7日、ヒトトヒトホールディングスが東証スタンダード市場に上場した。公開価格の430円を1.86%下回る422円の初値を付け、441円で引けた。松本哲裕社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

―上場の目的は
一番は社員にもっとモチベーションを持ち、胸を張って仕事をしてもらいたい。我々の原動力は人材なので、そのモチベーションをしっかり上げていくことが、永遠の経営課題だ。ステークホルダーに対する責任はあるが、人材あっての責任を果たすことなので、上場はそれに資すると思う。
副次的になるが、(1974年の創業)当時は日本総業という社名で、既存の社名うんぬんということではないが、少子高齢化で人口減少の波は、世の中のマス的に避けて通れない道だ。そのなかでコーポレートアイデンティティに上場を掛け合わせて、もっと様々な人に会社を知り、これからのまだ見ぬ若い人たちに当社に来てもらいたいという思いもあって、上場を決断した。
―現時点では1万2000人のアルバイトがいるが、5年、10年経つと若者が減っていくなかでの対応は
マスで見るとその通りだ。ただ、今の当社の特色は若い人のプールがたまたま多いが、ストック化していたり、それ以外の人材はアクティブシニアもボリュームゾーンも当然いる。今、価格改定も進んでいるので、生活給を稼ぎたいという人も増えている。
まだまだ小さい会社なので、いきなり1億2000万人総取りという全国規模で拡大する考え方をしていない。事業基盤を持っているところで、我々が必要である人間をどうやって採用できるかと、どうやってそれをスケールできるかが経営課題だ。それがクリアできれば、しっかり売上がついてくるだろう。プールや年齢層の推移は今後KPIでも示せるようにしたい。
―成長戦略で新規取引先の獲得を掲げているが、どういった領域を考えているか。また、どういった戦略で新規を獲得していくのか
我々の事業が50年の歴史ということをあえて少し強調したが、人材を使うビジネスなので差別化は課題だと思っている。ここでは割愛するが、リレーションをかなり重要視している。一番長い顧客はもう50年以上で、そういった歴史やトラックレコードを見てもらって、問い合わせしてくれる人も増えている。ただ、それはパッシブなことなのでPRしていくこともあるが、リファラルで卒業していった人たちで、世の中で活躍する人材もたくさんいる。そのような人から声を掛けてもらったり、紹介してもらったりする。
ここでどの領域かは話さないが、マーケットを見て、どこに人材が足りないかを見て、集中的に人材を投下して扉を開ける作業をやっている。私はずっと営業だが、これ以上のすごい夢のような戦略は存在しないと思っているし、実際これでCAGRを作ってきた自負があるので、これを全社一丸となってコツコツやっていく。
今までの営業部隊は3人、4人でやってきたが、今は三十数人まで営業で整っているので、目の数が増えているし、カバレッジが増えている。世の中に困っている人はたくさんいるだろうが、困っている顧客の声をしっかり拾うことが大事だ。丁寧に拾うことで最終的な我々の結果になると捉えてもらえればと思う。
―初値の受け止めは
今の実力値ということで厳粛に受け止めている。これがスタートだと思っているので、今日のことで一喜一憂せず、明日からまたしっかり地に足をつけて投資家の期待に応えられるように社員一丸となってやっていきたい。
―人材をラストワンマイルまでという話があったが、人材のラストワンマイルとはどういうものがそれに当たるのか
簡単に言うと顧客のコアビジネスではないものでも、やらなければならないことはたくさんある。そういったことを、「我々の手を使ってもらえれば解決しますよ」というソリューションを提供している。例えば、警備業務というと非常に分かりやすいと思うが、舞台関係の設営もやってほしいという顧客はたくさんいる。
そういった人は警備会社に多分発注しないが、我々はそういう横も持っており、そういったことを対応するということで、営業ツールとしてやっている。これは顧客のコア事業ではないが必要で、「毎日ではないが、3日間だけ欲しい」などの声がまだまだたくさんある。そういったものを細大漏らさずに拾っていくのが、当社の特徴だ。
―それが強みでもあるのか
そうだ。それが「1日に200人欲しいです」という人もいる。それを自社で賄うと経済合理性に適っていないし、コア事業ではない。ただ、「このイベントを成功させなければならない」といったことに対して、言ってくれれば、人材というソリューションを提供するし、設営も対応する。「そこに警備員を立たせてほしい」と言われれば、警備員も立つし、「受付をやれ」と言われれば、受付をやる。
―どういう会社を目指したいか
圧倒的な人材で、ありとあらゆる顧客のニーズに応えていくということで、コンプスやセクターを飛び越えて、「人材と言えばヒトトヒトホールディングスだよね」と言われる会社にしていきたい。
―株主構成の持つ意味合いは
2011年に創業者が急逝し、その後は私を含めた複数の株主で会社を運営していたが、売上が拡大し、利益が拡大していくなかで、株式価値を意識してきた。我々の出自がサラリーマンなので、株主の家庭で1人の身に何かあったときに、その株式を非流通株として様々なことで処分できるのかという懸念がある時代があった。それであれば、資本政策をしていこうということで、LBOをやっている。そのLBOの佇まいが現状の大多数を占めているが、新しい資本に入ってもらうということでそういう形になった。当時は私も退職する予定ではあったが、スポンサーの強い要請によって、私に社長を、という話があった。
私も大きくするからにはしっかりやりたいということと、残っていくこれからの若い人たちに夢を持たせたいということもあり、上場という道を選んだ。様々やったが、もう一度リスクを取るということで再出資している。その後、ある程度上場が見えてくる前から、長きにわたって愛顧してくれている親密取引先に、株式を引き受けてもらって現状の構図で今期に至るというのが大きな流れだ。
―筆頭株主のファンドは、複数から選んだのだろうが、こういうことで貢献があったなどはあるか
1社としか取引がないため、ほかと比べてどうだということはなかなか難しいが、個人的には一緒にやってきてくれてよかったと思ったし、感謝もしている。プライベートエクイティファンドなので、いつかはエグジットをしていくことになるため、オーバーハング懸念はマーケットで出てくるだろう。実態ビジネスやバリュエーションを見ていたときに、そういったことを超えてしっかり株価形成できるような成績や利益を残していくことで、最初に資本政策で力を貸してくれたJ-GIA、それからこれからの新しい株主、両方の期待にしっかり応えて、会社を成長させていきたい。
[キャピタルアイ・ニュース 北谷 梨夏]
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