21日、ブッキングリゾートが東証グロースに上場した。初値は公開価格の1240円を25.0%上回る1550円を付け、1950円で引けた。2013年5月に設立。宿泊施設の予約プラットフォームの運営と、宿泊業界の集客支援事業を手掛ける。坂根正生社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

―初値が公開価格の25%高で、その後ストップ高で引けた感想は
期待されていると感じ、これからより一層努力していきたい。
―なぜ今IPOしたのか
スタートした2019年に、最初は東海エリアの施設だったが、求められていると感じた。そのなかで、我々のような小さな会社かつ当時実績もなく、どんな会社かも分からないような会社が、「集客を全てお任せください」と言っても、なかなか任せてもらえず、支援してもらえないことが、これまで多くあった。そのなかで、信用力と、サービスを知ってもらいたいという認知度の拡大で、このIPOを目指した。時期に関しては、なるべく早くやりたいと思って進めてきた。
―予定としては、順調だったのか
比較的順調だった。
―2019年に本格的に始めて、すぐコロナ禍だったと思うが、そのときはどのような状況だったか
緊急事態宣言が出た際は、ほかの宿泊業態と同様に、非常に大きな打撃を受けた。しかし、自然のなかで自由な滞在を楽しむという形態がコロナ禍で少し追い風になった。コロナ前も人気だったが、より一層後押しされた。
―株主構成を確認したい。今日の時点で 、親会社グループもしくはエス・エヌ・ホールディングスで、どれくらい持っているのか
今井裕二取締役:親会社グループの「にしがき」とデジタルストレージは売り出しをしてもらい、SNHDだけが残る。売出後、およそ58%程度の保有となる。
―株主構成は今後、どのようになるのか
今は親会社に意向を確認している。当社がIPO直後で、まだまだ成長段階であり、株主も多くないので、安定株主としてついてくれている。今後、より大きな資金が必要となったときに新株を発行したり、プライムやスタンダードに市場の変更があった際には、希薄化していくと考えている。SNHDの資金需要が生じたときは、もしかしたら追加売り出しの可能性もあると聞いている。
―現状、人的な関係はSNHDとはないのか
人の入り繰りなどは発生していないので、人的な関係はない。経営に関しても、当社に全て裁量を持たせてくれているので、「こうした方がいいんじゃないか」というような意見も受けていない。
―今後の成長戦略で、強みとしてニッチ市場に特化しているが、旅館やホテル業全体になると、強みを薄めてしまう懸念があるかと思うが、どう考えているか
坂根社長:ニッチ市場への特化がこれまでの成功を支えたことはあると思っているが、それ以外の要因として、「この施設に泊まってみたい」という施設を目的地化するノウハウを既存のホテルと旅館にも適用させて、拡大をしていきたい。
―楽天やじゃらんがいるが、ユーザーの予約を増やす点で、競争優位性をどのように確立するのか
顧客の60%は当社でしか予約が取れないようになっている。それが完全集客支援というパターンだ。当社の媒体でしか予約を取れない施設を多く抱えているところが、他社との大きな差別化で優位性になっている。
―ほかのサイトには載せないということか
そうだ。
―ペットと宿泊できる施設に特化している理由は
元々、リゾートグランピングのサービスから始め、ペットと泊まれる部屋を取り扱ってきた。昨今のペットブームで市場規模が伸びており、需要が高いと感じるなかで、ペット専用の媒体が、なかなか世の中になかったので、皆の利便性なども考えてサービスをスタートした。今のところは好調に推移していると感じている。
―今年インバウンド向けのサービスを強化するということで、欧米からの観光客に対して具体的な戦略とは
ペットツーリズムの犬宿というサービスをスタートしたときに、Webの集客支援のサービスと合わせて、直営施設を南房総で同時に開業した。その狙いとして、直営施設を持つことで、様々な実験をどんどんできる。Webサービスと直営施設をセットでローンチすると、相乗効果が高いことが分かった。これからインバウンドに取り組むにあたって、今年12月を目途に、国内の人も泊まれるが、海外の人向けのホテルを取得し、運営を開始したいと考えている。そのタイミングで、インバウンドの集客支援を大きくスタートさせたい。
―(インバウンド向けのホテルの)具体的な場所は決まっているか
まだだ。
―グランピングとリゾートヴィラが主な対象施設になっているが、そのうち顧客にできている割合はどれぐらいか。また、その拡大の余地はあるか
まずグランピングで説明すると、定義が少し曖昧なところがある。例えば、ホテルの1室にテントを置いて、グランピングと言っているところもあり、母数の把握は難しいだろう。 なので、説明しにくいが、グランピングは、当社の顧客ではない企業がたくさんあるので、市場は多くあると思う。リゾートヴィラの説明をすると、例えば、当社の顧客でも結構いるが、使っていない別荘や空き家を改築して施設にするケースはたくさんある。そのようなことを考えると、日本全国に別荘や空き家は多くあるので、まだまだ大きな市場だと感じている。
[キャピタルアイ・ニュース 北谷 梨夏]
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