12月26日、フォルシアが東証グロースに上場した。初値は公開価格の1750円を108%上回る3640円を付け、4340円で引けた。膨大かつ複雑なデータから必要な情報を的確に検索する技術基盤「Spook」を基にした「デジタルビジネスプラットフォーム事業」を営む。ソリューションの提供と、その過程で得た技術・知見でSaaSプロダクトを構築。旅行・観光業界向け商品販売プラットフォームである「webコネクト」を主に手掛ける。屋代浩子社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

―公開価格を大幅に上回った初値だったことへの受け止めは
本当にドキドキの1日だったが、初値が公開価格をオーバーし、ストップ高で引けた。マーケットからの期待を大変嬉しく思っている。
―屋代社長は野村証券やゴールドマン・サックス証券など証券畑を歩んできたが、会社創立のきっかけは
元々金融系にいたが、私の経験則ではなるべく早く正しい情報を入手することが次のステップにとってプラスになるという考え方がある。金融業界は本当にデータドリブンで、いろいろな意思決定が起きていた業界に行ったが、片やWebが台頭してきた23年前の世の中では正しい情報をすぐに探し出すことがものすごく難しかった。
金融の発想を例えば、リアルビジネス、リアルな物やサービスを買う時に、正しい情報を正しくデリバリーできる世の中が作れたら良いと思って、そういうシステムを作ってユーザビリティを上げたいという思いで起業した。
―検索技術について例えば、GoogleやYahoo!という世界的な大手が存在するが、フォルシアの検索技術上の競合はどこか
検索は本当に多岐にわたっていて、例えば、フォルシアの検索とGoogleの検索の違いで言えば、GoogleはWeb上のデータを対象に検索をかけるが、フォルシアはリアルビジネスデータをリアル顧客と直接繋いで、今予約できるものを提供できる。「今在庫があるものを検索する」。そういったことができるのが検索の1番の違いだ。
―独占的で、特に競合として意識している相手はいないのか
屋代哲郎COO:ツールやプラットフォームという形で提供しているという意味ではおそらくあまりないが、一般的な旅行業システムとして、大手のシステム会社が過去にそういう旅行会社のシステムを受注して作っているので、それとは競合関係にあると考えている。
―旅行事業全体の見通しについて
屋代社長:インバウンドも含め、大変活況になってきており、オーバーツーリズムが問題になってきているぐらい人々が動いている。
単純に人を動かすだけではなく、オーバーツーリズムもあって「人がたくさんいるのをもっと分散させて動かそう」、あるいは例えば、「値段をダイナミックプライシングにして需要を分散させる」ことも含めて賢く検索できるプラットフォームを作っていきたい。
コロナ禍で人が動かなくなる場合は別として、人は必ず動くので、その動く状態をプラットフォーム上でスムーズにしていけるものを目指したい。
―ワールドワイドに、中国人や米国人旅行者向けにという展開は可能か
今は国内のいろいろな商材を繋いでいる状態で、そこに海外の人も繋いで検索してもらうことは視野に入っている。
―訪日旅行に関係なく世界中の旅行客をターゲットにできるのか
そうだ。
屋代COO:まずは訪日客が中心だと思う。海外での利用は将来的にあるかもしれないが、それほど短期的な話ではない。
―主要取引先の割合は今後も大きく変わらないのか
屋代社長:本当は旅行・観光の割合が下がるぐらいほかの検索もどんどんやっていきたいところだが、足元ではやはり旅行ニーズが強い。今の我々の体力で、そうした大きなニーズを充足させていくなかでは、この割合はそれほど下がっていかないと考えている。
―株主還元の方針について
グロース市場なので、フォルシアの成長第一で、企業価値を上昇させることで株主に還元する。当面は配当という形では考えておらず、成長に力を注ぎたい。
[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]
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