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上場会見:GENDA<9166>の申社長、アミューズメントから隣接領域へ

28日、GENDAが東証グロースに上場した。初値は公開価格の1770円を7.51%下回る1637円を付け、2037円で引けた。アミューズメント施設やオンラインクレーンゲームなどを運営する。2020年10月に買収したセガエンターテインメントのゲームセンターを引き継ぐ形で事業を拡大し、「SEGA」から改めた「GiGO(Get Into the Gaming Oasis、ギーゴ)」の屋号で246施設(5月末時点)を運営する。イオンファンタジーなどで社長を務めた片岡尚会長が2018年5月に創業。創業から5年で国内外のエンタメ関連企業を11社買収した。申真衣社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

申社長は、動画配信とプライズ(景品)の2次流通経路の確立、SNSでの発信の3要素を背景とするプライズゲームの成長について説明した
申社長は、動画配信とプライズ(景品)の2次流通経路の確立、SNSでの発信の3要素を背景とするプライズゲームの成長について説明した

―初値の受け止めは
今日は政策決定会合があるということで、市場としてもイベントに満ちた1日だったが、初値とその後の取り引き全体を含めて、一定の評価を得たと受け止めている。

―日銀の長期金利操作の修正があったが、今後の調達などに与える影響は
我々の負債の調達は、大体5年までとしているので、5年の金利が今日のイベントによって多少上振れしていくことがあると思うが、ただちに負債の調達のレートや事業に大きな影響を及ぼしてくるものではないと見ている。

―上場の目的だが、よく言われるのは既存株主への利益還元や認知度向上、資金を調達しての投資もある。海外募集や親引けもしている。中心となったのは
上場の目的としては、社会的な信頼をもっと得ていくことも1つだが、我々はM&Aをやってきたし、今後も戦略の真ん中でやっていきたいので、資金調達の手段の多様化は必須であり、株式はもちろんそれ以外の調達手段も広げることを意識している。

―ゲーム・アミューズメント業界のなかでの上場という意味では、以前は上場が続いた時期もあった。今回は業界にとってもいいニュースだろうが、この業界の将来性は。また業界のなかでどのように成長していきたいかメッセージを
直近の決算でいうと、各社が最高益で、市場が非常に良い状態であると認識していて、皆と一緒に市場を伸ばしていきたい気持ちがある。あとはゲームセンター市場のなかで、まだ小さい事業者がかなり存在していて、承継のタイミングを迎える事業者も多いと推察している。その受け皿となり、強固で大きなプラットフォームを作っていきたい。

―国内外の機関投資家からの評価が高いと聞いている。公募株式の65%を機関投資家が取得し、海外配分比率も52%で過半数となっている。なかでも海外機関投資家はどういった点を評価したのか
具体的にどこかというきちんとしたフィードバックは得ていないが、我々がポジショニングしている市場や戦略の説明、これまでのトラックレコードを丁寧に伝えてきた。そこに対しての評価を得られたと考えている。

―旧臨時報告書方式で 初めてIoI(Indication of Interest)とコーナーストーン投資を両方実現したが、実務的な意味合いや後続案件へのインパクトは
非上場の頃からクロスオーバーの可能性を探っていた時期があり、数多くの投資家と話す機会を得て、このような形で関心を得た。本邦初であったということもあり、今後の良いプラクティスになれば良い。

―ビジョンである「2040年までに世界一のエンタメ企業に」という言葉の意義について。クレーンゲームなどのプライズゲームをずっと伸ばしていくのか、例えば、統合型リゾートやオンライン、XR系のものなどアミューズメントはいろいろなところへつながっていきそうだがどうか
事業領域はエンターテイメント全域で、世界中の人々をより楽しくという意味で、質・量ともに楽しさを増やしていきたい。その過程において事業領域を拡大していくことは当然に考えられるが、足元については最も得意とするアミューズメント事業に特化し、そこから隣接領域に広げていきたい。

―世界一のエンタメ企業にするために、成長のキーになる事業領域は現時点で何か
まず、国内のアミューズメント事業で1位になることを近くの目標にしているので、そこをきっちりやり抜いていくことが1番のキーになる。

―プライズゲームを運営しているが、日本の大手のゲームセンターの企業は開発部門を持っているところも多い。開発部門への進出は
開発ではないが、自社向けのプライズの企画も多少行っている。今後、広げていく可能性も見据えていきたい。

―Web3やNFT(Non-Fungible Token)、ブロックチェーンへの関心は
技術面としては発展を注視しているが、今この時点で事業にそれを展開することは計画していない。

―M&Aで良い会社を買い、入れ替えたりもするだろうが、その領域は今のものだけなのか、それともLVMHのような領域も手掛け、ガチンコ対決を挑むこともあるのか。あるいは国内外のどの辺りに集中的に取り組むのか、方向性について聞きたい
2040年の我々の姿としては日本だけでなく、世界中のいろいろな所で事業を展開したいが、国内のゲームセンター市場が非常に伸びているし、まだまだロールアップの余地がある。そこが軸足になると見ているが、より広い範囲で、隣接領域からより離れたところまで、将来的には広げていきたい。

―M&AのPMI(Post Merger Integration)で大事にしていることは
主にゲームセンターのM&Aを行ってきたが、ゲームセンターは固定費が非常に大きく、限界利益率が高いビジネスなので、まずは固定費を抑えた。そこから売り上げをどうやって上げていくかということをやってきたわけだが、それが非常によく機能した。

固定費を下げることについては、ゲームセンターは非常に人件費が高いビジネスではあるが、人件費には一切手を付けずに、いままでいてくれた従業員に引き続き活躍してもらっている。

―AIを使って良い働き方をしている店長や従業員の動きをシステム化していく取り組みをしていくとのことだが、進捗と今後はどうか
ゲームセンターの運営は、我々が取得した時にはかなりマニュアルが多い状態だったので、そこを1つずつデジタル化していくことは始めている。まだAIを活用したものが機能するところまでは行っていないが、順調に進捗している。

―米国では共同で事業を展開しているが、世界一のエンタメ企業として、台湾や米国などに関する展望は
米国は、まだホワイトスペースが大きく、とても楽観的に考えていて、一生懸命取り組んでいるところだ。台湾についても、元々セガサミーグループが運営していた3店舗を譲り受けており、そこから今年さらに1店舗を出して、徐々に店舗網を増やしていきたい。

―特にアジアを重視するのか
地域としては、片岡尚会長が、元々、イオンファンタジーで海外事業に主に取り組んでいた時に、東南アジアにかなり積極的に出店してきた経験があるので、その得意というものは伸ばしていきたいが、現時点で東南アジアのほかの国に出店することは、計画上決まったものはない。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

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