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上場会見:湖北工業<6524>の石井社長、EV需要とメタバース

21日、湖北工業が東証2部に上場した。初値は公開価格(4000円)を32.5%上回る5300円を付け、5110円で引けた。同社は、滋賀県長浜市に本社を置き、アルミ電解コンデンサの主要構成部品であるリード端子と、光ファイバ通信網用の光部品・デバイスを製造・販売する。売上シェアはほぼ半々で、両事業とも世界でトップシェア。石井太社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

第2の創業期として両事業を拡充し、グループを発展させると話す石井社長
第2の創業期として両事業を拡充し、グループを発展させると話す石井社長

―初値が公開価格を上回ったが、感想は
投資家に評価してもらったものと率直に感じている。このことは全社挙げてIPOに取り組んできた社員にとっても喜びが強く、モチベーションが上がったので、投資家の期待に応えられるように、これから戦いが始まっていくが、良いスタートが切れた。

―セレモニーで鐘を鳴らした感想は
正に上場企業としての戦いの火蓋が切られたということで、気の引き締まる思いに加えて、ある面、東証の承認を得ることは大変なことなので、良い意味で喜びを思った。

―この時期に上場した狙いは
リード端子については100年に1度の自動車革命のなかで、これからEVの需要が急激に増大していくと思う。光通信分野については、自動運転やメタバースと呼ばれる仮想現実ビジネスなどをGAFAを主体とする世界的な情報通信量の高まりに対応していくべく当社の光部品デバイスも大きな伸長が見込める。それらに向かって人的資源の確保、資金調達資源の多様化など、上場のメリットを活かしながら、アクセルをふかして企業の発展につなげる目的で、このタイミングで上場した。

―両事業の強みを教えてもらいたい
端子事業は、コアになる溶接、超高速マイクロ溶接という言い方をしているが、それを中心とする製造工程の全て、装置の設計の内製化をしている。合わせて、必要な特許をグローバルで66件取得して保護・確立してきた。3つ目はソフト的な強みだが、日系企業を中心とする品質を始めとした信頼関係を創業以来構築している。競合他社と大きく差別化できている。

次に光部品・デバイスだが、主力の光アイソレーターを中心に説明すると、磁気光学結晶材料の部分がキーエレメントになるが、材料の組成設計から、精密組み立てが必要となる工程をスリランカに設けていて、材料設計技術とデバイス設計技術を併せ持って、非常に厳しい海底ケーブルの品質要求に応えていける一貫した体制を確保できていることが強みと考えている。

―岸田政権のデジタル田園都市スーパーハイウェイ構想で、海底ケーブルを強化するが、それは業績にかなりの追い風になるのか
指摘の通り、非常に政治的な堅牢性も要求されるだろうから、我々は日系企業として基幹デバイスを供給していける立場にあるので、大きなビジネスチャンスと感じている。

―メタバースで情報通信量が増大する可能性があると話していたが、VR業界ではデバイスの重さなどがネックになると聞いたことがある。ハードウェアの面では、部品メーカーとして貢献できることはあるのか
ハード機器については、我々のリード端子の事業のコンデンサが電源などの分野にどれだけ使われているかということに関わるが、それについては情報がない。

北川一清常務:そこまで明確な情報はない。ただ、我々のアルミ電解コンデンサーの顧客で(製品の)軽量化や高機能化が進められているので、VRのみならず幅広く発展していく。非常に小さい部品だが、我々もさらに高機能なものを開発していきたい。

石井社長:メタバースへの貢献という意味では、10月に新聞発表されたが、来年Facebook(現Meta)が主導で、24ファイバペア(48芯ケーブル)という海底ケーブルを大西洋に敷設する。(光ケーブルは)上下で1ファイバぺアというが、そのペア数が多い最先端の24ファイバペアが初めて大西洋に敷設される。ここでは我々のアイソレーターが用いられるので、そのようなところへの貢献は間違いなくできると考えている。

―中長期的な売り上げや利益の目標は。2021年12月期予想が前期からずいぶん伸びている。需要はこれからとのことだが、どの程度伸びるのか
今期の収益のなかで、光デバイスの利益貢献が非常大きい。当該分野では、(海底ケーブルの)敷設のために、3大敷設メーカーが船をもってする仕事であり、一般消費動向と違い、政治的な処理の問題や各国をまたぐ問題、船を増やしながら取り組む仕事ではなく、今ある船を動かしながら各国をまたぐ敷設をフル生産しているような状況と理解している。顧客によると、2025年まではハイピッチで進むとのアナウンスがある。質問に対してはそのようなトーンの答えになると思う。

―リード端子事業と光デバイス事業が2本柱だが、将来の成長戦略は
2つの事業とも、自動車の100年に1度の、いわゆるCASEと呼ばれているが、リード線端子事業が直接に拡大していく。リード端子では、車載メーカーの厳しい要求に応えていけるのは当社だけだと理解している。自動車品質規格にIATF 169495というものがあるが、これは非常に厳しいシックスシグマ管理が求められる。それに応えていけるのは我々だけなので、それをアドバンテージとして、集中的にシェアの拡大を図る。

一方、光デバイスのほうは、情報通信量の世界的な増大に対応していくために、逐次、開発製品を投入して利益を獲得していく。加えて、当社独自のスラリーキャスト、SG事業を10年以上にわたって研究開発している。少しずつ売り上げを上げて次世代事業として花開かせていきたい。

―SG事業とは
我々独自のスラリーキャストという方法で、光ファイバーの素になる石英を、紫外線特性などに優れ、半導体や最先端分野に使われる自由な形状に生成する。これに10年以上取り組んでいる。半導体分野を始めいろいろな優良企業から引き合いがあり、着実に対応して売り上げを上げていく。

―新規事業の数年後の売上高目標は
現時点の実力では、数億円程度だ。

―スラリー事業について、最近上場したオキサイドも結晶の話をしていたが、そういった会社が競合となるのか
加藤隆司常務:当社のスラリーキャスト法は石英ガラスの形を作る方法で、オキサイドは結晶を作っているが、ガラスはアモルファスで結晶とは毛色が違う。当社のスラリーキャスト法で作る石英ガラスは高純度でユニークな形を作れる。この大きな用途は、紫外線をよく通すので滅菌するためのレンズの形状や、高純度のガラス部品を使う半導体装置に使ってもらえないか考えている。

―財務会計上のKPIと今後の定量的な目標は
全社的なKPIとしては、メーカーとして一定水準の営業利益率を必達で確保するという運営をしている。加えて、上場企業になったことを踏まえると、ROEのほか、さまざまな指標を今後早急に確立していきたい。

北川常務:リード端子事業は、売り上げと営業利益を大きく成長させる。KPIという意味では、車載向けのシェアは非常に高いが、徹底してさらに伸ばしていきたい。生産面のOEE(Overall Equipment Effectivenes)もある。KPIとしていて、いわゆる設備稼働効率をOEEと呼んでいるが、それについても基本的には10ポイント伸ばしていきたい。

加藤常務:光部品デバイス事業に関しては、現在も高い営業利益率を確保している。この利益率を生産性の向上や、仕損じの低減といった数値を用いながら維持していくことを目標としていく。

―全社的に目標とする営業利益率は今後策定していくのか
石井社長:10%以上を必ず達成するという方針で取り組んでいる。これを切るということは、なにがしかの経営的なボトルネックがあるという考え方を取っており、必達水準は10%と定めている。

―今後、株式での資金調達も行うと考えられるが、資金調達コストの考え方は
今のような、金利が世界的に低い状況のなか、、いろいろな考え方があるが、上場した以上は上場企業としての資金調達をメインに置いて今後の経営諸施策に躊躇なく実行していく考え方だ。

―株主還元は
配当に関しては、最終確定していないが、上場企業になったので、投資をしてもらった人に、オーソドックスに満足してもらえるように詰めていくべきだと考えている。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

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