伊澤タオルが東証スタンダード に上場した。公開価格の750円を2%上回る765円の初値を付け、824円で引けた。伊澤正司社長が東証で上場会見を行った。

―タオルのビジネス展開について
肌着を買うといえばユニクロの「ヒートテック」、洗剤を買うとなれば、花王の「アタック」といった商品がある。それぞれの生活用品に対してマーケットが存在している。例えば、「ヒートテック」よりも値段が高いが、もっともっと温かいとか、その市場では表現がはっきりとできる。洗剤もしかりで、もっと天然由来の体に刺激がないような洗剤であればどこどこで販売していて、それはもっと高いとか、あるいはもっと安い洗剤はどこに行けば買えるといったように、市場のなかでしっかりと整理されていると思う。
それらに対し、タオルは事業者数とその商品の種類が非常に多く、肌着や洗剤のように商品が見えにくいマーケットだ。有名な名前を持った商品が事実上存在していないと思うので、タオルで分かりやすい中心的なものがあれば、そのなかから判断され、より柔らかいものや吸水性がいいもの、これはこういう理由で高いとか安いとかができるだろう。そうすることによって、タオル業界全体が底上げされると考えている。これについては、我々が真ん中で受け持つという考え方だ。
米国では実はAmazonのほうから声をかけてもらった。Amazonは、リテールとマーケットプレイスという2つに分かれていて、リテールのほうが市場としては大きいと聞いている。商品として販売を進めるとなると、Amazonの米国、あるいはEU、英国も同じらしいのだが、タオルというこの生活用品では日本のAmazonはその逆で、リテールのほうが上位に来ている。その様子を確認し、我々のビジネスをぜひ取り入れていきたいということで声がかかった。これからスタートする段階で、販売側と我々製造側の考え方がしっかりと一致しており、伸びしろは非常に大きいと考えている。
売上は、日本のAmazonに約5年前に参入し、初年度の実績は5000万円程度だった。米国ではマーケットサイズを考えると、その数倍は当然目指さないといけない。
―製造委託について
中国、インド、ベトナム、トルコをメインでやっている。日本国内の今治産、泉州産もやっているが、これはそんなに大きなボリュームではない。これには1つ理由があって、我々のものづくりは、一貫工程がないとなかなかできない。原料を糸から作ってそれをタオルの生地として、それを作っていくわけだが、連動していないと我々が求める品質を達成するのは難しい。国内では一貫工程が存在していないので、今のような体制になっている。当然のことながら一貫工程は、どの国でも存在しているということではない。
タオルというものが、しっかりと産地として成立していて、かなりしっかりとした資本が入っている工場がどの国にあるかと言われると、かなり限定的になる。申し上げた国々は、例えばブラジルもあろうが、日本の立地を考えた場合に、非常に時間がかかるので、我々が求めるものができ、期日通りに運ぶことができるかということを考えて、今のような立地で生産している。綿花の栽培は別にどこでも構わない。綿花の産地と糸を作る工程は、これは得てしてくっついていることはあまりない。例えば、米国では良質な綿が採れるが、製造のインフラはゼロに近い。
―為替リスクはヘッジしているというが、地政学リスクの面での対策は
まず地政学で言うと、中国への高い依存はリスクが高いと考えていて、ほとんどのタオルのメーカーと事業者は、ベトナムに移転しているが、ベトナムには一貫工程というのは事実上なくて、糸ができた後からの工程が存在している。そこからの工程というものだけでは我々がしっかりと品質表現がしにくいので、ベトナムは産地として作って使っているが、詳細に入ったような商品を作るというものには適していないと捉えている。よって中国が、今まであれば一貫工程があるのでメインだったが、地政学リスクをしっかり考えると今はインドやトルコといった場所に移していくほうが得策ではないかと考えて動いている。トルコはまだ始まったばかりなので、地政学リスクは今のところ考えていない。ベクトルとして既存の中国への依存度を下げて、インドやトルコとの運営と高めていく。2025年2月期の生産割合は中国が67.8%、インドが15.5%だったが、2028年2月期までに中国40%、インド30%という形で生産地の移行を進めている。
ーライセンス生産について
ライセンス生産が売上高の大半だが、「タオル研究所」というECサイトでダイレクトに販売している。キャラクターIPともダイレクトにライセンス契約をしているところが2つあって、ディズニーとサンリオ。すでに販売をしていて、売上高はその「タオル研究所」に入っている。キャラクターIPはあくまでもライセンスを持っている企業から生産依頼される形だ。
―配当に対しての考え方や背景について
三好拓人CFO:配当は株主への資本政策上かなり重要な施策と考えていて、上場前から実施している。具体的には、のれん償却前当期純利益の50%としており、上場後も50%をベースとして高水準の配当を実施したい。なぜ高水準での配当ができるかというと、当社はファブレスメーカーでかつアセットライトなビジネスモデルを採っているので、フリーキャッシュフローが非常に高い。その稼いだ利益を配当に回す。
[キャピタルアイ・ニュース 菊地 健之]
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