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上場会見:東京地下鉄<9023>,“移動”の中心で安定かつ成長

23日、東京地下鉄が東証プライムに上場した。初値は公開価格の1200円を35.83%上回る1630円を付け、1739円で引けた。旅客鉄道による運輸と、沿線に所在する不動産の運用、駅構内店舗などを運営する流通事業、広告事業などを手掛ける。株主である財務大臣と東京都が発行済株式の半分を市場に放出した。山村明義社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

山村社長は会見冒頭で、顧客視点に立った質の高いサービスを、安全第一を最優先に提供していく旨を説明した

■全てのステークホルダーに
―初値が1630円で、公開価格の1200円から35%ほど上回った。受け止めを
多くの人に評価された結果だと考えており、改めて感謝したい。株主の期待に応えられるように、全てのステークホルダーから信頼、選択され、支持される企業グループを目指していく。

―初値が売出価格よりもかなり高いが、売出価格自体が低い水準に設定されてしまったのではないか
売出人と主幹事の証券会社との協議というか相談のなかで決めていったことだと思うので、特にコメントをすることはない。

―上場までに、地下鉄一元化の議論が盛り上がり、コロナ禍で業績が落ち込むなど様々なことがあり、そのような経緯も踏まえ、上場の鐘を鳴らした際に感慨深いものがあっただろうが、所感を聞きたい
上場は1つのきっかけであって、一層の経営改革に努めていくが、そこに経営者として注力していこうという気持ちでいっぱいだ。これまでの経緯もいろいろあるが、東京メトロを良くしていくことが東京を良くしていくことであり、日本にとっても、あるいはまちづくりや地域社会にとっても良いことだろう。

「全てのステークホルダーに」ということをいつも念頭に置いており、顧客にとっては安全サービスの充実がさらに求められると見ている。また、社員のエンゲージメントを高める、人的資本の充実を図るとなれば資金が必要なので、企業価値の向上や成長が重要になる。まちづくりを通じて地域社会に貢献していくことも必要だ。

全てのステークホルダーに貢献していくために、収益性や成長性を高める。そのためには、上場で一層の経営改革を推進していくという思いでいっぱいであり、どちらかというと過去ではなくこれからのことを考えていきたい。

―海外機関投資家の需要倍率が35倍を超え、個人投資家が10倍、国内機関投資家で20倍強の需要が集まった。その受け止めについて
評価あるいは期待があろうかと思うので、経営をしっかりやっていきたい。

―株式の売却益が入らないが、上場の具体的なメリットをどのように活かすのか
上場の目的は大きくは2つあり、かねてから行政改革の一環で特殊法人整理合理化計画のなかで、当時の営団地下鉄は民営化していく方向性が付けられている。それから、東京地下鉄株式会社法においても保有する株式はいずれ売却して、完全民営化を目指す大きな流れがある。当社にとっては一層の経営改革を実現していくための基盤作りと考えている。

上場を成し遂げることによって新たなステージに入っていく。1つには経営の自立性と透明性を高めていくこと、あるいは一層の創意工夫をしていくこと、あるいは意思決定のスピード重視、資本コストなどを意識した経営規律、さらにはガバナンスの向上。こういったものは、大きな意味では経営改革として目指すべきものだ。

もう1つは、社員にとってみれば、株価やいろいろな評価が上場企業としてあるので、そうした経営の見える化が進むと、社員も、こういうことをやるとこういうふうに評価される、あるいは数字として表れることが実感できるので、士気やエンゲージメント、モチベーションが上がる。また、上場企業として人材確保に有利になる。既に始まりつつあるが、様々なパートナー企業から声が掛かるようになって、いろいろな連携が始まることもある。そういったことも企業価値向上に役立てていかなければならない。

■非鉄道も成長
―具体的に特定の事業に取り組むものはないということか
東京メトロの強みとして、東京の首都圏の交通ネットワークの中核にいるので、様々な移動の目的地として、ハブの効果を発揮している。つまり、移動の中心にいることが鉄道事業の強みの1つだ。ただ、コロナ禍を経験した経営者として、その1本足だと運輸収入がかなり傷んで、それが激減すると経営の舵取りがおかしくなってきたので、鉄道事業以外の柱を持っているべきだというのは痛感している。

時期は同じだが、鉄道事業以外の柱をちゃんと作っていく。都市生活創造事業と言っているが、非鉄道の事業を強化していく。具体的には不動産や流通などを、上場を契機として強化していくことが必要だ。社員の創意工夫や、いろいろなパートナーとの協業が効果を発揮していくように努めていきたい。
―個人投資家を中心に、比較的人気が高い銘柄になった。安定株と言われるところではあるが、安定株として見てもらいたいのか、それとも成長株として期待してほしいのか、どのように色を出していくか
収益・利益からして、鉄道が中心であり、首都東京の中心にある強みがあり、鉄道事業は、今後も一定程度の強みがあると見ている。東京圏は人口が、微増ではあるが2035年ぐらいまで成長する見通しがある。また、都市開発が活発で、インバウンドなどの好調な需要がある。

これを踏まえると、鉄道もある程度成長していく。安定かつある程度成長させていく。メトロポイントやクレジットカードでタッチして利便性を高め、あるいは出掛ける際の目的地を我々がもっと案内して提案していく「シティツーリズム」などで鉄道を成長させたい。

もう1つが不動産や流通広告などの非鉄道の成長。鉄道に1日平均輸送人員651万人という圧倒的な顧客が存在するので、それを鉄道以外のビジネスの糧として、相互にシナジー効果を作っていく。例えば、虎ノ門ヒルズステーションタワーができ、虎ノ門ヒルズ駅と直結すると、(その際に)権利を買って不動産を取得しているが、不動産賃貸収入があり鉄道・運輸収入も増える。それから比較的大きな広告収入もある。このような展開があるので、鉄道とシナジーを図りながら非鉄道を伸ばす。不動産の話も4つ(の取り組み)で厚みを増していきたい。安定株ではありつつも成長を目指す。

―株主であるかどうかを問わず利用者にとって、上場をきっかけに、経営面での工夫や変えていきたい点を聞きたい
安全でありサービスであり、安心して利用してもらうことは、当社の企業基盤の基本だ。鉄道を強みとしつつ様々な事業を強化していくが、その前提は安全でありサービスが充実していることだ。

鉄道会社の場合は一般的に沿線の利用者が株主になるケースも多く、沿線の利用者が株主になり株主総会などで安全やサービスについて直接意見を経営陣に対して寄せる。そういうことを我々もコミュニケーションとして酌み取って生かしていく。我々としてもそれを大事にしていく。成長してその果実を安全サービスの投資や維持管理に使っていくべきなので、一層の経営改革、経営効率を高めていくことも、ひいては利用者にもプラスになるということにしていかなければならない。

■地下鉄でまちづくり
―利用者が実感できるメリットという意味で、路線の延伸や商業施設の充実などで具体的にもう少し聞きたい
1つの取り組みである新線建設は、南北線は品川駅に伸びる。有楽町線は豊洲から住吉方向に伸びるので、その点では両エリアのアクセス性向上に繋がり、もちろんまちづくりも進んでいく。これまでなかったところに地下鉄ができると、街にいろいろな人たちが一気に訪れ、いろいろな試みが始まるので、まちづくりが促進されるということは、利用者のみならず沿線エリアや地域社会にとってもプラスだろう。

商業についても、不動産事業もそうだが、駅直結あるいは駅近くでのビジネス展開を強化していきたい。東京は、諸外国に比べると鉄道が作った街である傾向が強いと言われている。鉄道駅を中心に街が形成されていくので、様々な機能が駅近くに集結している。これからも駅近くで、あるいは駅構内での商業開発を行う。利便性についてはニーズに応じて強化したい。

―その意味での意思決定のスピード感やパートナー企業との連携も、上場したことによって柔軟にというかスピード感を持ってやっていきたいということか
その通りだ。例えば、リンクティビティという会社に出資をしたが、同社は我々にはないオンライン・トラベルエージェンシーとのパイプが世界的に強く、特にインバウンド向けのチケットである「Tokyo Subway Ticket」の販売強化につながり、あるいは東京を巡る新しいチケットを開発するといったことで連携していく。我々にない(機能を持つ)パートナーと連携する意味では、上場を契機にさらに強くなるので、そこはメリットだ。

上場企業として様々な経営指標が見える化され、公開されているので、意思決定を早くしなければならない。意思決定の促進は、ステークホルダー、特に利用客や地域社会、あるいは投資家にはもちろん有用なことであるし、そうしなければならない。

―旅客運輸事業では、定期券収入が足元ではコロナ禍前と比較して83%ほどになっているが、コロナ禍での定期収入の減収と連動して流通事業にも影響があったのか。また、事業上の気付きがあれば聞きたい
定期券収入にはテレワークの影響がかなり強く出た。ただ、コロナ禍が去年明けたというか、分類が(変わって)から、徐々に実質勤務に移り変わっている様相がある。例えば、データとしては大手町や溜池山王といったビジネス街の駅で定期券収入の回復が遅かったが、今年に入ってから回復が顕著になっている。

定期券収入は、長い時間を掛けて徐々に戻るだろう。ただ、出産・育児・介護などのライフステージに応じた必要がある程度あるので、全く元には戻らないと見ているが、ある程度のトレンドで徐々に回復していく。

これが流通事業に影響を与えたかだが、コロナ禍では人流、顧客の数が落ちたので、流通事業ではかなりの収入減となった。それに比べて不動産事業はそれほど影響を受けなかった。顧客の回復とともに、流通事業は回復の様相を見せている。

気付きとしては、人手をかけて駅構内で商業や店舗展開をしていくと、コロナ禍のようなことがあると、ビジネスとしてなかなか成り立っていかない難しい面があるので、無人化を志向していた。ジュースの自動販売は暑い夏にけっこう売れていた。インバウンドの来訪が盛況なのでコインロッカーが堅調だ。人手をかけないで駅構内のスペースを活用するというのは、コロナ禍で教訓として得たものだった。

■不動産の打ち手は4つ
―不動産事業で、鉄道収入が全体の8~9割となっているなかで、例えば、何年間で、割合としてはどの程度を目指すのか。東京地下鉄の不動産事業の拡大を見ていると、他社との連携が多い。地上に必ずしも広大な土地を持っているわけではない事情からだろうが、拡大の仕方も含めて戦略を聞きたい
鉄道以外も強化していかなければ、経営としての安定性は十分でないと認識しているが、不動産をあまり保有していない。渋谷マークシティは東急と京王電鉄と3社で行った。ここでの保有は比較的多く、4割を持っていた。渋谷の銀座線の車両基地の上空を開発していた。渋谷のスクランブルスクエアやヒカリエは、保有土地は全体に占める割合は少ない。

道路下を地下鉄が通っていることから保有する土地があまりない。ビジネスのスタイルとして考えていることはいくつかあって、まずは実直に、保有している土地の開発を進めていくものだ。例えば、昨年度には、これも共同事業だが東急不動産と明治神宮前で「ハラカド」をオープンした。また、家族住宅として使っていた旗の台の土地を高齢者施設に展開したのが今年度だ。さらに、研修用の施設を新木場に集約したので、中野富士見町にあった土地を、賃貸マンションにした。

2つ目は、成長の種になる土地の取得を以前から進めている。バリアフリー法ができてからエレベーターをワンルート作らなければならず、地上にエレベーター用地を確保しようという取り組みを進めてきた。地上にエレベーター用地を作る時に、少し大きめに用地を獲得して、不動産事業にも合わせて、エレベーターも作る不動産としても展開していく試みをかねてから進めている。そのような目的で取得した土地の活用を進めていく。具体的には表参道地区や、銀座のエリアで取得した土地を活用する。

3つ目は成長投資だ。大体1000億円の設備投資を予定しているうち、30%弱は成長投資に向けたい。その多くは新規不動産の取得に充て、その資産に対して開発を行う。

4つ目がリートで、これは投資とは別に、財務に影響を与えない形でリートに売却した売却益を資金として不動産開発を行う。こうした4つぐらいの構えで、不動産事業を推進する。

―全体の規模は
次期中計でこの辺の投資と、それからどういった事業が具体的に展開されるかを、アイデアを集めて集計しているので、それによって規模感が出てくるが、当面は鉄道何割、不動産何割という感じではなく、まずはできることをどんどんやって、その積み上がりを大きくしていく。

―リートの概要や規模感は
賃貸用不動産で保有している物件を、私募リートに提供していこうと考えており、簿価で700億円、時価に換算すると600億円の含み益があり、合わせて1300億円の資産がある。当初数年は数百億円規模で運用していきたい。2024年度から私募リートに売却を始めている。売却で得た資金を不動産事業に活用して大きな物件を取得し、実施している不動産事業に投入する。循環型で大きくしていく。

―私募リートを購入する投資家についてどのような層を想定しているのか。不動産の私募リートは、特に東京の高利回りの不動産は地方銀行からの引き合いが強い。そのような層の購入を想定しているのか
私募リートに売却するうえでは、私募リートに出資や融資をしてくれる人を募集しなければならない。好調だと聞いている。というのも、数字は把握していないが、ある程度利回りが良いこともあり、応募があると聞いている。具体的な投資家像は把握していないが、銀行を始め様々な融資先を募っていて好調だ。

―幅広でも構わないのでどの程度か聞きたい
これから積み上げていくので、もう少ししたら具体的に見えてくる。

■鉄道ノウハウを輸出
―海外鉄道ビジネスの位置付けや具体的な数値目標、意気込みなどを聞かせてほしい
コンサルティング事業と教育事業、それからO&M(オペレーション&メンテナンス)事業に分類している。主に取り組んできたのはコンサルティング事業で、ベトナムはハノイ、ホーチミン、それからフィリピンのマニラとインドネシアのジャカルタ、こういったところでコンサルティング事業を実施してきた。

多くはJICAの事業を通じての協力になる。教育事業は協力する海外都市の、鉄道経験がまだないという都市交通があるので、そこにどういう運営会社を作るとか、社員の鉄道に関するノウハウを形成するにはどうしたらいいかということで、ハノイとホーチミン、マニラで協力している。

鉄道オンライン講座(「Tokyo Metro Academy」)を、コロナ禍の時期に始めた。海外の鉄道会社が、当社の経験に学ぶことがあればということで、運輸や技術、車両といった分野について講義を提供する。

Web事業は検討中だが、オペレーションとメンテナンスの協力で、これも海外鉄道、海外都市のニーズはかなり高い。実際の需要と、我々の提供できるノウハウとの合致、ビジネスとしての有効性があるところには展開していきたい。

―目標などは
数値的な目標は持っていないが、日本の東京で築き上げたノウハウを、ぜひいろいろなところで活用してもらえればと考えている。国際ビジネス部という名前をつけて、それをビジネスとして提供できる意気込みでいるので、数値目標もできれば検討していきたい。

■完全民営化はいつか
―完全民営化について、株式を半分売却したが残りの半分は早くに売ったほうが良いのか。それとも2021年の交通政策審議会の答申に、「延伸計画の整備を確実なものとする観点から当面持ち続ける」という文言があったように、しばらくはキープしてお互いに影響を持ちつつ、延伸計画に努めていくほうが望ましいのか
交通政策審議会の答申に、新線建設を行っていくが、建設期間中はその実行を確実なものとするために、国と東京都は2分の1を保有する位置付けになっている。建設期間中の実行を確実なものにする意味は、建設費は2路線合わせて4000億円だが、そのうち6割は補助金になっており、残りの4割は都市鉄道融資で、これは公的融資だ。比較的利率が低く、長期の返済が可能だ。

こういった公的助成の観点が充実していることが地下鉄建設を継続していくことの前提なので、建設期間中は公的主体が権利を持っているという意味合いで2分の1保有が位置付けられていると考える。我々としては、この趣旨に則り2分の1保有が建設期間中は続くと認識している。その後段には、その後の売却については「国と当局とで協議していく」とあるので、協議の状況を注視するのが現在の枠組みだろう。

―これまでもずっと議論されてきた都営地下鉄との一元化について、改めて方向性を教えてほしい
2021年に交通政策審議会の答申が出されて、株式上場と新線建設を一体不可分で進めていくことが東京メトロの役割と定義されているが、この議論でも、都営地下鉄との一元化については全く触れられていない。

その後に、売り方について、売出人の東京都からは基本的な考え方が出されたが、それにおいても都営地下鉄との一元化については触れられていない。従って、一元化は(上場の)テーマになっていないと考えている。

―東京地下鉄と都営地下鉄の場合、財務基盤が全く違う。都営が欠損金が比較的多いなど、なかなか相容れないところがある。それが東京地下鉄にとって経営一元化の足枷になっていると見て良いのか
コロナ禍を経て鉄道会社はその影響をかなり被ったので、直接の答えにならないかもしれないが、当社は当社で経営の改革を進めており、都営地下鉄には都営地下鉄なりの考えがあるだろう。それぞれの企業体として頑張っていく段階にあると考える。

―上場でこの議論は遠のいたのか。それとも平行線なのか
先の事はよく分からない。先ほど話したように、テーマになっていないという認識だ。

―国と東京都が当面50%を持ち続け、その後どうするかは、交政審の答申では国と都、当事者で協議することになっているだろうが、特別法の趣旨に照らすと、社長自身は新線の整備がある程度落ち着いた折には、政府系の保有比率が徐々に減っていくことが好ましいと考えているのか
繰り返しになるが、交政審で方向付けられている枠組があるので、それに則って考えていくことになる。

―当面は国と都が半分を持つ。加えて東京地下鉄株式会社法も維持され、代表取締役の選解任や新株発行に大臣の認可が必要と理解している。上場を機に経営の自立性を高め、あるいはガバナンスを向上させていくと話しているが、その観点で、幹部社員の受け入れなど人事面も含めて、国と都との関係性はどう変わっていくのか。その上で民間の投資家とはどう付き合っていくのか
昨年6月の株主総会で、社外取締役を4人選任した。元々1人いたが、3人増えた。上場会社の社長経験者2人、上場会社の法務部門の執行役員、公認会計士の専門家で、かなり自由闊達な議論が取締役会で行われている。

取締役や監査役など役員に関しては、それぞれが持つ見識や専門性を重視していきたいので、行政経験も踏まえて高い見識・専門性を持っていれば経営陣に加わってもらいたいのは当然だ。従って様々な見識や専門性を取締役会で生かしていくことがむしろ重要なことだと考えている。

■サービスは一体化
―都営地下鉄との一元化の話に戻るが、市民としては東京メトロに求めるサービスは企業価値の向上だけでなく、利用者としてのサービスの使いやすさがあるだろう。東京メトロは少しずつ民営化に向かっていくなかで、都営地下鉄は都営であり続けると、企業としてのキャラクターがだんだん離れていって、それが一住民としてサービスを享受できるのか分からない。その辺りを聞きたい
一方でサービスの一体化は進めており、今後も進めていく。これまでサービスの一体化で都営地下鉄を使っても東京メトロを使っても例えば、使用している券売機のスペックは同じ。案内サインも共通化し、両路線を乗り渡るときのエレベーターやエスカレーター整備は積極的に促進する。多言語放送もそうだ。利用者がサービス上困ることのないように、テーマを決めてサービスの共通化を推進したい。

―企業としてのカラーは乖離していくのか
それは分からない。

―JR東日本が金融事業に進出したが、東京地下鉄もそのようなことを考えているのか
様々な成長分野に対するアイデアを2025~2027年の3ヵ年の次期中計で募集中だ。来年の年度が変わったところでは発表できるだろうが、前例に囚われないアイデアがいろいろ出ている。金融事業があったかは定かではないが、先入観なしで社員から募っていて、社員もそこに意気に感じている。自分がこういうアイデアを持っている、経営のなかに取り込めたということはエンゲージメントの向上になるので、先入観なくいろいろ考えていきたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]