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上場会見:ビジュアル・プロセッシング・ジャパン<334A>、EC・コンテンツにDAM

3月25日、ビジュアル・プロセッシング・ジャパンが東証グロースに上場した。初値は公開価格の1430円を112.59%上回る3040円を付け、2345円で引けた。DAM(Digital Asset Management)サービスを中核に、企業が行う事業におけるWEBやEC、SNS、カタログ、映像、出版などの媒体・コンテンツ制作や管理、配信を支援する。製品情報管理であるPIM(Product Information Management)も扱う。三村博明社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

創業以来ずっとDAMを扱い、初めて日本でリリースしているのでオンリーワンで競合もなく、自立できるためのプロダクトとして成長してきたと話す三村社長

―初値の受け止めは
すごくありがたいのと、今日もうまく説明できたかどうか分からないが、機関投資家24社に説明したところ、マーケット自体が分かりにくく苦労した。上場した時に一般投資家に分かるわけがないと考えていたので、とんでもない値段だったらどうしようかと思ったが、想定よりもちゃんと付いているので、びっくりした。

―上場するに当たって注力したことは
佐々木庸執行役員:投資家に理解してもらえるようなビジネスをきちんと説明できるだけの管理部門を、IPOのセオリーに従って着実に整備してきた。そのうえで経営管理室も作って、私たちのビジネスを分かりやすく投資家に伝える体制を構築してきた。

三村社長:初めての経験なのでやることが多過ぎたが、比較的順調に来た。証券会社の担当者に言わせると、売上・利益もきっちり伸びているとの評価を受けていた。ただ、事務処理などに関しては教えてもらいながら確立して、社内体制はかなり良い感じになっている。

―業績が着実に成長してきただろうが、市場は今後拡大するのか
物凄く拡大していくと見ている。ECは皆が使っているが、もっと拡大するだろう。皆が同じECサイトを使う。モール型のECはAmazonと楽天、ヤフーなどいろいろあるが、昨今の傾向ではAmazonに手数料を払いたくない会社がたくさん出てきて、自社サイトを作る。カナダのShopifyが世界的に一番普及しているだろうが、そういうソフトはもっと出てくる。

そうしたソフトはデリバリーするのは得意だが、コンテンツの管理の仕方を全然知らない。ファイルサーバーでECサイトにデータを送れるが、コンテンツを管理しないと、ファイルサーバーにあるデータを今度はパワーポイントに落とす場合に、いろいろな軋轢が出てくる。それを一発で解決できるのがDAMで、このニーズは凄く大きい。小売業界ではオムニチャネルが普通になってきたが、ECの普及によってタッチポイントが増えるような気がする。

―今後の成長戦略について
最も重視したのは営業力の強化。それなりに採用はできていたが、今までは知名度もなかったので、やはり難しい。営業のボリュームを上げていきたい。同時に、ECサイトを構築するためのソフトウェアベンダーにはShopifyやEC-Beingなどいろいろあり、ホームページを作るためのCMSのベンダーもWordPressや、HeartCore CMSというのが日本にはある。そういう外部のベンダーとの協力をもっと強化していきたい。

GoogleドライブやBOX、Microsoftもクラウドでいろいろとファイルサーバーを展開しているが、そこにデータを入れると「コンテンツは一元管理されている」という間違った考え方の人が多い。当社は、それらと連携する仕組みを作った。「BOX連携」というのがあって、これはけっこう大きなプロジェクトになるのではないか。

今年中にGoogleドライブとDropboxをAPI連携する。これらは全社的なデータをここで管理している。全ての部門、総務部も業務部も営業部のデータを全てそこに入れて何のコントロールもなしで、いつでも誰でも取りにいけるバケツみたいな状態で使っていて、コンテンツ・媒体を作るためのサーバーではない。

これを製品である「CIERTO(シエルト)」のDAMとPIMに必要な場合だけ持ってくる。そこでコンテンツを作り、ECやWEB、CMS、プリントという媒体に展開して、終わったらまた廉価なクラウドストレージに戻すというワークフローは意外とウケが良い。これは大きくなるのではないか。

―3年後、5年後に目指している姿は
今年は売上高13億5000万円で、営業利益は2億2000万円を、今までの成長と同じレベルで手堅く予想している。最大の問題として営業のリソースをもっと増やしていきたい。投資家に言ったら少なすぎると怒られたが、営業活動できる社員は7人で、マネージャーが2人だ。

1人当たりが大体6000万円を新規で出し、その上積みが翌年のサービスに入るが、引き合いがかなり多く、捌き切れない。それを増やすだけでも売上がぐんと伸びるだろうし、それが一番大きなポイントだ。

あとは代理店が何社か手を挙げているので、どの程度のスピードで育てられるかは別だが、育ってきたら2~3年後の成長率は、今の2倍には伸びていくと見ている。今は15%ずつで、30%ぐらいにいける可能性を秘めているのではないか。

―国内の競合がほぼいないが、海外に進出する予定は
G2.comという世界的なソフトウェア評価機関で、いろいろなカテゴリーのソフトを評価してくれるところがあり、昨秋にあったDAMという分野の評価レポートで、当社はアジア太平洋で1位だった。ほかは全部欧州と米国の競合で、数社が来ているのは知っているが、彼らはまだアジア太平洋に大して入ってきていない。

当社は日本の評価だけでもアジア太平洋で1位になっている。シンガポールやマレーシア、インドネシアはマーケットが大きくなっているので、まだまだいくチャンスがあるのではないか。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

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