19日、ギミックが東証スタンダード市場に上場した。公開価格の1150円を5.22%下回る1090円の初値を付け、1167円で引けた。横嶋大輔社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

―初値の受け止めは
初値について評価する立場にないと思っている。「そうか」という感じで受け止めた。これからも一喜一憂することなく、事業を成長させていくことに腐心していきたい。短期的な株価に関しては、意識的にあまり考えないようする。
―株価の上昇を目指すと思うが、どのような策を講じるのか
1つは売上と利益成長を着実に実現していくことが王道だと思う。我々の場合は、ストックビジネスで、翌年や半年後などの売上が見えやすいので、そういう構造を株主に理解してもらい、「この会社は安定性あるな」と思ってもらえるような世界にIRを持っていきたい。あとは、医療業界のことを知っているようで知らない投資家が多いと感じるので、情報の非対称性がけっこう存在すると思う。IRが中長期的に株価の上昇に寄与すると理解している。IRをきちんと継続してやっていくことと、事業を地道にやっていくことの2つを考えている。
―競合と比べたギミックの強みは
外形的に似ているWebサイトは世の中に何個かあると思うが、ビジネスモデルや本質において相当に差異があると感じている。つまり、直接的な競合の存在を当社としては自覚していない。例えば、患者を送客したらいくらとかのモデルではなくて、定額の利用料をクリニックから毎月もらうというモデルだ。競合するようなところは基本的にないだろう。
理由は、クリニックに営業するのが大変難しい行為で、医師がプレーヤー兼経営者であるので、営業できる時間帯が午前診と午後診の間の2時間程度しかないからだ。この間に接点を持って商談をするのは非常に難易度が高い。そのため、他社では美容整形などの方向のコンテンツに逃げたりすると思うが、我々はそれを実直にくぐり抜けてきて、今がある。
―強みを踏まえて今後どうやって成長していくのか
成長モデルは非常にシンプルだ。ネットワーク外部性を回していくビジネスだと思っており、顧客数を拡大する。そうすると、顧客数掛ける顧客単価だが、DXやHR、地域医療連携で、様々なサービスを追加してクロスセルが可能なので、これを売っていきたい。全てのクロスセル商材が売れた場合、年間顧客単価が200万円程度まで上昇する。「ドクターズ・ファイル」単体だと40万円ちょっとだが、1番売れているクロスセルの「頼れるドクター」も年間40万円程度。そのほかの商品を組み合わせると、年間で約200万円になるので、単価を上げるためにクロスセルの販売を継続していきたい。
また、地域を限定してドミナントで営業していくスタイルで、東・名・阪・福にプラスアルファのエリアで展開している。ドミナントが効きやすいマーケットだ。開業医の世界は非常に横並び意識が強く、隣の医師がやっていることを気になって真似していく構造がある。そのため、決めた地域でドミナント営業をやっていって、単価を上げていきたい。そうすると、生産性に関しては原稿を沢山作らなければならなくなるが、AIをかなり導入してきたので、比例して編集の人間が増えないなどの体制が作れているので、そこで収益を拡大していきたい。
―医療機関の事業環境についてどのように見ているか
マクロで見ると病院が減っているので、クリニックが果たす役割は多くなっているだろう。個別のクリニックごとに状況はあるだろうが、データによればクリニックを受診する患者総数は25%程度増えている。ただ、このところ何回か診療報酬の変更があって、収益が上がりにくいような構造ができたクリニックがあると考えている。そこが、ここ数年のクリニックの環境の悪さだったと考える。しかしながら高市早苗総理大臣が診療報酬を上げると言われているので、それはプラスだろうし、我々の事業のフォローにもなればいい。
―低い解約率を実現できている理由は
カテゴリーで医療情報サイト群があって、4社、5社、6社がひしめいているような状況で、代替する媒体がほかにあれば、チャーンレートが上がる可能性はあるだろう。しかしながら、そういう環境にないのが1つ大きい。
また、クリニックの持つレピュテーションリスクの大きさを、顧客は非常に感じている。口コミにいろいろ書かれたときに、「私はそうじゃないんだ」と自分で言ってもなかなか厳しい。我々は第三者的に患者目線で取材する立場を貫いているので、その情報が彼らにとって価値があるだろう。「ドクターズ・ファイルに取材されました」とGoogleで検索すると、爆発的にヒットする。彼らは我々に掲載料を払っているが、「取材されました」という言い方で、ブログやウェブサイトでその記事を紹介している。彼らからすると、客観的に自分たちの写し鏡がそこにあるから、「ぜひ見て欲しい」と言っていることの表れだと感じる。「ドクターズ・ファイル」はそういう使われ方をしていると認識してもらえると、チャーンレートの低さも理解してもらえるだろう。
―今後、新しいサービスの拡充は考えているか
9割を超える売上を「ドクターズ・ファイル」と「頼れるドクター」で構成しており、IPO前にサービスラインナップを広げたいということで、HRや院内業務DX領域などを拡充した。それらについてはまだ全然アクセルをふかしていない状況なので、これから全く新しいことをやるというよりは、作ってきたこのビジネスにアクセルを踏んでいく段階だ。 やたらめったら新しいことをやるということではない。
―ドミナント戦略について今後3~5年後といった目線で既存エリアを深耕していくのか、新たなエリアを開拓していくのか
既存エリアは、20年近くやってきたところもあれば、まだ数年しかやっていないところもあり、マーケットシェアにばらつきがある。例えば、福岡など九州エリアはまだ数年しかやっていないので、新規市場に近い要素を持っている。そうしたところはもちろんやっていくが、今まで我々が活動してきたマーケットで、実態として取れているマーケットシェアは最高で25%ぐらい、その地域のクリニックの4分の1は有料で取引している状態が作られている。
営業チャネルがある地域についてはそこまでいけると考えているので、例えば、今はまだ4%のところもあるし、世田谷区であれば16~17%になっているがこれを一律25%まで上げていくためにアクセルのふかし方を変えていく。
新規エリアは例えば、福島や青森などは県で見るよりもマーケットとして捉える限定された都市部だ。今は鹿児島がそうで、当社では「鹿児島モデル」と言っているが、出社義務のない現地社員を2人用意して、福岡支社管轄で全て行動をコントロールしている。当社の場合、営業行為がかなり細かいKPIで決められている。いくらの売上を作るためには、どれだけの商談が必要で、どれだけのアポイント供給が必要か全部細かく決められているので、それに沿った形でファネルの設計をして、行動を管理するやり方をしている。鹿児島の場合は、福岡支社が管轄して鹿児島の在宅の人たちを、「今日、何時にここに営業行って、何の商談をしてください」と管理している。これがけっこう機能しており、投資としては事務所も何も要らない。携帯とパソコンさえあればよく、この九州の営業担当者は全社で表彰されるレベルになっている。
昨今、若い人を中心に、地元から離れたくない人たちが非常に多いことも感じていて、例えば、青森や福島では我々のような仕事は意外にないので、あると喜ばれる。新規の地域に関しては「鹿児島モデル」を参考にして、これから増やしていきたい。そうすると既存人員をそちらに振り分けることなく、現地で2~3人を採用して、本社でコントロールすることが可能と見ており、これで全国をカバーし切れるのではないかと考えている。我々が集中して70%のチャネルを持っているところと、広いが30%しかないところでのやり方の使い分けと思っている。
―商談の管理をかなり徹底しているが、そもそも商談の獲得については、どのような点に注力しているのか
ドクターにはけっこうネットワークがあり、例えば、大学が同窓だとか、同じ病院出身、医師会、学会、研究会、専門医の会など。医師に「ドクターズ・ファイル」を契約してもらった時に、(ネットワークを通じて)紹介してもらう。これが我々として、1番大きな商談の成果となっており、インバウンドに近い。
アウトバウンドに関して我々が徹底しているのは、アポを獲得する人間と訪問する人間を完全に分けるスタイルで、同じ顧客に2人体制で取り組むことを徹底して、創業時からやっている。「効率悪くないですか」という人がいるが逆だと思っている。1人だと営業は時にさぼったりする。でも2人でやると、逆に口を開けて待っている担当者がいて、そこにアポを供給しなければならない任務の人がいる。
待っている人がいるとやらざるを得ない環境を作れる。逆に、アポをもらった人も、「あの人が必死にアポ取ってくれたから、商談を実らせなければならない」というスイッチが入る。私は、リクルートの営業企画部長をやっていた時の経験から、人間はけっこう心理でパフォーマンスが変わると思っているので、それを利用している。社内では営業を科学すると言っているが、そういう意識は社内に一貫してある。
―大都市や、クリニックが集中している中核市では直接営業所を設ける。大きくないところでは鹿児島モデルのアプローチで攻める理解でよいか
正確にいうと直販を置いてあるのは東名阪福、東京は秋葉原と渋谷の2ヵ所に置いている。それ以外の地域でチャネルが整備されているところには代理店が一部存在する。代理店が我々の商品を全部売る仕組みでやっているところもある。しかし、適切な代理店が見つからない地域もあるので、そこでは「鹿児島モデル」を導入していきたい。
―そのような地域では基本的には代理店を使うことも検討しながら…
代理店にとって我々の事業をやるのは人件費の面で先行投資がかなり続く。ストックビジネスで単価も小さいので、貯まると美味しいが、貯まるまでがけっこう大変なビジネスモデルなのでそれに耐え得る代理店がいればと考えている。
地方銀行と商談を最近始めており、例えば、徳島の阿波銀行や鹿児島の銀行、山梨中央銀行など地銀は、アカウントとしてクリニックを持っている。あるいは個人で医師を持っている。そういうところを我々のトスアップ・パートナーのようなものにしていく取り組みもしている。チャネルだけでなく、仲間に顧客を紹介してもらうことも進めていきたい。
―地銀の例えば、コンサルティングや融資部隊がコミュニケーションを図っていて、彼らを媒介に、地域のクリニックの医師にコミュニティを紹介してもらう、あるいは直接アプローチするのか
そういう意味だ。結局は、「鹿児島モデル」か代理店なのか直販なのかどこかのチャンネルがやらざるを得ないことだ。
[キャピタルアイ・ニュース 北谷 梨夏]
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