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上場会見:早稲田学研<5869>の柳澤社長、近い地域から出店

22日、早稲田学習研究会が東証スタンダードに上場した。初値は公開価格の970円を15.26%上回る1118円を付け、1156円で引けた。北関東を中心に小中学生対象の集団指導塾「W早稲田ゼミ」など59教室を展開する。大型の郊外型校舎を展開し、1校当たりの平均在籍生徒は477人と平均(105人)を大きく上回る。吉原俊夫会長が1987年4月に群馬県太田市で家庭教師センターとして創業した。柳澤武志社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

国の子育て支援策の影響に関しては、取り立てて良い影響もそうでない者も感じていないが、今後の動向を見ながら対応したいと話す柳沢社長
国の子育て支援策の影響に関しては、取り立てて良い影響もそうでない者も感じていないが、今後の動向を見ながら対応したいと話す柳沢社長

―初値の感想を
公開価格より上になり、投資家に高く評価されたことに深く感謝するとともに、当社に寄せる期待の強さを改めて痛感した。この期待に沿えるように経営努力を重ねていきたい。

―上場の目的について
知名度の向上による採用力の強化と、優秀な人材の確保だ。
山崎晴也取締役:今は北関東が中心だが、本社は東京にあり、そこを核として、全国からの応募者と面接をする。上場による知名度向上で、より良い人材にさらにたくさん来てもらいたい。いろいろな目的があるが、それが大きな目的の1つだ。

―未経験とはいえ、レベルの高い人材を教師として集めているとのことだが、どのような人材が多いのか。一貫した方針があるのか
柳澤社長:経営理念である生徒の笑顔のために、一生懸命に寄り添って指導できる教師、その素質を見て採用している。

―コロナ禍で学習塾の業績は良かっただろうが、一服した後の市場環境はどうなりそうか
安定した市場が形成されていると見ている。当社は、安定したターゲットが多いので、コロナ禍で大きく影響を受けた認識はない。

―少子化に関しても特段問題なく解決できそうか
安定した市場のまま推移すると想定している。

―中長期的に北関東以外への出店は
考えてはいる。

―その場合は、例えば1県ずつ固めてから次の県に行くのか、関西や北海道などに進出することもあり得るのか
どちらかといえば前者の考え方だ。我々は直営店のみで、そして、自前で育てた正社員という人材を基に展開していくので、近い地域から埋めていくイメージで出店していく予定だ。

―直近で、可能性が高そうなところや良さそうだと見るマーケットは
近隣では、千葉県や茨城県、東京都の市部は検討に入ってくる。

―東京23区は攻めにくいのか
東京23区に現在進出することを検討するフェーズにない。公立中学から公立高校に進むような生徒たちに対する商品開発や指導がメインとなっている。

23区ではかなりの割合の人で、私立中学受験がメインになり、そもそも顧客のターゲットがいない。もう1つは、不動産コストの高さから現在は23区に進出することは検討していない。

―株主は創業者が完全に掌握しているが、IPOを経た今後の関係は。かなりの影響力がある持ち株なので、改めて経営者側としてはどういう考えか
今後、パブリックカンパニーとして、十分な対応、中身を伴った運営をしていきたい。
山崎取締役:オーナーの売り出しがあったが、その後でもまだ過半数を持っている。IPOの準備の過程で、ガバナンスも強化しており、上場後もそれを緩めず、少数株主にも配慮した経営を続けていきたい。

―別の学習塾でも、児童へのいろいろな問題があったと思う。校内での組織的な対応は今あるのか。各教室にカメラを設置しているのは聞いているが、そのあたりはどうか
柳澤社長:生徒の成績を上げると以前に、安心・安全に通ってもらうことが、教育インフラでは最も大切なことで大前提になる。最重要課題として取り組んでいる。

ビデオカメラのモニター設置のほかに力を入れていることとして、まず法務室を組織上独立させ、最優先課題として取り組んでいる。また、正社員教師なので、研修や教育が積み上がる構造がある。それを生かし、より高いレベルを目指して、生徒の安全・安心につながる経営努力をしていきたい。

―内部通報システムを準備するのか
そうだ。

―超大型校舎が特徴で、それなりの大きさの建物が必要だが、基本的には賃貸で進めていくのか
自社物件も賃貸もある。

―そこは貸借対照表を圧迫しないように調整しながらか
山崎取締役:どちらもメリットがあるが、条件に合う物件の確保で、資本コストを意識しながらバランスシートをスリム化する。一方で、ある程度自社物件を確保して核になるところは押さえたい。バランスを取りながら考えていきたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]