19日、トリドリが東証グロースに上場した。初値は公開価格の1500円を82.20%上回る2733円を付け、2233円で引けた。インフルエンサーと企業をマッチングするマーケティングプラットフォームサービス「toridori base」などを開発・提供する。インフルエンサーに特化した成果報酬型広告(アフィリエイト)の仲介サービス(toridori ad)に始まり、複数のサービスを展開する。中山貴之社長が東京証券取引所で上場会見を行った。 ―初値が公開価格を上回った感想は ―投資家の見方として、大手の参入が危惧されているが、どう見るか マッチングのサービスなので、インフルエンサーと事業者の両方が集まっている状態を担保しなければならないというのは、割とハードルが高いと思う。クライアントを多く集められる営業力を持っていても、インフルエンサーが使いやすいサービスを提供する必要があり、インフルエンサーを集めなければいけない。両方に対して強みを持つのは、大手でもなかなか難しいのではないか。当社ならではの強みを生かして、サービスを伸ばしたい。 SMB (Small to Medium Business)の領域は広いので、新規参入があっても、インフルエンサーマーケティングがより一般化する1つの手助けになると思う。一定の参入があるなかでもしっかりポジションを取っていきながら市場自体を広げていきたい。 ―登録インフルエンサーの実稼働割合はどの程度か 森田一樹CFO:月に6000人ほどのインフルエンサーがキャンペーンに応募する。 ―マッチングということで、起用したい企業側からとても人気のあるインフルエンサーもいると思うが、レーティングのようなものはあるのか 中山社長:広告主側が募集して、その募集要項に対してインフルエンサーが応募する。スタートが広告主側からインフルエンサーを探し選ぶモデルではなく、インフルエンサーが応募することでそのなかから選ぶ形になっている。特定のインフルエンサーに案件が集中するよりは、インフルエンサーは自身が応募したいものに応募するので、ある程度分散している。 ―インフルエンサーのKPIを高めるために、どのような施策があるのか 将来的には、インフルエンサーそれぞれに合う広告を表示させて紹介する機能を開発し、プラットフォームの強化を行いたい。また、広告の紹介だけではない付加価値のようなものを提供できるようにしていきたい。 ―クチコミとは ―要するに登録するインフルエンサーを増やすことを目指しているのか ―インフルエンサーによる広告効果を高めるための施策は そういうことがないように、飛んだ先のコンテンツを強化してもらいたい。当社では、そのSNSアカウントの運用の代行を行う。また、インフルエンサーの投稿を見た後に、SNSだけではなくGoogleで商品の名前を検索し、クライアントの企業を調べたときに、Googleのマイビジネスのプロフィール欄のクチコミや投稿も見ると思う。そういったところにSNSに投稿されたものが、自動で反映される機能やプロダクトを作って、インフルエンサーマーケティングの効果を最大化できる複合的なサポートしていきたい。 ―その機能は既に運用しているのか ―サービスのオプションとして効果測定・フィードバックがあるが、どのような内容で、どんな反響があり使われ続けているのか インフルエンサーが投稿したものに関してどれだけ反響があったか、例えば、「いいね」の数、コメントがどの程度付いているかといったSNSでの反響の公開を見られるようになっている。それが効果の測定の部分だ。 森田CFO:最近は、広告主側の自社SNSアカウントと連携している。飲食店であれば、インスタグラムで自身のページを保有していることが多いので、そことの連携も進めている。「toridori marketing」を使った活動状況と、自社アカウントのフォロワー数やエンゲージメントの増加を見比べられる状況になっている。 中山社長: SNSでの継続的なマーケティング活動が、実際に物を買ってもらうことや、来店してもらうために重要になってきていて、企業には、例えば、店舗や商品のアカウントを作ってもらっている。インフルエンサーが物やサービスを紹介する時に、「同時にクライアントのアカウントで見られます」とか、「このアカウントで商品を買えます」というものを投稿してもらう。 そのインフルエンサー経由のフォロワーや、ハッシュタグの検索結果からの経由で、閲覧者がクライアントのページに飛ぶようになっている。その公式アカウントのフォロワー数がどれだけ伸びたか、アクセスがそのアカウントにどれだけ入ってきたか、アカウントに貼ってあるURLをどれだけクリックしたかということ、購入や来店の1歩前の段階のデータが、インフルエンサーマーケティングをすることでどれだけ変わったか見える。 それが重要な指標になってくる。そこをクライアントのアカウントと連携することによって見てもらう。そうすることによってインフルエンサーマーケティングの効果がどれだけあったか実感してもらう。その実感によって、継続的にインフルエンサーをキャスティングしたいと思ってもらえる流れで使ってもらっている。 ―自身がインフルエンサーとして活動してきたこともあり、余念はないと思うが、炎上防止などで気を付けていることはあるか それ以外にも、インフルエンサーが企業とマッチして直接やり取りするので、そういったインフルエンサーの行動データを信用スコアとして持っている。インフルエンサーの行動によっては、行動に制限をかけ、アカウントを停止するといった対応をしている。 そうすることで、インフルエンサー自身が「きちんとした活動をしなければいけないな」と思ってもらう。サービスや機能としてそういったものを作っている。インフルエンサーに対して正しい行動を促すような機能になっている。 ―インフルエンサーに限らず広告業界ではサービスを過剰に美化するという問題があると思うが、事実からかけ離れたような誇張したPRの仕方を防ぐ対策はあるのか 企業に対しては、より自由な感想を投稿してもらう形でインフルエンサーに対して募集をかけたほうが応募が集まるということを、我々からも伝えている。実際にプラットフォームの性質上、よりたくさんのインフルエンサーに商品を紹介してもらいたいと企業が考えれば考えるほど、インフルエンサーの行動の制限はしないほうが良いという作りになっている。 ―(過剰な表現を防ぐ)規則のようなものはあるのか 財務経理部の枝廣和幸氏:前提として広告のガイドラインは、我々の社内で規定しており、法令遵守や誇大広告はしないという同意はしてもらっている。ただ、基本的にはインフルエンサーの自由に、その範囲内で投稿してもらうことをコンセプトとしている。 ―毎月どの程度の契約数と解約数があるのか。 ―有料利用顧客の利用期間はどの程度か 枝廣氏:サービスが有料になって2年ぐらいだが、サービス継続とともにそういった顧客の利用は増えていくと考えている。 ―有料化を始めたのはいつか 枝廣氏:有料化は2019年の第1四半期からだが、サービス開始は2018年4月で、当初は無料で始めて、新規顧客の部分に有料で提供した。 中山社長:無料で開始し、無料と有料の混合から有料のみに切り替えた。 ―平均利用期間の伸長に関する目標はあるか 森田CFO:社内計画ではあるが、あまり話していないが、もちろん伸ばしていくべく活動していきたい。 ―伸長のために最も大事だと思うことは ―中長期的な業績目標は ―利益は 中山社長:公式な計画を立てているわけではないが、年率40%の成長を続けながら5年以内ぐらいに売り上げ100億円を大きい目標としている。 [キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平] |
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