12月18日、キオクシアホールディングスが東証プライムに上場した。初値は公開価格の1455円を1%下回る1440円を付け、1601円で引けた。同社は2019年3月に設立。メモリやSSD等関連製品の開発・製造・販売事業などを営む。早坂伸夫社長が都内で上場会見を行った。

■設備投資で成長を目指す
ー初値は公開価格を下回った。2018年の独立後から上場まで6年かかり、前回の上場承認時から時価総額は半分以下の水準になっているが、これに対しての受け止めは。また、今後どのように企業価値を高めていくのか
我々は1455円で(公開価格を)出したが、それを少し下回った。それも瞬間的で、たった今はかなり大きく戻している。これからどうなるか分からないし、価格の話もあったが、上場してまずは安心した。当社の技術力や生産効率の競争力に自信を持っており、それをバネにして、さらなる企業価値の向上に努めていきたい。
ー企業価値の向上については今後具体的な戦略はあるのか
強いところをさらに強くし、マーケットのなかでもポテンシャルを上げていく。それを投資家を含めてアピールしていければ必ず、(企業価値の向上が)できると考えている。
ー2020年に1度、東京証券取引所から上場が認可されてから4年間タイミングを計っての今回の上場になったと理解している。調達額をもっと大きくできるタイミングもあっただろうが、なぜまだ市況が回復していないこのタイミングになったのか。また、今回の調達額が満足のいくものであったのか
4年前にも1度やったが、そこでできなくてこのタイミングで出たのはなぜかということについては、4年前と今を単純に比較するのは難しい。それはなぜかと言うと、インフレや世界経済のファンダメンタルズが変化していることなど、地政学的な問題も昨今たくさん起こっている(からだ)。全体として4年前と同じ状況にはないため、直接比較するのは難しいだろう。ただ、この4年間で本質的な技術力やコスト力などがずいぶんと改善し、だんだん強くなってきている。そこを中心に、資本市場に対して我々の価値を訴求していきたい。
ー今回の調達資金の使途について、2つの工場の設備や建屋の建設などに使うと案内があったが、もう少しどちらにいくらなどのイメージがあるか、あるいは今後市場を通じた新たな資金調達をするとすればいつ頃を考えているのか
花澤秀樹CFO:持っている製品で、特に「BiCS8」(第8世代の3次元フラッシュメモリ)が競争力があると考えている。この「BiCS8」について、市場の需要を見極めながら、設備投資を実行していきたい。今回調達した資金はこの設備投資に充てていきたいが、一方で、この設備投資は営業キャッシュフローで獲得するのが基本の考え方だ。これをさらに調達資金によって補完していくことになるので、今回調達したものがどちらの工場というよりも、競争力のある製品を今後立ち上げていくなかで、それぞれで実施していきたい。
■株主との密な会話を継続
ー上場を果たしたことで経営の自由度が高まると思う。今までベインキャピタルと東芝、HOYAが持っていた状況から上場前と後で、例えば、設備投資の意思決定や研究開発の方向性など、どのように変えていくのか
早坂社長:確かにベインキャピタルや東芝など大株主がいるなかで、例えば、投資の決定は取締役会のなかに大株主として入っているベインキャピタルと協議して行っている。上場するが、当面その構造にあまり大きな変化はないと考えている。今後とも、大きな株主を含めて話し合いをして決めていきたい。もちろん今回は新しい株主も来るので、そういう人とも十分にコミュニケーションを取りながら、そのようなことを計画していきたい。
ー意思決定の取締役会の構成などを含めてあまり変わらないのであれば、上場した意義とは
財務基盤を強化するための資金調達の多様化ができたことが1つで、とても大きい。もう1つは、事業展開をするうえで、優秀な人材を採用していかなければならない。上場することにより、社会的に1つ違うステージと見てもらえることもあり、優秀な人材を集めやすくなるので、上場の意義は今の状況で十分に享受できると思っている。
ー株主との関係だが、これまで2人3脚でやってきて、引き続き大株主であるので、状況はあまり変わらないと説明もあったと思うが、今後どのようになるのか。もう少し独立して自由に戦略を組んだりするのか。それともグローバルファンドと協力することにメリットがあるという感じなのか
矢口潤一郎常務:ベインキャピタルとの関係についてだが、大株主であることは、今回売出数は比較的少なく変わりないが、執行サイドとしては基本的に少数株主を含め、これまでのようにベインキャピタルを特別(に扱う)という体制はもうできない。そこは、フェア・ディスクロージャーを含めて、情報については大株主であろうが、少数株主であろうがきちんとシェアしていきたい。
同時に、ガバナンス体制を、特に取締役会を、ベインキャピタルからの取締役が2人、それに加えて社外取締役も2人配して整えたので、上場会社としての問題は特にないと思っている。一方、どれぐらいの期間をかけてセルダウンしていくかについて話す立場ではないが、企業価値を向上させる意味では、目標は同じ方向を向いている。引き続き対話を密にし、取締役も配しているので、戦略的なアクションについても議論していきたい。
ー今までは非公開のファンドを中心に持っている会社だった。独り立ちしてパブリックカンパニーとしてやっていくと思うが、日本にとって、そのようなメモリ会社があることに何か意義があるのか
早坂社長:直接答えになっているかどうか分からないが、やはり新しい半導体が世界的に経済安全保障の観点からも非常に重要であると考える。政府で様々な支援が出ており、我々も(支援を)もらっていて大変嬉しいし、いい動きだと感じているので、ぜひ続けてもらいたい。そんななかでも、日本発の技術で、NAND型フラッシュメモリを育て上げ、ここまで来ているポジションは、国際安全保障の観点からも良い状況だと見ている。
是非サポートしてもらいたいが、サポートをお願いするだけではなく、我々が強くなければならないし、競争力を持っていなければならない。ただ、自信もあるので、サポートしてもらっている。そんな環境のなかで、事業をさらに強くしていくのは、日本の半導体安全保障の観点からも、とても良いことだと思っていて、我々が目指す道をしっかりとやっていく。
ー株主還元についての考え方を聞きたいが、特に今期からしっかり配当していく計画なのかということと、配当性向、総還元性向で定量的に示せる数字があれば教えてほしい
花澤CFO:まだまだ財務体質を強化していかなければならない。財務体質を改善しながら、研究開発を含めて持続的な成長をするための投資をやっていきたい。(レバレッジレシオ1倍程度となるような)財務体制になっていくようななかにおいては、現在決まったものは何もないが、株主還元などについて、そのときに考えたい。
ー2020年の上場を予定していたときは、グローバルコーディネーターが9社だったが、今回は3社になっている。その背景や戦略について
矢口常務:1つは、2020年のときは売り出しも募集金額も今回よりもおそらく3倍程度大きかった。今回は総額1150億円で募集と売り出しを行ったので、それに合わせてアドバイザーを絞った。
■レバレッジレシオ約1倍を目標
ー現在の資本財務状況は有利子負債やデットにかなりレバレッジのかかった状態と理解している。例えば、親会社の所有者帰属持分比率や有利子負債の規模、ネットD/Eレシオなどのような基準でも構わないが、どのような水準が適切であって、そこまでにどのようにデレバレッジしていくのか。それは追加の資本調達が必要であるのか、あるいはキャッシュフローでデットを返していくのか、その考え方と指標について花澤CFOに聞きたい
花澤CFO:財務体質は非常にデットが多い状態なのは事実だ。ただ、これは買収ファイナンスによるLBOローンが元々あり、我々自身の事業のなかで作られたものではない。まずは、営業キャッシュフローを獲得し、設備投資などを実行して、この部分から借入金の返済を実行していくことが1つの基本的な考え方だ。併せて、上場したことで、様々な形の資金調達手段を活用できるようになると考えている。今日の時点で具体的なものが何か決まったものがあるわけではないが、今日をもってしっかりと考えていきたい。
そのうえでの目標だが、基本的にこのレバレッジレシオをという形で、EBITDAに対する有利子負債の比率を目標として1倍程度にまで改善していきたい。様々な資金調達をする際に、レバレッジレシオが1倍程度になると、より多様な手段が選択可能であろうと既にいろいろスタディしている。従って、そのようなところを目指したうえで、将来的にはネットキャッシュポジションも目指していきたいと考えているが、まずは資金調達手段の多様性が確保できたなかで、レバレッジレシオ1倍程度が目標だ。
ーEBITDAと負債のレシオの1倍程度っていうのはどれぐらいのスケジュール感で達成しようという考えなのか
そこだけ具体的にいつという目標の日程を立てているわけではない。ただ、直近の業績だと、それを年間ベースに直していくと1.2倍程度で安定した基準になっていくので、早い段階でそのような水準を目指していきたい。
■他社との共同開発や連携
ーRapidusへ出資しているが、今後どのような成長を見込んでいるか、また協業ビジョンなどはあるのか
早坂社長:日本の半導体産業の復活と産業基盤の強化ということで、Rapidusの趣旨に賛同して、出資している。ロジックとメモリの違いはあるが、今も一部協力している。今後もできる範囲ではあるが、協力できることがあれば、検討していきたい。
ー(Rapidusと)具体的に何かこれから開発などしていきたいことはあるのか
ロジックとメモリなので、いきなり今日だとか何だとかそういうのはできない。
ー協業という点について、SKハイニックスが完全出資で株主としていたが、上場によって関係性が変わると承知している。同社との今後の付き合い方とは
SKハイニックスと当社は、直接の株主ではないので、同社がどのように考えているのかに関しては、我々はコメントする立場にない。
ー工場の運営で協業しているウエスタンデジタルとの協業で、資本と運営の部分が乖離している状況が続いていると思うが、この点の整理やビジョンのようなものはあるのか
20年来のパートナーシップを続けており、現在でも非常に強固なものだと感じている。当社も上場したが、ウエスタンデジタルもスピンオフして上場という話はもちろん知っている。どちらも上場しても、我々がやっているパートナーシップやジョイントベンチャーの関係は壊れるものではないだろう。
ー新しいメモリについて、これを実際事業化するときにMRAMはSKハイニックス、それからOCTRAMは台湾の南亜科技社と共同開発していると思うが、これを事業化にあたってはどのようなスキームを考えているのか。例えば生産面での連携やジョイントベンチャーの立ち上げも含めて新メモリの開発パートナーと事業が立ち上げられたときにどういうスキームになるのか
台湾と韓国のメーカーと新製品に関しては共同で開発している。どういうフェーズかというと、まだ開発のフェーズで、いきなり事業という話にはなっておらず、もう少し研究開発の時間がかかるだろう。ただ、そうは言っても、その先どうなるかをそろそろ考え始めなければならないということで互いに話しているというよりも、まず個社同士でどうしようかと考えている段階だと思う。
事業を進めることになった場合には、今後の開発の進展を見ながら、もう少し明確に会話もしなければならないし、我々としても決めていかければならないかもしれないという段階なので、なかなかはっきりしたことは言えない。ただ、やはり将来に向けて夢のある技術だと思っているので、人もお金もかけて、継続したい。
―これからの話だろうが、生産面の連携やジョイントベンチャーも含めた選択肢も含めて協議を進めていくという理解で良いか
具体的にはまだ決まっていないが、製造をどうするのかや、本当に事業化しようとするとそのへんがすごく大切になってくるので、まさにそういったことを将来にわたっては検討しなければならない。
ーコメントする立場にいないと思うが、ウエスタンデジタルと関係性を深めていく可能性はあるという理解でいいのか
深めていくというような話をされても、具体的にはよく分からないが、今までも深まっており、その関係で続けていこうと思っている。
ー昨秋にも(ウエスタンデジタルとの)統合について計画が進んだ動きがあったと思うが、今後NAND市場に競合が多いなかで、どのように戦っていくのか。資金力の強化という面では、どこかと一緒になったほうがいい気もし、競合他社を見ると資金力があったり、DRAMを持っていたりなどあると思うが、NAND専業のキオクシアとして単独で戦っていけるのかどうかの認識について
ウエスタンデジタルとの統合に関して、基本的に当社からもウエスタンデジタルからも正式に発表したものではないので、コメントを差し控えたい。 そのような話が何か進んでいるのかと言われても、これは全くない。
「NAND事業は1つで大丈夫なのか、資金力は大丈夫なのか」の質問に関しては、NAND事業として、非常に強い物を持っている。強みを活かしてビジネスをやっていけば、今でもそうだが、NANDフラッシュメモリの業界では我々は良いポジションを持っていると見ている。我々が相手にしているNANDフラッシュビジネスは、今後ともAIの普及などによって拡大をしていくと言われている。そういった環境のなかで、まずはNANDのビジネス1つと言われれば1つだが、それでもしっかりと事業を続けていけるだろう。
ー将来的にウエスタンデジタルかどうかは分からないが、どこかと一緒になる可能性は考えているか
その将来の可能性については答えることはできないが、常に将来の戦略的にどのようにしようかと、我々のなかでは検討している。少なくともここで話ができるような明確なものはない。
■NANDビジネスでシェア奪還
ーフラッシュメモリの世界シェアがかつて20%程度あったと思うが、おそらく今は12%程度になっており、なぜこのシェアが下がったのか、その原因はなにか。また、挽回は可能なのか、可能だとすれば決め手となる対策は何か
シェアの出し方も様々あるので難しいが、12%ではないだろう。少なくとも世界的に上から見ると3番目のシェアを持っている状況を把握している。確かに開発当初はたくさん持っていたが、やはりそこに新しい参入業者が入ってきて、シェアが減ってきているのは事実だ。ただ、将来に向けても様々な手を打っている。それからNANDビジネスをやるための強みを持っている。これをやっていけば、シェアの奪還を含めてやっていけると見ている。
ー私の調べたデータがまずかったかもしれないが、いずれにしても韓国の2社のハイバンドメモリが生成AIで、より高い需要があり、それに付随してフラッシュメモリのシェアが劣後せざるを得ないような状況があるのかどうか。もしあるとすれば、どのように解消できるのか。何らかのアライアンスやパートナーを見つけて、ハイバンドメモリのセットで販売できるようなやり方を考えないのか
ハイバンドメモリと言っているのは、HBMのことだと思う。HBMは基本的にDRAMで、NANDフラッシュメモリではない。「それを2つ持っていればいいんじゃないか」と言うかもしれないが、残念ながら我々はDRAMがない。そうは言っても、NANDフラッシュメモリ自身も市場が大きくなっていく。そのようななかで技術力を注いでいくということでは、強みを持っている。NAND事業だけでも今はやっていける。ただ、将来に向けては、そのようなことも検討しなければならないかもしれないし、実際にフラッシュ以外の新しいメモリにも投資をして、研究開発をやっている状況もある。そういったものがうまくいけば、NANDビジネスのほかに、新しいビジネスの柱が立てられると考えている。
ー足元でNANDの需給が少し緩んでいて価格が落ちていると思うが、これが短期的なものに終わるのかどうか、あるいは少し長引きそうなのかという短期的な市況の目線について。もう1つ、DRAMも多分価格が落ちているが、DRAMはHBMがあり、そこで収益を保てると思う。HBMと並ぶ収益を確保できるようなアイテムがまだNANDの業界に多分ないが、それをどういうふうに今後作り出していくのか。推論なのかどうかよく分からないが、そのへんも含めてを短期と長期でNANDの付加価値をどう維持または高めていくのか
まず、「短期的な売価がどうなるんだ」、「プライスがどうなんだ」ということだと思うが、NANDは2022年の終わりから2023年にかけて、業界全体で状況が大変悪くなった。生産量も販売も大幅に減ってしまった。そのようなことがなぜ起こったのか大雑把に言うと、過剰供給というか、皆が投資をしすぎて、物をたくさん作りすぎた。それが顧客のところで在庫になって溜まり、プライスが落ちていった。それは皆もう業界全体で大体理解している。
業界全体のコンセンサスとして、投資を規律正しくやらなければならない、過剰に物を作ってはいけないというコンセンサスができていると感じる。そういった状況で、今は決して在庫が多い状況(ではない)と、セグメントによってはそういうところも少し出始めていると聞いているが、2022~2023年にあったような大きな変動は起こらないだろう。それはなぜかというと、規律正しい投資を行っているからだ。それから在庫もそれに伴ってあまり増えておらず、部分的に少しこうなっているところはあるかもしれないが、そのような状況だと思っている。
ー先ほど少し聞き方が良くなかったかもしれないが、従前の説明でAIのなかで、その推論になるとストレージのデマンドが増えると説明としてあったと思うが、今のこの学習主体から推論主体になったときになぜそんなにストレージの需要が大きく増えるのか。少し理解が半分できていないところもあり、教えてほしい
大規模モデルを作るときに学習をする。でもそれは、ものすごく大きなシステムで、ものすごく高価な装置でやっていく。そこでは非常に速いメモリ、例えば、HBM、DRAMのでかい容量のものも使えるが、実際にはそこにはNANDも使える。だからそういうものが拡大していくに従ってNANDも使われはするが、それほど大規模なモデルを作るのは世界中にそんなに多くあるわけではない。NANDがたくさん増えるのは、推論と言っているのは、例えば、PCやスマホなどでできるようなシステムを作らなければならない。
推論が出回ることは、例えば、個人でそれを使う人たちがいっぱいできて、そういう環境を揃えると、ものすごく大きいモデルで数少ないところがすごい容量を買ってくれることもある。けれども、やはりNANDみたいなものは台数がいっぱい出ると、例えば、少し小さいがAIサーバーみたいなものを、個人で使うようなものから何から、企業から、それがたくさん出ると、これによってNANDも需要が増えていくという効果が大きい。我々が言っているのはそこのことで、推論が個人や企業でたくさん使われることによって増えていくだろう。そのようなことを予測している調査会社もある。
■事業コントロールで柔軟に対応
ー業績は半導体市況の波に翻弄される側面があると思っており、次の不況の波が来たらまた大変なことになるのではないかという懸念もあるが、そういった懸念に対してどのような備えが必要だと考えているか。またそれと関連して、NAND以外のビジネスの柱の模索について具体的に教えてほしい
花澤CFO:改めてダウンターンがあったら、どうなるかというような質問だが、我々は今回の厳しいダウンターンにおいても、他社に先駆けて、減産することも含めて、生産をコントロールする。そして技術力のある製品を開発して、今回復させているところだ。一方で、次のダウンターンについての質問があるのかもしれないが、足元において、パソコンやスマホなどのアプリケーションで在庫調整などがあるのかと見ていて、2025年には回復すると想定されている。
同業他社、我々を含めて財務規律を持って、事業に対して製造能力をつけていく、設備投資を実行していくという財務規律が業界としてできていると思っているので、すぐにダウンターンが来ると考えてはいない。ただ、備えという意味では、事業をコントロールすること、そして将来に向けた投資あるいは開発をやることによってこれを乗り切っていきたいと考えている。
―もう1点の質問、NAND以外のビジネスの柱について具体的に教えてほしい
先に何を作るか、将来何を作るか、何が必要かということもあるが、それは大切で、研究開発への投資はそれをしっかりとキープしている。顧客のニーズとしては、「NANDは大容量で安くて良いが、ちょっとスピードが足りない」といったことも言われている。「DRAMは早くて良いが消費電力をいっぱい食う」とか「高い」というふうなことも言われる。そのちょうど中間が空いている。そういったところに差し込める良いデバイスはないかと、我々の研究開発は、割とそこにフォーカスしている。 DRAMやOCTRAMという新しいデバイスなどの研究開発をやっており、もう何年かかかると思うが、そのようなものがうまくできて要求されているところにはまれば、NANDともDRAMも違うということで、新しいビジネスの柱になるのではないかと考えている。
―2つ教えてほしい。来年に米国でトランプ大統領が就任して、米中対立の激化が意識されるなかで、NANDの価格にどのような影響が出る可能性があるのか。もう1つは、AI以外にNANDの市況を大きく動かせるアプリケーションにはどのようなものがあるのか
トランプ氏が大統領になって我々の価格に変動があるかということに関しては、まだ具体的に本当にどうなるか、噂というか、新聞紙上ではいろいろ話されてはいるが、実際にどうなるのか正式に決まったわけではない。ただ、そうは言っても、どんなことになりそうなのかというのは我々も、いろいろなルートを使って情報を収集している。今の段階で「こうしよう。ああしよう」と言うのは難しいが、事が起こった時には対応できるようにしたい。
AI以外のアプリケーションについては、NANDフラッシュメモリはいっぱいあるが、大きなところでスマホ、それからもう1つは大きくはデータセンターだ。データセンターとは何かというとサーバーだ。データセンターのなかで使われるサーバーもしくはストレージのシステムといったものだと思っている。
AIが発展すればということになるが、どこに使われるかというと、例えば、クラウドなどで使われているデータセンターのなかのサーバーシステムに使われている。そこが拡大するかしないかというところだ。それ以外に何かあるのかと言われてみると、それがメインというか、大きいところはそこだ。それに匹敵する新しいマーケットがあるかと言われると、今のところない。ただ、小さいところはたくさんある。自動車やカメラ、そういったものはたくさんあるが、スマホ、PC、データセンター、これが大きいところのビッグスリーだと考えている。
[キャピタルアイ・ニュース 北谷 梨夏]
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