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上場会見:全研本社<7371>の林社長、オンライン社会で全国展開

16日、全研本社が東証マザーズに上場した。初値は、公開価格(1350円)の1.1倍ほどとなる1506円を付け、1413円で引けた。同社はコンテンツマーケティングやメディア、AI事業のほか、英会話スクールなどを運営する。海外IT人材事業では、インドの上位工科大学と連携し、現地の学生と日本企業をマッチングする。林順之亮社長がオンラインで上場会見を行った。

林社長は、コンテンツマーケティング事業ではどのような業態・サービスにも対応できると話した
林社長は、コンテンツマーケティング事業ではどのような業態・サービスにも対応できると話した

―初値が公開価格を上回った
期待に応えられるよう常に精進していく。この評価をしっかり向上し続けられるように頑張りたい。

―新型コロナウイルス感染症拡大の事業リスクへ言及したが、収束の見通しを含めて、事業リスクと見通しは
この1年で最もコロナの影響を受けた語学事業についてだが、どうしようもない状況に追い込まれた。英会話スクール5教室のうち4教室の施設利用を解約して1教室にとどめた。また、1教室を貸会議室で運営し、Zoomなどを活用しながら筋肉質にすることができた。コロナ禍で単月黒字を実現することができたことがデメリットのなかのメリットだった。

インドの海外人材が入国できない問題に関しては、昨年採用したインドの学生たちは今、仮に日本に入国できても在宅ワークになる。現在、インドにいるままでクライアントの仕事をこなし、日本語教育に集中して勉強してもらいながら入国を待っている。

海外IT人材事業は入国できることが大前提で、日本でのワクチンの普及が年内ぐらいまでかかると大筋で予測されるように、インドではさらに1年ぐらいはかかると見込んでいる。引き続きオンラインのまま、来期は今期を大幅に上回る予算をクリアしたい。インドでのワクチンの浸透率による入国の度合いを見て、ビザが出される学生は徐々に入国可能になると予想している。

主軸のIT事業は、コロナ禍の影響をほぼ受けなかった。今まで全国への営業展開をほとんどしていなかったところ、日本全国にZoomが一気に浸透したおかげで沖縄から北海道まで営業展開できるようになり、市場が非常に拡大した。コロナ禍よりもオンライン社会になったことによる追い風が期待できる。

―海外IT人材事業や語学事業などは経営環境としては決して良い状況ではなかったと思うが、このタイミングでIPOした理由は何か
主力事業にはほとんど影響がなく、4年前からIPOの準備を続けてきてこのタイミングで整った。コロナ禍であっても業績が堅調に推移し、維持できると判断した。

―AI事業とコンテンツマーケティング事業にシナジーはあるか
ある部分ではシナジーがあり、ある部分ではない。例えば、さまざまなAI事業を行っているが、その見込み客の集客をコンテンツマーケティングで展開することが非常に大きなシナジーになる。

また、コンテンツマーケティング事業では膨大な数のサイトを開発している。このため、AIやチャットボットなどを使い、簡素かつスムーズに開発できる仕組みをあらゆるテクノロジーを導入して運用している。

―地方に進出するコンテンツマーケティング系の会社が増えているように思うが、競合状況の認識は
5、6年ほど前、ウェルク(WELQ)問題が起こる前までは、類似のコンテンツマーケティング事業を手掛ける会社が、上場会社でも1~2社あった。だが、ウェルク問題が起きたあたりからGoogleのアルゴリズムが1年ごとに大きく変動するたびに競合が撤退した。現時点で、上場会社で全く同じコンテンツマーケティングを行う会社は、ほぼ認識していない。

未上場で当社と同様のサービスを行う会社は数社ある。当社が売上高30億円超であるのに対し、おそらく1億円前後の会社が1社ある程度で、ほかは競合となる会社はほぼゼロという状況だ。

当社では社内に弁護士と司法試験合格者を1人ずつと、パラリーガルを1人置き、法規を遵守してサイトを公開している。また、1000人以上の専門性が高いライターを確保してコンテンツを作ることなどで参入障壁が上がり、競合がどんどん減っている。

ネット広告系で全国に展開している会社は結構あるが、コンテンツマーケティングで全国に展開している会社は、それほど認識していない。

―今後リリースするHRテックのプラットフォームは、海外IT人材事業のサービスとセットで使われるものか
そうだ。例えば、年に1人ぐらいしか採用しない会社は年収の数十パーセントという形で支払ってもらうほうが良い。一方、高い頻度で採用する会社は、月額利用料を支払いながら採用したい人数を採用できる。どちらかを並行して利用するモデルになると見ている。まだ正確な値付けなどが最終決定していない段階だ。

―ROEやROICなど財務上の指標をどう考えるか
鷲谷将樹取締役:財務のKPIとしては、売り上げと営業利益、ROEを考えている。ROEは2020年6月期は4.3%と非常に低く見える数字になっているが、今期の着地としては戻る状況になっている。まずは2ケタへの回復を目標とする。

―管理会計上のKPIは
事業上のKPIは、IT事業のコンテンツマーケティング事業が主力であるため、運用メディア数が重要であり拡大したい。公開メディア件数の向上もKPIだ。また、今後の成長事業である海外IT人材事業の登録者数の拡大も重視する。

―どの程度伸ばしていきたいのか
具体的な数値は出していないが、2022年6月期にトップラインの2ケタ成長を考えている。それに伴って運用件数や公開メディア件数も連動するように増やしたい。

―具体的な採用計画は
林社長:営業社員が増えると受注数が増え、サイトを制作する社員を増やしていかなければならないため、10%増で検討している。

―株主還元の大まかな方向性と配当性向の目安について
内部留保をしっかり勘案したうえで、上場してすぐはさまざまな投資を行っていくが、配当性向は検討しているところだ。将来的にはしっかり対応していきたい。
[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

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