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上場会見:ココルポート<9346>の佐原社長、淘汰が始まっている

3月31日、ココルポートが東証グロースに上場した。初値は公開価格の3150円を31.27%上回る4135円を付け、4835円で引けた。障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービス事業を手掛ける。「就労移行支援・就労定着支援・指定計画相談支援サービス」のほか就労移行支援の前段階である「自立訓練サービス」を提供する。佐原敦矢社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

株式会社ではあるが、福祉の基本的な考えである個別対応を徹底すると話す佐原社長
株式会社ではあるが、福祉の基本的な考えである個別対応を徹底すると話す佐原社長

―初値の受け止めは
ストップ高で終了したと聞いており、嬉しくも身の引き締まる思いで、期待に応えられるように精進したい。

―サービスの利用者数は
就労移行支援事業所では、卒業生や実習生も入れると、契約者は1500人程度だ。自立訓練はおおむね500人で、この4月に大きく増え600人ほどになる。定着支援は、就職した人も全て合わせると3500人程度だ。

―ココルポートは大手なのか
就労移行支援事業では大手3社があり、LITALICO<7366>やウェルビー<6556>は東証プライムに上場している。我々は3番手と言われている。

―就労支援を求める人たちの数には天井があるのではないか。各社で棲み分けができるのか
鬱になった、あるいは発達障害と診断されることで一定数が自然に増える。事業所が多くなればなるほどパイの奪い合いになる。定性的には支援の質、定量的には就職者数や定着率が、利用者が事業所を選ぶ指標になるのではないか。支援の質によって、「あそこはやめておこう」といった淘汰が始まっている。

―事業所を広げるために必要なサービス管理責任者を採用できている理由は
サービス管理責任者を外部から採用することは、一般的にはとても難しい。現在の法律では責任者の要件として、各都道府県が研修をするが、半分以上が落とされる。2つの研修を終えて、その人が2年間の実務経験を積み、最後に実践研修を受けて初めて責任者になる。こうした人は市場にはもうほとんどおらず、社内で養成している。今後も育成して事業を展開したい。

―個別支援に注力する結果として支援プログラムが増えた後に、統廃合したとのことだが、そうしたものは類型化できるのか
ソーシャルスキルトレーニングといい、多岐に分かれていたが分類して名前を付け、Webにアップロードしている。従業員であれば誰でも見られる。利用者にとって、その事業所でもっと良いプログラムがあれば応用し、あるいは全く新しいものを提案できるように権限を委譲している。今この時にも新しいものが開発されているかもしれない。それらを本社で整えて上げ続けている。

―テクノロジーの導入は
今後できれば良い。例えば、現場での支援状況を毎日1人ひとりに関して記入しているが、システムを通して、その情報を国民保険団体連合会に送信して報酬を請求できるようになればと思う。いろいろなハードルがあってまだできていない。

他社では、報告内容に特定の言葉が継続して現れた場合に、職員に注意を促す支援技術を導入していると聞いている。今後の課題だ。それも含めて、今、その道の権威である東京大学や福祉系の研究者と研究を始めている。

―ドミナント展開を活かして西のエリアに展開するとのことだが、東北や北海道は
今のところはないが、関西圏や東海圏、福岡がある程度整ったら、東北や札幌への進出もあり得るが、その際に判断する。

―調達資金の使途は
事業所の拡大が最も大きい。もう1つは情報システムだ。システムで簡素化・効率化でき、あるいは扱う個人情報に関するセキュリティを確保する。加えて、優秀な人を採用したい。在庫もなければ、工場も売る物もないので人材を大切にしたい。

―配当政策は
当面は成長性で還元したい。安定成長に入った時には配当性向を考えて進めたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

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