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上場会見:インターメスティック<262A>の上野社長、独自の価値ある眼鏡を

18日、インターメスティックが東証プライムに上場した。初値は公開価格の1630円を25.03%上回る2038円を付け、1981円で引けた。「Zoff」のブランドで眼鏡レンズやフレーム、サングラス、眼鏡・コンタクトレンズのケースやクリーナーなどの製造・販売や輸出入を手掛ける。1993年5月に設立した。卸売業者が介在しないSPA(製造小売業)方式を眼鏡事業で初めて導入。国内店舗は303店舗(7月末現在)。上野博史社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

現場・現物・現実の状況を常に自ら確認して正しい判断のもとに週次で改善を繰り返す三現主義の考え方を基にした商品開発力と接客力、広告戦略を強みとすると話す上野社長

―初値が2038円で公開価格を25%上回ることの受け止めと、2007年に大証ヘラクレスに上場を申請していたが、17年ぶりに申請して上場を果たしたことについての所感は
2007年にはファンドが入っていたので、そのエグジットという意味で上場を進めていた。直前になり、あまり良い業績ではなかったので、その点で断念せざるを得なかった。

今回に関しては先ほどの社会環境の変化、さらに眼鏡市場は2001年の段階で6000億円程度だった。今は5500億円ぐらいの規模になっている。(Zoffを)2001年に創業した当初は、眼鏡をもっとTシャツのようにかけ替える社会が作られるものだと思っていたが、実際に蓋を開けてみると、低価格市場は伸びているものの、顧客が頻繁にTシャツのように眼鏡を毎日着替えるような社会が作れているかというとそうではなかった。

「なくした」、「壊した」、「ぼやけた」――これが眼鏡を買う理由で、その点も含めて我々がもっと市場に対して訴求力を上げて、しっかりとプライベートカンパニーではなく、上場して皆さんにPRするという意味も込めて、上場を1つの手段としていこうということになった。

価格については市場が判断するもので、決して我々が判断できるものではない。ただ、25%上昇するという判断を得たことに関しては、本当にありがたい。

―サングラス市場での成長について、日本人は欧米人と比べて目の色素濃度の関係で、欧米人ほどUVカットの需要がないように感じるが、どう評価するのか
欧米では、主にアイケアの観点からサングラスをかける傾向がある。日本では比較的、一般的に不良の象徴のような感覚で捉えられて積極的にかける人がいない傾向があった。コロナ禍の最中に、我々の商品としてカラーの薄いサングラスの販売の伸び率が非常に上がった。

今売れているものも、実際には濃いレンズではなく、俗にサングラスと言われている色の濃いものではなく、薄いものの売上が非常に多い。さらに調光レンズというものもあり、室内では眼鏡、屋外では紫外線に当たると色が変わりサングラスになるレンズも非常に売上が多い。既存の眼鏡の観点だけではなくて、ファッション性の高い薄いサングラスを起点に、売上が非常に好調なので、それも含めて新たな価値を創造しているのではないか。

―ファッション性で掘り下げていく余地があるのか
そうだ。薄くてもUVカットされているのが我々の強みで、透明レンズでも紫外線がカットされるものがたくさんある。その認知もぜひ上げていきたい。

―日本はサングラスでは後進国とのことだが、これを先進国にしていくうえで、日本の社会がどういうふうになっていってほしいか。サングラスとどのように付き合っていってほしいのか
海外、オーストラリアなどでは法律になるぐらいだ。特に暑い国ではサングラスが必需品になっている。そのなかで、公共機関や第1次産業に従事している人で、紫外線の影響を受けるところもあるので、そこで管理している人が、積極的にサングラスを受け入れて、もっと寛容になっていくべきではないかと思う。

サングラスは色が薄いものでもしっかりとUVカットされていて、濃いものだけがサングラスではない。ぜひ積極的に子供の頃からサングラスをかけるようなカルチャーを一緒に作っていくことができれば良い。

―子供の頃からという話だが、まさに必需品のような存在になってほしいのか
是非そうしていきたい。

―4年ほど前にQDレーザ<6613>と弱視者向けの製品開発に向けて業務提携を行っていたが、そのような製品の機能性に関する考え方や、今後について聞きたい
我々が将来目指す道としては、独自の価値のある商品で独自の顧客を作って、独自の手法を作り出していくという企業ブランディングをしっかりとしていきたい。今、この市場はおそらく顧客目線で見ると多分、「価格の安い眼鏡ブランドだ、ほかもどこも一緒だよ」という感覚が非常に強いが、我々は今後しっかりとした独自商品を作っていく。それにシナジーのある企業であれば、一緒に取り組みを積極的に考えていきたい。

―2024年7月時点で国内303店舗を展開して、海外ではシンガポールと香港に店舗を構えている。今後500店舗まで国内に広げ、かつ、海外ではシンガポールと香港以外には東南アジア諸国にも展開していきたいそうだが、現時点で目標達成に向けた具体的な方法やスパンは
出店に対しては縁のようなものもあり、確約できるものではないが、最低年間で15店舗の出店を心掛けていきたい。海外に関しては、眼鏡市場は世界のGDPと紐づいており、順番としては米国、中国、ドイツ、日本で市場ができ上がっている。我々は香港市場に関しては、ナンバーワンのシェアを獲得しているが、7%と日本の市場と比べると小さい。シンガポールも2~3%程度だ。そのなかで感じるのは、まず日本の市場に力を入れて、独自の価値ある商品でしっかりと我々の独自の顧客を作れるような状況にして、さらに外の展開をしていきたい。

スパンとしては、海外でも短期のことを考えてはいるが、一旦は日本の市場をどれだけグロースさせることができるかに視点を向けている。

―国内500店舗に関して中長期でどのぐらい先にそこまでいければ良いのか
我々は、半数ぐらいが関東圏を中心に展開しているが、地方に関しては知名度がないので、人の集め方もさらに非常に難しくなってきている。この上場を機に潤沢な人を集められるような企業にしていくのは、考え方としてある。地方の出店に関してもタイミングと縁があるので、単純に眼鏡屋さんだけのイメージではなくて、サングラスを起点としたいろいろな層を含めた展開ができれば出店が比較的スムーズに進むのではないかと思っているが、これはタイミングなので、最低15店舗程度の展開を考えていきたい。

―日本市場での基盤を固める点で、目標として国内市場ナンバーワン、サングラスでもナンバーワンになるとのことだが、ほかにも指標として掲げるものはあるのか
サングラス主導が1つと、ガリレオという商品がある。ラバー製で金属を一切使用していない。作るのに3年かかった。その経緯として、視力の弱い子供が小さい頃から行動を制限されるという話があった。

眼鏡をかけて激しい運動ができないという話を聞いて、我々のコンセプトとしては眼鏡をもっと自由に楽しく気軽にかけ替える社会を作っていくというものなので、今までの眼鏡とは違う眼鏡を作っていかなければならない。

市場が革靴からスニーカーになってきたように、今までのようにメタルやプラスチックでは、眼鏡としては壊れるので、我々はガリレオのようなものを作って、世のなかに訴求していきたい。これがまた新たな市場を作っていけるのではないか。子供の頃から活発な運動ができるような眼鏡であり、また、日本は自然災害が非常に多い国だ。そのなかではプラスの1本が絶対に必要なので、その点でも市場を伸ばしていけるのではないか。

―地方には他社も出店済みでたいていの商業施設には眼鏡店が入っている。出店を増やすためには
今、デベロッパーから言われているのが、アパレルがちょっと調子が良くない。その穴埋めとして眼鏡業界を入れていくという話がある。今までは例えば、1つの施設に対して、1、2店舗という体制が主だったが、今後3、4店舗というのが一般的になってくると言われている。そういった点では我々にはまだ可能性があると見ている。

―ジンズホールディングスと比較されることが多い。価格面やSCへの出店、サングラス事業に成長性を感じているなど共通点が多い。差別化のポイント、競合していくに当たって意識することは
上場を機に知名度を上げて、しっかりとした人材を獲得していきたい。この業界はなかなか人の採れない業種で、今回を機に、新たな改革を常にもたらすことができる人材の積極的な雇用を考えて採用活動を進めたい。

ガリレオのような商品も含めて、市場に対して独自価値のあるもの、独自価値のあるサービス、これでしっかりとした独自の顧客を作って独自の市場を作り上げていくというスタンスは、これから積極的に作っていくので、マーケティング投資も商品に対する開発の投資も含めて積極的に取り組んでいく。その点で必ず差別化ができてくる。

―ECでの売上と店舗での売上に関しては、今後カニバリゼーションが起こる可能性はないのか
ECで購入する顧客は、必ず既存の店舗で眼鏡の度数を入れたり、サングラスにするので、ECは既存(店舗へ)の新規顧客として伸ばしている最中だ。

―古くからSPAモデルに取り組んでいるが、サプライチェーンのメンテナンス、発注先でもいろいろなことがあるかもしれないということについて聞きたい
主に我々は中国と韓国で製造している。今後考えなければならないのは、今の円安の状況も含めて国内市場で、生産することも視野に入れているので、しっかりとした供給ができる体制を中長期的にしっかり整えたい。

―株主優待を含めた株主還元策について
今はもちろん業績予想をクリアして配当する予定ではあるが、そのへんは積極的に考えたい。今の段階では明言はできない。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]