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上場会見:ジャパンワランティサポート<7386>の庄司社長、保証から故障予測も

23日、ジャパンワランティサポートが東証グロースに上場した。初値は公開価格の1640円を9.76%下回る1480円の初値を付け、1235円で引けた。給湯器やキッチン、バス、トイレなど住宅設備機器の延長保証事業として「あんしん修理サポート」を手掛ける。ジャパンベストレスキューシステム(JBR)の100%子会社。主要顧客は家電量販店や住宅メーカーで、メーカー保証期間を含めて最長10年のサービスを提供する。修繕依頼はコールセンターで24時間365日受け付ける。庄司武史社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

自社での顧客対応ノウハウを蓄積したコールセンター事業を活用すると話す庄司社長
自社での顧客対応ノウハウを蓄積したコールセンター事業を活用すると話す庄司社長

―初値の評価と感想は
当社の強みや今後の展開を明確に伝えられなかったと感じている。我々は今まで設備保証に特化してきたが、あくまでもきっかけにすぎず、保証の横展開を検討している部分をもう少し具体的に伝えられればよかった。

―上場の狙いは
ビジネスモデル上、キャッシュを非常に潤沢に持てるので、一番は信用補完だった。今後営業に注力し、大口の顧客に選ばれるための信用を向上させることが最たる狙いだ。これまでも親会社のJBRが上場しているという信頼性で営業を続けてきたが、ライバルの保証会社も上場しており、そこに負けるわけにはいかない、と我々自身で上場し、さらなる信頼性を付けていこうと考えた。

―2010年に起業した経緯は
プロトコーポレーションで事業部長を務め、経営は面白いと漠然と思い、自分で何かやりたいと初めて考えたが、経理知識や、いろいろな社長と話す機会もなかったので、自分で修行しようといろいろな企業を見られる帝国データバンクに転職した。経理・財務関係を勉強したうえで、お金もコネもない自分に何かできないかと事業を見ていた時に、面白いと感じたのが保証事業だった。

事業を始めようと思ったが、保証会社を選ぶ際には信用を担保しなければならないので、個人で始めてもなかなか選んでもらえない。その時、営業上でつながりのあったJBRの営業部長にお願いして、JBRのなかで商品を作り、専属代理店として我々に売らせてほしいという形でスタートした。

―JBRとの今後の関係は
当面、51%以上の保有を継続し、グループ会社でいるということで話が進んでいる。

―住宅設備の機器別を見ると、どのような物に対する契約が伸びていて、今後どのような機器が伸びるのか
今までは、割合ではオール電化が最も多い。あとはガス給湯器やトイレ、リフォーム頻度の高い部分から多くなる。今後どこに注力するかというのは、どういった住宅設備機器が売れるか、例えば政府の力の入れようや、そのご時世で起きた出来事によって、売れ筋が変わってくるので、情報をしっかり収集しながらニーズに応えていく商品や、注力する営業といったところを決定したい。

―太陽光発電の設備は対象ではないのか
太陽光発電については、メーカーがもともと10年保証を付けているので、今のところやっていないし、今後も考えていない。

―基本的に10年間を超えたものは今後も手を出さないのか
メーカーが10年で機器が壊れるという設計をしているので、10年以上の保証についてはリスクしか出なくなる。

―競合はどこか。また、買収するのか
東証グロースに上場している日本リビング保証という会社だ。保証に関しては、長期前受収益を足したもの(ストック分)は我々のほうが若干多いと見ているが、日本リビング保証は上場して信用力を高めて、BPOで一括売り上げを計上して利益を乗せる点に強みがあるので、我々もそこを超えていきたい。

あとは、競合として、国内に5社ぐらいあるが、信用力を見られるので、そこを買収して雪だるま的に大きくしていこうとは思っておらず、我々自身で開拓していく。

加えて、日本リビング保証と最も差別化できている部分は、1人当たりの営業利益が4~4.5倍ぐらい生産性よく得ているので、それは維持していきたい。

―上場に当たって買収されるリスクはなかったのか
親会社がJBRで50%超の保有を当面継続していくので、そこに大きな懸念はない。

―コールセンターに集まってくる情報を有効活用するとのことだが、具体的にこのような部分から攻めていきたいというものは何か
重要と捉えていて最もよく集まるデータで、そのデータの開示が欲しいと顧客に言われるものは、各製品のメーカーごとの故障率だ。これをしっかり収集分析したうえで、今は壊れたものを元に戻すマイナス1のものをゼロに戻すサービスをしているが、壊れる前に注意喚起したり、壊れないような施策を打つ、ゼロから1に持っていけるデータの使い方である故障予測に、一番に手を付けていきたい。

―成長戦略の、住宅点検やリペアサービスの開始は完全に新規事業になるのか
新しい事業だが、一つひとつ部隊を作るのではなく、JBRグループのなかで、生活の困りごとを解決する形で事業を行っている会社があるので、そこをミックスして併売して、差別化として、また手数料をしっかり稼ぐ形で運営していきたい。

―成長戦略のうちコールセンターは
いまはフリーダイヤルのコールセンターを持って、顧客からの問い合わせなどを受けるインバウンドを手掛けているが、今後は、リフォームの営業電話やヒアリングをしてくれないかというニーズが非常に多いなかで、アウトバウンドも含めて商品を作っていきたい。

―海外展開はどうするのか
ゼロから海外に展開しようとすると、時間もお金も人員もかかる。提携メーカーがそれぞれ海外に進出しているので、そことタッグを組んで、国内と同様に保証をする、一緒に背中に乗せていってもらうという展開をファーストステップと見ている。

―配当政策について
純利益が5億円を超えた時点で、20%の配当性向を目安に出していきたい。3年以内には配当を出していけるようにしたい。

―純利益5億円超えで20%の配当性向とのことだが、3年後の売り上げや利益の規模感は
藤川将志経営企画室長:具体的な計画は今策定しているが、イメージとして、今までよりも成長の角度は上向く見込みだ。今までは売り上げが120~125%の伸びだったが、今後は130~140%で計画している。

―利益率について、7年以上経過すると製品の故障率が高くなることで、原価が高まることとの見合いからは、利益率はどうなのか
それほど悪化しないと想定している。7年経過後の話は増えてくるが、保険を掛けている会員が増えてくるので、保険金収入の形で修理費用が戻ってくる。それを相殺して今の水準を維持できる。

―直近3年で契約件数が倍になっている一方、KPIの有効会員の人数は率としてはそこまで増えていないが、1顧客当たりの契約数が増えていることが原動力になっているのか。契約件数と有効会員数の伸びをどう見るのか
庄司社長:これまで事業を13年続けてきたが、純増するものと保証期間の10年が経過し落ちていくものが出てくるので、その見合いもある。契約件数に関しては、営業は大手ハウスメーカーに注力していくと話したが、今は例えば、トイレ1件に関して契約すると1件と数えるが、家をまるごと1棟パックで保証すると、品目は7品目のセットなのだが、1件になる。パックの件数が今後増えてくる。

―パックの契約数が増えることで契約件数が伸びているのか。1棟のなかに設備が7つある場合にはどのようなカウントになるのか
パックが1つ入ると7品目入っているが、件数は1件で有効会員数は1件増える。ただ、1件当たりの単価は上がっていく。

―調達資金の使途は
コールセンターの需要が非常に高まっており、今後はBPO(Business Process Outsourcing)でコールセンター部分の業務を受託することで、センターの負荷が高まるため、そのシステムなどの充実に使いたい。フェーズ3の実現に向けてAIやDX化を進めていくので、優秀な人材の確保とシステム開発に優先して使いたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]