プリモグローバルが東証スタンダード市場に上場した。公開価格の2150円を6.37%下回る2013円の初値を付け、1685円で引けた。澤野直樹社長が東証で上場会見を行った(6月24日取材)。

ー会社概要について
今年で創業26年目となる。前期はグループ全体で売上高249億円で事業利益が22億円。利益の構成は国内が81%、海外が19%となっている。4つのブランドを運営している。社名にもなっている「I-PRIMO」はブライダルリングの専門店を国内外で展開しており、今後もこれがメインで、牽引していく形となる。「LAZARE DIAMOND NEW YORK」は、ニューヨークで発祥したダイヤモンドのカッターズブランドであり、100年以上の歴史がある。一昨年に日本国内の商標権を取得し、国内で直営店15店舗を運営している。
「K.UNO」は、オーダーメイドジュエリーのブランドで、台湾においてジョイントベンチャー方式で3店舗を運営しており、「スタージュエリー」は日本でも有名なファッションジュエリーのパイオニア的なブランドで横浜元町が発祥。これは上海に2店舗、台北に2店舗、ライセンシーとしてビジネスを展開している。
ブライダルリングの顧客の特性は、基本的には一生に1度しか買わないということ。価格・品質やデザイン以外に、情緒的価値がある。人生最大のセレモニーである結婚にまつわる商材であることから情緒的価値が求められる。そこに着眼して、当社の訴求ポイント、バリュープロポジションとして3つ掲げている。
1つ目は、人・モノ・カネ全ての経営資源をブライダルリングの運営に特化することによって、大手のナチュラルチェーンのブランド、グローバル展開しているラグジュアリーブランドと、ブライダルリングのセグメントにおいては対等にビジネスを展開している。続いて売り方に特徴があり、最高の顧客体験を届けるモノだけではなく、人の魅力を提供するサービス業でありたいという思いから、接客体験を重視している。2時間という接客の時間を大切にするパーソナルサポートを採っている。これは、海外でも同様のやり方で運営している。
3つ目は、ブライダルリングの特性で、顧客は必ず予算を持ったうえで来店するので、それに応じて、ダイヤモンドとデザインリングを自由に組み合わせて選ぶことができるセレクトオーダースタイルを取っている。この利点は2点あって、1つ目は、顧客満足度が非常に高くなること。2つ目は、これは当社の特徴だが、顧客が注文してから発注する受発注のシステムを確立しているので、資産効率が非常に高い。
1999年に東京の銀座中央通りに1号店をオープンして今は国内外134店舗を運営しおり、ターニングポイントになったのは、日本のブライダルリングの業界の中で初めて海外展開を2007年に台湾・台北からスタートしたこと。日本を中心に5拠点でビジネスを展開している。
ー3月に発表した中期経営計画について
トップラインについてはCAGRで5~7%、利益ベースでは、CAGRが10~2ケタ%のなかから、最終年度にいては、売上高営業利益率12%以上を目指す。まず、主要事業の国内事業から説明する。国内のブライダルジュエリーの顧客セグメントを3つに分け、1番のボリュームゾーンであるアッパーミドルレンジで、当社はビジネスを展開しいる。メインブランドの「I-PRIMO」は面をとる戦略で、「LAZARE DIAMOND NEW YORK」はハイエンドに近づく形。
6万組の顧客データベースがの口コミランキングでは、「I-PRIMO」が上位を独占している。「I-PRIMO」は72店舗と、国内のブライダルリングの業界では最も店舗インフラを構えている。コロナ禍の時期は減収になったことがあるものの、前期は対前々期比で25%強の伸長を遂げて153億円となった。これは創業以来国内レコードの数字で、足元も対前年で2ケタ%近いパーセンテージで成長を維持している。
日本ではデフレが30年間続いたが、足元で我々のコアターゲットである若年層の可処分所得、消費支出が軒並み上がってきている。今後もブライダルリングの業界というのはマーケットが拡大してきている。その状況を生かしながら今回発表した3ヵ年の中計をしっかり実践していく。
ー配当政策について
目標として配当性向40%以上を掲げている。今期の2025年8月期は業績が堅調なのもあるので、配当性向50%並びに中間分も含めて期末での一括配当を予定している。しっかり収益を上げて債務も返済しながら新規のトップラインを作る投資も積極的に行い、かつ株主還元も行う。この資本政策3つのバランスを意識しながら今後も安定的に持続的に企業価値を向上させたい。
ー高い粗利率について少し詳しく
高い粗利率は、一定の規模でビジネスをできており、もう10数年来、今回親引けでサポートしてもらったサプライヤーとの綿密なタッグを組んでいるうえに、大口のボリュームで仕入れをしているので、同業他社と比べて安く仕入れることができている。ブライダルリング、結婚産業は価格感応度が低い。人生で1回だけということと、あとは、指輪を買ったりドレスを買ったりするところで、ワンタイムで600万円ほどの費用を使う。時間にも迫られるので感応度が低い。こういったことも利点にしながら、しっかりとブランディングを作りながらマークアップ、プライシングを維持していく。このバランスを徹底的に行っている。
ー最近の中東情勢の影響は
ダイヤモンドは世界4大マーケットがあり、ニューヨーク、イスラエルのテルアビブ、ベルギーのアントワープ、インドのムンバイだが、高品質のダイヤモンドの60%がドバイから入ってくる。そのため、今回の紛争で問題はほとんどない。我々がドバイの会社から直接仕入れているわけではなく、日本の輸入業者と協力して基本的にはそこから仕入れている。彼らは輸入専門のダイヤモンドの商社なので、そこできちんと価格や在庫をコントロールしており、現状は安定している。
ー海外の展開はアジア圏が中心だと思うが、そこ以外で出店計画はあるか
私自身がこの国を愛していることがあるが、日本ブランドの良さを全面的にアピールしていきたいので、日本に対するリスペクトの度合いが高いエリアはやっぱりアジアなので、私が現役である限りこのさき10年ぐらいまでは、多分アジアを中心に展開することになるだろう。ただ、将来的には、華僑が全世界で活躍していて、中国人でも当社のブランドをすごく好きな人が増えてきて、例えば、ロサンゼルス在住の中国人が、わざわざ日本に来訪して「I-PRIMO」も調べて来てくれる。環太平洋エリアというか、ロサンゼルスやハワイといった辺りも興味がある。
ーオンラインでの海外販売は
やっていない。ちなみに、日本国内における売上高のオンライン比率、EC比率は今2%程度で、顧客が一生に1回しか買わない、情緒的価値を求めるものなので、接客体験が何よりも大切。2人で来店して指輪を選ぶ時間も2人の思い出になる。特に日本は小さい国でもあり、ECはブライダルリングの業界であまり流行らない。
ー初値は2013円で公開価格を下回った。受け止めは
ちょっと厳しい評価だった。様々な背景はあると思う。世界情勢の悪化や、元々ゴールデンウィーク中というのは、上場する企業が少ないこともあるだろう。多くの企業が6月の第2週以降に上場日を設定したところで、機関投資家の投資判断で優先順位が分散されてしまったのだと思う。プライベートエクイティファンドの売り出しで、金額が大きく、売出発行数も多かったので、マーケットからは敬遠されてしまった側面があり、非常に残念と感じている。
ー今後株価を上げていくためには
今足元をやっていることを粛々とやり続けることと、情報開示の充実。株主と真正面からしっかり向き合っていく。あとは、第3四半期は非常に堅調に来ていることもあり、良い発表もできるので丁寧に誠実に向き合っていくことが何よりも大切で、何とか株価を回復させていきたい。
ー国内の市場は縮小していくなかで、海外が中心になるのでは
しかしながら、国内は単価が非常に上がっていて、婚姻組数は横ばいか微減ではあるが単価の上昇でブライダルリングの市場は拡大している。このさき5年ぐらいは国内も十分に成長が見込める。また、寡占化が進んでいて、国内ではマーケティングコストの維持・増強ができる企業の体力という要素もある。我々を含めたブライダルリングの国内大手3社でもマーケットシェアが30%もないという状況であり、まだまだ国内は伸びると考えている。ただ、15年、20年後を見据えると、婚姻組数は減ってくるので、それを回避するために、カスタマーリレーションシップマネジメント、今売り上げの2%程度がアニバーサリージュエリーの需要によるもので、データベースの蓄積でこれを3%、5%と上げることができれば、マーケティングコストゼロで行えるので十分に収益に貢献していく。
ー単価の引き上げの考え方は
段階的にこの2年間で13%弱の単価引き上げを実現できているが、2年間で13%上がったから5年間で2割3割上がるのかといったらそうではない。「I-PRIMO」も最大の売りはコスパが良いというところがある。慎重に経営判断しているので、5年間で10%から15%ぐらい。最終的に今の単価よりも、日本のインフレがどこまでいけるかに連動してくるとは思うが、2割ぐらいまではいける可能性があるのではないか。ちなみに、今年の第4四半期で約5%値上げすることも発表している。
ー国内向けと中国向けでは、単価は中国のほうが高いのか
そうだ。エンゲージリング、ダイヤモンドのプロポーズリングで言うと日本の約2倍。「I-PRIMO」が日本で30万円とすると、円安の影響もあるが、中国では約60万円。結婚指輪は、日本が24~25万円ほどで、中国が30万円ぐらいになる。中国の方が2割ぐらい高い。市場によって若干違って、4拠点で最もプロポーズリングの単価が高いのは香港。日本の約2.5倍の80万円ぐらいの単価でビジネスをしている感じだ。
ー24~25万円というのは2つセットか
ペアでの価格だ。
ー利益率面で見て海外市場の現状は
日本市場と海外市場では粗利益率が2ポイントも変わらない。だからこの拠点が儲からない、この拠点が儲かるというのはなく、ほとんど同じなので65.3%近辺をキープしている。基本的には日本の価格をベースに値付けしている。
[キャピタルアイ・ニュース 菊地 健之]
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