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上場会見:ダイワ通信<7116>の岩本社長、AIカメラに成長余地

26日、ダイワ通信が東証スタンダードに上場した。初値は公開価格の1700円を4.71%下回る1620円を付け、1495円で引けた。防犯・監視カメラなどの企画や販売・施工・保守、顔認証技術などを利用したソリューションを提供するセキュリティ事業と、携帯電話などの販売や代理店業務を行うモバイル事業を手掛ける。市場での業種は卸売業に分類されている。岩本秀成社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

―上場初日でどのような気持ちと決意を聞きたい
株価も若干下がっており、非常に身の引き締まる思いだ。一喜一憂しないでおこうと考えている。27年間経営しているので、2度ほど赤字を出したことも過去にあった。ただ、コロナ禍からすごくフォローの風が吹き始めた。それは検温(分野)だけではない。

これを機に日本でDXが非常に加速したと肌で感じている。モバイル事業を長年やってきて、セキュリティ事業へ参入した際に私が一番強く思ったことは、防犯カメラが非常に遅れていることだった。日本国内は、アナログの市場が半分ぐらいある。

それがIPカメラやAIカメラに変わるだけで、市場が大きい。欧州や中国に比べるとカメラが20分の1、30分の1しか付いていないので、そう考えると、これから非常にワクワクしているのが本音だ。

―オリジナル商品は1から開発した認識で良いのか
前田憲司常務:基本的にはオリジナルで作り、全てAIを搭載したカメラだ。他社と差別化して、1から企画開発をして、製造だけは国内ではない。それ以外は全て1から作り上げている。

―AIとIoTシステムとは別か
そうだ。

―オリジナル商品について、2022年3月期のセキュリティ事業のセグメント利益に占める割合はどの程度か
今年リリースした商品なので10%以下だ。来期以降オリジナル商品に変わっていく。

―将来的な成長目標はあるか
岩本社長:今、企画開発は全て国内で、(製品は)OEMで、中国で作っている。金沢市の工場に(製造を)国内回帰しようというのが我々の思いだ。現時点でメイドインジャパンの防犯カメラのシェアは皆無に等しい。ほとんどが国外メーカーで、我々やアイリスオーヤマもHikvisionの代理店で、ほぼ全て中国製か韓国製だ。キヤノンの子会社であるAXISが世界のシェアを数十%取っているが、ぜひメイドインジャパンの商品を作りたいと、国内回帰を考えている。パナソニックほどのシェアを取れるとは思えないが、10%、20%と目指していきたい。

―企画から資材調達、商品の販売までの機動力の高さを投資家は評価しているが、一方で、技術などを含めて、「ならでは」のものがないのではという投資家が存在する。その認識について
岩本社長:AIカメラが、昨今市場にようやく出てきたが、AIとカメラとのシナジーだ。既に防犯カメラにも全てSIMが入るようになってきている。今後我々の商品は、目や頭脳、AIでディープラーニングをして、徐々に精度を上げる。政府はスーパーシティの目標を掲げているが、いろいろなことを考え付く。

無人店舗だけでもないが、様々な社会ニーズを捉えて、私は、「AIとカメラでできることは何だろう」ということを都度考えて、それを商品化する。我々の強みというのはそういったスピード感、社会情勢のニーズに沿って、いち早く市場に投入することくを1番心がけているところだ。

―機動力につながる「先を見る力」はどのようなものか
ニュース(の視聴)が趣味で、ニュースばかり見ている。事件が起きると何か我々でできないかという考え方が根源にある。どこよりも早くできるだろうという私の発信で、若手がみんな動いてくれてそれを開発する。様々なメーカーの物を扱う関係で、強い物を組み合わせてスピーディーに開発する。多分大手では時間がかかるのではないか。

前田常務:我々はいろいろな商材を知っていて、その組み合わせなので、逆に言うと1から開発をしない。コアの部分だけの開発で済む。他社よりも早く市場に出せる。検温器も国内3割弱の市場を取った。幼稚園バスの置き去り防止の監視カメラも、国土交通省のガイドラインが出たので、来年以降大きな市場に投入できる。

―コロナ禍の特需を含まない業績予想は昨年並みと思う。来期以降の目標は
多賀勝用取締役:温度検知やAIロボット、特に温度検知に関しては、温度検知を目的とした機器の購入を特需と捉えている。見てもらいたい点は、カメラ売り上げだ。前期の21億8000万円と比較して今期の予想が26億1600万円。対前期増減率として20%増となっている。特需を除いた部分であるコア事業としてのカメラ販売も、成長のドライバーと考えている。中長期的なところは、状況によって共有するが、あくまでもカメラ事業をベースに、プラスアルファで新しい商品を追加して、さらに成長を拡大させていく戦略を取っている。

―カメラ売り上げが今後伸びると理解した。無人店舗よりも先の将来にAIカメラを使って実現したい世界は何か
岩本社長:当社のホームページのトップページにPVを貼り付けている。ビジネス特許として2019年に出願し、米国と中国にも申請している。それを見てもらえると、我々が目指している「Safe City」がどのようなものであるか相当のことは分かってもらえるのではないか。

前田常務:無人店舗は、防犯カメラと顔認証、画像分析を全て集約している。我々が今まで成長してきたのは、あくまでも防犯カメラを販売して、そこにAIを組み合わせて、さらに我々の特徴である顔認証も組み合わせた現時点の集大成になっている。実証実験中の「セキュリティを主とした無人店舗」を来期以降徐々に展開して、これも成長ドライバーとして進めていきたい。

―ニュースで取り上げられているような無人店舗との違いは
セキュリティを主体とした無人店舗をしている。他社では、セルフレジを使った無人店舗があるが、我々は「ウォークスルー型」だ。セルフレジ型は、レジが置いてあるので、現金がそこにある。セキュリティの観点上、何もないほうが犯罪が起きにくい。

我々はセキュリティ目線から考えて、ユーザーが最も使いやすいやり方と犯罪が起きない手法を組み合わせる。ウォークスルー型で、何も持たずに入って商品だけ取って出ていく。ストアの名前は「Face Free~Motte ke!」だが、「持ってけよ」という意味で、犯罪の起こらない店舗、かつ省人化・無人化で、差別化を図りたい。これも顔認証技術が成せる技だと思うので、我々の特徴を生かして進めていきたい。

―無人店舗の実証実験は、小売事業者と組んで進めているのか
前田常務:今どこかと組んでいるわけではないが、ショールームという形で金沢と東京と大阪で、実証実験を行っている。今期・来期に向けてそれが実現化していくスケジュール感だ。
岩本社長:話はたくさん寄せられている。

―無人店舗や監視カメラシステムは売り切りなのか
防犯カメラに関しては、基本的には販売だけで、わずかながら保守がある。無人店舗は保守が必要になるので、店舗が増えるほどストックビジネスとなる。

―ストックビジネスはあるのか
現時点では、モバイル事業の継続手数料はストックビジネスして毎月入ってくるものがある。カメラに関しては、保守なのでほとんどない。

―行政や地方自治体との連携や関係は
本当によく聞かれる。顧問に竹中平蔵氏が入っていることも機関投資家から質問される。私の父が元々政治家であった。ご存知だと思うが石川県といえば、馳浩知事。その教え子が当社の隈田佳孝専務で専修大学レスリング部の出身だ。非常に近い。森喜朗衆議院議員も石川県出身であり、国会議員とは頻繁に会っている。顔認証のコンソーシアムを経済産業省主導で2020年に作った際に、アイリスオーヤマと日本コンピュータビジョン、ダイワ通信の3社で立ち上げた。そういった経緯もあり、その辺りは我々が1番強いと感じている。

―モバイル事業で安定した利益を出しているが、市場縮小の可能性は
隈田佳孝専務:モバイル市場は、2019年に端末と契約の分離型に始まり、格安プランが始まるなど、非常に向かい風の状態だ。だが、北陸の8号線という国道を背骨に店舗のいわゆるドミナント化を進めている。店舗数はこれ以上増えないと思うが、例えば大型化や、市町村のなかでのドミナント化を組む。全体的には衰退してるように見えが、エリアをしっかり押さえることで、なくならないショップ事業と考えている。

―北陸と東京では人材の配置は東京のほうが多いのか
岩本社長:東京のオフィスが最も広い事務所で、近い将来には2本社制にしたい。北陸には工場ができ、人は増やすが、東京は営業拠点にしていこうという考えだ。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]