20日、ヤマイチ・ユニハイムエステートが東証スタンダードに上場した。初値は公開価格の950円を7.58%下回る878円を付け、788円で引けた。同社は、和歌山市周辺から大阪市を中心とする近畿圏で不動産事業を手掛け、関東にも進出している。ロードサイドの土地を仕入れて商業施設やオフィスビルを開発し、賃貸や販売を行うほか、分譲マンションや戸建て住宅を販売する。2020年4月に上場承認を受けたが延期していた。山田茂社長が東京証券取引所で上場会見を行った。
―初値の感想は
もう少し上がることを期待していたが、地合いの悪さということで残念だった。ただ、せっかく買ってくれた投資家の人がたくさんいるので、これから一生懸命頑張って株価を上げて、喜んでもらえるようにしたい。
―コロナ禍での上場延期による効果と、この時期に上場したことについて
2年前のコロナ禍は証券会社の人も話していたが、証券市場が始まって六十数年間で一度もなかったので、皆がパニックになったということで、当社は先行きが見えないため延期をしたが、その後様子も分かってきたので、そろそろ再チャレンジしようと、それまで2年かかった。今回ウクライナの問題も起こり、上場日を2度ほど伸ばした。「この後何も起こらない保証はない」とできるタイミングで上場しておこうと、今回の上場となった。
―昨年にユニハイムエステートを吸収合併したが、今後も積極的なM&Aで成長するのか
基本的にM&Aは人材やブランド、ノウハウを一気に獲得できる。1から自社で投資をして育てていくと何年もかかるので、時間をお金で買う、経営のスピード感という点で非常に有効だと考えている。
―シナジーが得られるようなM&Aを積極的に行うのか
当社はいろいろな事業を行っていたが、都市部のマンション開発を自社で行っていなかったので、欠けていたところにきちんとはまったイメージだ。
―M&AのPMI(Post Merger Integration)で重視していることは
1番大事なのはモチベーションというか、人と人の気持ちの問題と思っている。しっかり交流してお互いに理解しながら1つの会社になっていくことが理想だろう。
ユニハイムエステートを吸収合併したが、当社の本拠地を大阪市内に移すことと、一体になることで、1つの塊としてガバナンスの強化や人材交流にもなる。そういった意味で大阪に本社を移転して合併した。
―ターゲット層は
エリアによって異なる。和歌山では、基本的に所得水準が東京などよりも低いので、住宅では2500〜3500万円。大阪周辺で行っている分譲マンション事業では、大体4000万円台になっている。
―関東圏では、コロナ禍でNTTの話もあるようにテレワークの普及で郊外の戸建回帰の流れがあったが、主力の関西圏では立地の変化はあるのか
同じように戸建や郊外、マンションでも広いタイプはよく売れた。
―その傾向は今後も続いていくのか
あまり続かないと思う。
―都心回帰が起きるのか
先日のNTTの件では、自宅で業務するのが普通という話もあったが、Face to Faceはかなり重要だと思っているので、在宅でできる部分は在宅ですれば良いが、社員同士、顧客同士が顔を合わせる部分は残っていくのではないか。そういった意味では郊外と中心部で二極化してくると見ている。
―資材価格の高騰や金利の問題も含めて不動産業界のトレンドをどう見ているのか
コロナ禍でウッドショックなどが起こって、当社では住宅1棟あたりおよそ200万円の原価上昇となった。昨年の夏前に価格を改定して対応した。その後、ロシアのウクライナへの侵攻が起こったので、材木もそうだが合板など様々な分野に影響が出て、それらに関してはこれから多少値上がりすると見ている。
ガソリン価格や食料などさまざまなものが値上がりしているが、物価の上昇そのものよりも、消費者に与える心理面の影響のほうが大きいのではないか。生活費が1〜2万円上がっていくと、住宅ローンを組む時に、金額をその分抑えようという心理が働くので、そちらの方で影響があるのではないか。
―ほかの地方からも不動産業者が関東を目指して来るが、関東で事業をどのように広げていくのか
住宅事業を他府県や首都圏でいきなり拡大していこうとはしていない。当社がエリアを広げるときの基本的な戦略としては、得意とするロードサイトの店舗開発や不動産の賃貸事業などでそのエリアに進出して、2〜3年でそのエリアに溶け込み、情報収集して土地勘が出てきた時点で、住宅や宅地開発に進出するスタイルを採っている。今後、東海から関東にかけて、ロードサイドの店舗開発や、商業施設、物流関係の開発などを足掛かりに進出エリアを広げて、その後に住宅事業に参入したい。
LIXIL住宅研究所の GLホームのフランチャイジーを、和歌山から大阪、兵庫で展開している。このフランチャイズ事業は北関東で最も大きく(広まっており)、そのエリアでも後継者がいない会社がいくつかある。そういった会社を当社がM&Aすることも、未知数だが多少考えている。M&Aなどを通じて進出していきたい。
―今期は減収減益の見込みだが、再び成長していくためのドライバーは
宅地開発関係は案件の仕込みが完了している。当社の事業は数ヵ月単位の短期間の開発や分譲もあるが、早いものでも1年半〜2年、大規模なものでは5年ぐらいのサイクルが必要だ。将来の大規模な開発は既に進行中なので、それが決算となって表れるのが2〜3年かかる。しっかりと右肩上がりになる仕込みはできている。
―ROEはどうか
山田裕之常務:今まで10%以上を出しており、上場してエクイティも増えるが10%以上を保持したい。
―個人投資家の一部から有利子負債が多めではないかという声がある
不動産業であり、借り入れが先行するビジネスなので、良い物件があれば積極的に買うことがある。上場したので、今後は追加のPOであったり、違う資金調達も入れ、総資産に対する有利子負債の割合として、60%前半ほどを1つの水準としてコントロールしていく。そうすれば、キャッシュフローとしてはあまり難しくはないと考えている。
―配当政策は
山田社長:昨年から配当を始めたが、業界では利益の30〜35%を配当している会社が多いので、将来的に利益の30~35%程度を株主に還元していきたい。
[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]
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