強みだ。薬の当日宅配のインフラも提供している。病院や薬局から見ると、これをやらない理由がない。利用してもらう病院や薬局を増やすためには患者を集客する必要があるので、今は地上波のCMを含めてSOKUYAKUを告知するサービスを展開している。

なぜ浸透していないかという課題がある。我々が営業活動をするなかで、いろいろな病院や薬局に当たっていくと、他社のシステムを導入して2年半経つが1件も問い合わせがないというケースがある。160店舗を展開する薬局チェーンの代表者と話した際に、「あるシステムを160店に導入したが、この1年間でオンライン服薬指導の問い合わせが1件しかない」ということがあった。

原因はシンプルで、システム導入後に病院や薬局が自分で集客しなければ患者が来ない。通販でいえば、メーカーが楽天やAmazonに出店すれば自動販売機のように売れるものではなく自ら集客しなければならない。ただ、病院は赤字経営で集客する広告投資ができるかという点がある。そもそも業界の習慣として保険診療自体は7割を国が負担するため薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、旧薬事法)の観点から特定のクリニックや薬局、製薬会社はプロモーションをしてはいけない。プロモーションやマーケティングが存在しない業界だ。

ほかのプラットフォームはBtoBで代表者が医師であったりするため、マーケティングや消費者向けの集客はない。我々の当日中に薬が届くかかりつけアプリの宣伝は特定のクリニックに送客しているわけではないので可能だ。そういったサービスを告知することで、国民に薬を家で受け取れることを理解してもらう。かつ、カスタマーサクセスと、病院と薬局が使えるようにするオンボーディングが重要だと思っているので、これが浸透していない理由だと思う。我々は元々集客しか行ってこなかった会社であるので、それがほかのプラットフォームと違うところだ。

―今はマネタイズしていないが、面を取っていき、将来的には収益機会を追加するのか
SOKUYAKUのシステムがIT助成金の適用対象になり、導入すると助成金が出る。9月からそうするが、初期費用は助成金が入るので実質無料になる。導入後に従量課金や月額利用料を一切取らないので助成金で回収できる。手続きもこちらでやる。そうすると今期計画でも回収はトントンになっている。前期は3億5000万円のマイナスになっているが、今期は会員向けの広告投資を含めてプラスになる計画だ。

―今の質問に関連するが、IT補助金が出ている限りは、現在のビジネスモデルは変わらないのか
次の展開も考えていて、例えば、保険診療は集客・送客ができないが自費診療はできる。高須クリニックや湘南美容外科が宣伝しているのは10割負担だからだ。美容整形やAGAは広告宣伝ができる。今は、処方箋薬の病院を開拓して件数を増やしているが、並行して自費診療の領域の開拓や、SOKUYAKUの会員属性から、発毛や美容整形に興味がある人を客層とする成果報酬型の広告事業もできる。医師や薬剤師の人材派遣や広告メディアの運営もできる。SOKUYAKUの150円だけでも収益を回収できるが、さらにプラスアルファの収益モデルを構想している。

いろいろな相談を受けるなかで、地方創生や地域の医療再生には取り組んでいきたい。非常に課題がある。先日、ある場所で議員や地方の病院と話をした。人口3万人のある町は総合病院に皮膚科の医師がおらず、眼科の医師が水曜日にしかいない。片道100キロメートルかけて通う患者もいる。SOKUYAKUを地方創生に使えると考えている。

そのような地域では議員や自治体職員が県の医大や東京に赴き、医師を招請する。函館から車で4時間に位置する地域では年収4000~5000万円を提示しても難しい。SOKUYAKUを活用することで医療難民と医師をつなぐことができる。それだけでなく、スマホの操作が困難な高齢者に対しては、例えば、住所の近くの公民館や郵便局、セイコーマートに端末を設置すれば、100キロ先に行かなくとも、いつも話している医師につながる。SOKUYAKUを使う東京の医師に時間を空けてもらえば、業務委託で皮膚科の医師として遠隔診療が可能になる。SOKUYAKUは宅配ができる政令指定都市で増やしているが、地方の医療難民に需要のあるサービスであり、力を入れていきたい。

高野好広CFO:セイコーマートとはこの話は一切していないので、例えばの話だ。地方の医療難民は各地に存在し、無医村もあると思う。我々の仕組みが地域医療に貢献できるのではないかというアイデアでビジネスモデルを考えていきたい。

―工場内製化のロードマップとキャッシュカウとしてのヘルスケアセールス事業の業績への定量的な寄与はどの程度か
現在はOEMで商品を製造して消費者に販売している。OEMとは言っても独自の企画や成分を増やして開発しているが、同種の成分をいろいろな企業がパッケージと名前を変えて販売しているような状況になる。我々独自の商品リリースのスピードを上げていきたい。今は、健康食品の原価率は10~15%ほどで、医薬品は20~25%になっている。製造工場の内製化で原価率が下がり、利益率が改善する。また、研究開発のスピード(の向上)に関して今後は、具体的にいろいろな工場などと話をしたい。奈良県や富山県には非常に良い薬を持っているが販売手法に困って売り上げが伸びてない製薬会社がたくさんある。そういった会社と一緒になって製品を開発したい。

―いつ頃までに実現するのか
高野CFO:2023年5月期、来期には何とか実現したい。あくまでも方向性なので、決まり次第具体的に説明したい。

―1年前にあった課徴金納付命令の原因は何か。再発防止のために何をしているのか
元々、指摘を受けた時点で管理をかなり厳しくした。社内体制のチェックフローや第三者機関のチェック、顧問弁護士の意見書などレギュレーションを厳しく細かくしていたが、指摘を受けてしまったことを真摯に受け止め、さらに改善を行った。指摘を受けた時もヒト臨床試験で数千万円を機関に支払い商品のエビデンスを取っていた。

指摘を受けたことで、外部機関を3機関に増やし、弁護士の意見書を3事務所に求めた。健康食品であれば消費者庁、医薬品であれば厚生労働省や保健所など監督官庁に確認しながらレギュレーションを進めている。元々取り組んでいたが社内の啓蒙や教育にもさらに力を入れており、勉強会に参加した後に周知をした。全国の消費者センターを巡回してクレームがないか確認もしている。

また、社外取締役3人と常勤取締役2人の体制に専門の弁護士を社外取締役に迎えた。取締役会でも新商品発売の広告を出す時に、社外取締役に弁護士の観点だけでなく一般消費者の観点から誤認が起きないかチェックしてもらっている。日本で最も厳しくチェックしている会社だと思っており、今後同じことが起こらない体制にしている。

―負債と株主資本の比率の考え方は
高野CFO:総資産が25億円あり、そのうち負債が8000万円程度で、有利子負債はほとんどない。純資産が潤沢で内部留保が厚いので、今すぐに借り入れを実施して投資しなければならない状況ではない。今後、大きな投資などを行う場合には、自己資本と有利子負債の両方を使いレバレッジを効かせたい。ただ、その場合にもD/Eレシオは0.5を超えない水準で行いたい。

―株主還元の考え方は
ヘルスケアセールス事業で利益を出せるようになって日が浅いこともあり、直近では事業投資と新規事業で会社の成長基盤を作りたい。株主還元は非常に重要な項目だと思っている。市場変更するタイミングなのか具体的にいつというのは難しいが、配当をしっかりしていきたい。

高野CFO:内部留保を優先して時価総額・企業価値を上げていくことが、まずは投資家への最大の還元策と考えている。どこかのタイミングでは配当を実施したい。その際には、配当性向3割ほどで実施していけるようにしたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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