14日、PHCホールディングスが東証1部に上場した。初値は公開価格(3250円)を4%下回る3120円を付け、2651円で引けた。松下電器産業(現パナソニック)からカーブアウトして国内外に事業を展開するパナソニックヘルスケア(同PHC)の経営管理を行う持株会社。PHCは糖尿病マネジメントとヘルスケアソリューション、ライフサイエンスの3事業を柱とする。ジョン・マロッタ社長が東京証券取引所で通訳を介して上場会見を行った。
―初値が公開価格を下回ったが感想は
今言えることは、市場全体に激しい上がり下がりのあるということだ。変動の多い時期に上場したので、こうした環境については驚いているわけではない。このような環境下で新規上場を果たすことができたことだけで大変嬉しく思っている。というのも、この環境下で11のIPOがキャンセルされている経緯もあるためだ。
平嶋竜一CSO:基本的な考え方としては、日々の株価に一喜一憂するのではなく、日々の事業にしっかり邁進して、顧客に価値をしっかり提供して、それが企業価値の向上につながっていき、ゆくゆくは株主にリターンを還元することだと理解している。
―投資家は、マロッタ社長のダナハー・コーポレーションでの経験や知見がビジネスに活かされていると考えているようだ。いわゆるダナハー・ビジネス・システムの考え方を展開するものと想像するが、どのように活かしているのか
マロッタ社長:ダナハー・ビジネス・システムにしてもサーモフィッシャー・サイエンティフィックのPPIシステムにしても、欧米企業が日本の伝統的なビジネスのやり方をこれまで真似してきたと思う。まず、トヨタ方式など有名な概念を取り入れている。
多くの概念は製造現場から開発・営業などの現場に適用しているが、ポジティブな側面としてグループについて言えることは、私たちは元からパナソニック・ウェイという伝統があったことだ。そういった企業文化が最初からあって非常に恵まれている。また、このような改善の概念をどこに応用するかといえば、開発やコマーシャル、バックオフィスといった機能にもどんどん取り入れていきたい。
―幅広いポートフォリオを持っているが、今後の成長ドライバーになる領域は。M&Aも含めて資本を投下している領域はどのようなものか
成長については、診断・ライフサイエンスのドメインが一番と考えている。それにヘルスケアソリューションのビジネスの安定性も加わる。糖尿病マネジメント事業については、現在ほぼ横ばいのような見方をしている。M&Aの戦略やどこに時間を注ぐかと考える時には、やはり診断・ライフサイエンスのドメインが最初に挙がる。
宮﨑正次副社長:社内のビジネスリソースを、グループ内でアロケーションを行っており、一旦、診断・ライフサイエンスの分野に厚く手当をする方向で取り組みを並行している。
平嶋CSO:糖尿病マネジメントの事業が、安定してキャッシュフローを生み出す側面がある。安定してCFを生み出す事業と、診断・ライフサイエンス事業が成長エンジンであり、成長を加速していく組み合わせを考えている。
―ROICの考え方や見通しは
マロッタ社長:私たちの事業には、9つのコアバリュー・ドライバーを定義している。その9つ目がROICとなっている。なぜそれが大事かというと、社内で1つの閾(しきい)値を設定していて、それを2ケタにするという考え方だ。その重要性については、おそらく他社ではそれほどトラッキングをしているとは言えないかもしれないが、私たちは必ず毎月ROICを見ている。また、9つのコアバリュー・ドライバーのうち、4つが株主を意識したものだ。2つは顧客向けのものだ。従業員に対しては3つある。
[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]
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