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上場会見:ROBOT PAYMENT<4374>の清久社長、顧客の運営を便利に仕組化

28日、ROBOT PAYMENTが東証マザーズに上場した。初値は公開価格(1860円)の2倍の3725円を付け、3380円で引けた。同社は、インターネット決済代行や実店舗クレジット端末決済サービスなどを手掛け、継続請求管理クラウドサービス「請求管理路ロボ」を提供。オンラインショッピングなどの利用者から料金を回収するシステムを持つ。東京証券取引所で清久健也社長が上場会見を行った。

請求管理システムと決済システムの連結に優位性があると話す清久社長
請求管理システムと決済システムの連結に優位性があると話す清久社長

―初値が公開価格の倍になったが、感想は
非常に評価してもらって嬉しい。成長産業でマーケットも大きいので、株価に一喜一憂せず会社の成長を目指していきたい。

―この時期に上場した狙いは
金銭を扱うビジネスであるため、顧客の信用や信頼が大事になる。準備を粛々と進めてきて上場に至った。

―信頼度を上げるのが最大の目的だったのか
そうだ。

―自己資本比率が6月末の時点で8.9%と少し低く、バランスシートを見ると預り金が大きい印象だが、どのような状態か
久野聡太CFO:預り金は、インターネット決済代行サービスを運営するに当たり、事業に特有の預り金が発生する。上場会社でもGMOペイメントゲートウェイ<3769>が全く同じ構図になっている。

仮にECで、クレジットカードを使って物などを購入した場合、その代金は、まずカード会社から引き落とされる。カード会社は一定の手数料を引いて、当社のような決済代行会社に入金する。そこから当社が手数料を差し引いて小売店に入金する流れになっている。一定期間滞留して加盟店に支払う。その滞留しているものが預り金となっている。バランスシート上では半月から1ヵ月程度滞留する。

―預り金を会計上負債に計上しているので、自己資本比率が8.9%になるということか
バランスシートのその(負債)部分が、通常の会社よりもかなり膨らんでいる。

―マーケティングや新領域の状況は
清久社長:(中長期戦略イメージに掲げているものは)現在構想中のもので、実行に向けた意思決定をある程度している。(さらなる領域拡大に関しては)あくまでも可能性としてあり得るということを示している。マーケティングやセールスサポート領域に進むと決まっているわけではない。

―解約率は低めというが、解約理由は
両事業とも、事業の中止や撤退という我々というよりは、先方に起因するものが多い。

―(ほかのシステムへの)乗り換えではないのか
決済や請求管理システムは、乗り換えがしにくい。乗り換えると事業の運営に支障が出やすいので、切り替えは起こりにくい。あるにはあるが基本的には乗り換えはしにくい。逆にその点を考慮して、顧客の運営を深く便利に仕組化して、顧客が使ういろいろなツールと連動させる形で、企業のなかの体の一部となり、なるべく切り替えられないような戦略を採っている。

―そうすると基本サービスがあって、導入企業に合わせてカスタマイズするイメージか
基本的には請求管理ロボに管理データを入れる前に何らかの販売管理ツールを使っていると思う。今、最も多いのはセールスフォースだ。セールスフォースを使いながら請求データを請求管理ロボに入れていく。請求管理が終わった後には、会計ソフトにAPIで連動させる接続系を、カスタマーサクセスという部署で推奨して、なるべく切り替えにくくすることを進めている。

―セールスフォースと連動するが、今後は
テクニカルな話だが、現在は、セールスフォースのプラットフォーム上で動く請求管理ロボというアプリケーションがある。大手企業からはいろいろな要件が追加される。例えば、稟議を複数の部署で回したい、子会社がたくさんあるなど中小企業やベンチャーにはない大手企業ならではのプラスの要件がある。それらを作りやすく拡張するための手法がある。大手企業に対応するプロダクトの拡張を進めている最中だ。

―それが1つできると横に広がりやすいのか
セールスフォースはカスタマイズが非常に容易な構造になっている。ゼロから作るよりもそれを導入することでクライアントも取り組みやすい。セールスフォースからの紹介もあり、そのマーケットを狙っていきたい。

―大企業向けの開発が形になりそうなフェーズか
久野CFO:明確な時期は言いたくても言えない部分もあるが、中期経営計画を3年で定めており、そのなかで話としては出ている。
清久社長:企画には入っている。

―株式を発行して市場から資金を調達できるが、財務戦略の大枠を聞きたい
久野CFO:今日上場して、既に昨日会社に払い込まれた資金が1億9000万円程度。株価が好調に推移すれば、オーバーアロットメント分の3万3000株も自己資本になる。直近で、上場会社でもいたずらに株で自己資本を集めているところに対して、コーポレートガバナンスの厳しい目が出てきており、次に資金がいくらか必要になるのであれば、まずは借り入れを進めていきたい。

現在の借り入れは1億円を切る水準で、主要取引銀行のメガバンクと良好な関係を構築できている。自己資本を調達したあかつきには、非常に良いレートを提示してもらえそうであり、追加での資金需要は借り入れを考えたい。

もちろん既存事業から得られるキャッシュが第一だが、その次に借り入れと考えている。ただ、それでも厳しい、借り入れをし過ぎてエクイティで調達しなければいけないという状況になれば、エクイティでもとなるが、現段階ではそこまでは考えていない。

―コーポレートガバナンス・コードを重視し、社外役員を過半数設置するなど上場当初から分厚い布陣だが、プライム市場を意識してのことか
最も厳しいプライム市場について、6月に改訂されたガバナンス・コードを社内で研究している。マーケットサイズや流動性、株主数などの基準をクリアしなければならないが、会社の成長につれて、プライム市場を目指す話も適切なタイミングで、社内で議論が始まるのではないか。

上場のタイミングでコーポレートガバナンスを遵守している。近年、攻めのガバナンスが叫ばれており、会社を守るだけでなく、価値を上げることが遵守の目標になっている。当社もそう考えて、社外役員の増員や指名報酬諮問委員会の設置を中心に動いてきた。今日上場できたことも、その点が取引所に評価されたためと考えている。プライム市場を目指すか否かに関係なく、引き続きコーポレートガバナンス・ガバナンスコードを遵守して、企業価値の向上に活かしていく。

―株主還元の考え方は
インターネット決済代理サービスと請求管理ロボでは、ともにホワイトスペースが大きいと考えており、余剰資金は基本的に成長投資に使いたい。一方で、上場後に主に機関投資家と対話を進めながら、そのような声があれば、適宜柔軟に考えたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]