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上場会見:グローバルセキュリティエキスパート<4417>の青柳社長、ちょうどいいセキュリティ

20日、グローバルセキュリティエキスパート(GSX)が東証マザーズに上場した。初値は公開価格(2800円)を43%上回る4020円を付け、3320円で引けた。同社は「サイバーセキュリティ教育カンパニー」の看板を掲げ、中堅・中小企業をサイバー攻撃から守るためのコンサルティングや社員教育サービスを提供する。会計システム開発のビジネスブレイン太田昭和の子会社として1984年に設立した。青柳史郎社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

セキュリティ自己の裾野が広がるなか、中小企業向けにtoo muchにならないサービスを作り続けてきたと話す青柳社長
セキュリティ自己の裾野が広がるなか、中小企業向けにtoo muchにならないサービスを作り続けてきたと話す青柳社長

―初値が公開価格を上回った印象は
想像以上に初値が高かったので、ありがたい話であるし身が引き締まる。業績をしっかり作って、IR活動で株主に対して丁寧に情報を提供することを心掛け、結果的に株価が上がっていけばいい。

―中小企業に「ちょうどいい」サービスを作り上げてきたということだが、それは完全にパッケージ化され、カスタマイズ不要で手離れがよいものなのか
そうだ。「ちょうどいい」には、いくつかポイントがある。例えば、セキュリティのルールを作りたい場合、コンサルティングの単価感がちょうどいい。その代わり、その単価で提供するためには原価を下げなければならない。コンサル事業とセキュリティアセスメントに関しては、大企業の場合にはルールを1から全て作る。中堅企業向けには、各種テンプレートやフレームワークを使って半分ぐらいカスタマイズされたアウトプットを提供することで原価を下げ、結果としてちょうどいいサービスになる。これを各サービスで行っている。

―所属人数5~10人の会社にとってちょうどいいサービスを広げたいとのことだが、少し前に上場したココペリなどがそういった規模の会社向けに事業を手掛けている。例えばそのような会社と組むことを含め、広げ方は
マーケティングを考えている。イメージとしては弁護士ポータルやドクター・ポータルのようなもので、有料会員になれば深い質問ができるといったものだ。中小企業に対してマーケティングでプロモーションをかけてリーチする。もう1つは、当社のパートナーである東京海上日動火災保険とKDDIまとめてオフィスといった中小企業を顧客に持つ会社を代理店として層を広げていく。

―意識する競合は
我々のマーケットで、中堅中小企業に対してワンストップでサービスを提供する会社はないので、あまり意識していない。単体のサービスを中堅・中小向けに提供する会社はいくつかあり注視している。例えば、「攻撃遮断くん」というサービスを持つサイバーセキュリティクラウドや、デジタルアーツの「i-フィルター」などは中堅向けに浸透してきている。そのような会社とは、我々のワンストップのなかに組み入れて、扱う商材として結果的に提供することを意識している。

―ITソリューションと教育、セキュリティソリューション、コンサルティング事業の4事業の売上高構成比がほぼ拮抗しているが、今後この割合についてどのような変化を考えているのか
それほど大きく変えようと思っていない。すべての事業で、売上高を30%ぐらいをメドとして成長させようと考えている。アップセルやクロスセルが我々の1番の強みで、顧客に教育を提供した後にはアセスメントや脆弱性診断につながる。サイクルを回すことで、その顧客のARPU(1ユーザーあたりの平均売り上げ)を増やしていくことが強みであるので、全ての事業が同様に伸びなければならない。ただ、売上高総利益の構成は、教育事業が大きい。毎年30%ずつ売り上げを伸ばしていきながら、結果的には教育事業の利益が強いが、会社としては同じような成長を遂げたい。

―株主還元は
昨年は配当性向18%の配当を行ったので、今後も内部留保を確保しながら、昨年並み以上の配当を続けたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

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