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上場会見:ビジネスコーチ<9562>の細川社長、コーチングで成長に貢献

20日、ビジネスコーチが東証グロースに上場した。初値は公開価格の2070円の2倍となる4155円を付け、3455円で引けた。クライアントである人と組織の目標達成に向けた行動変容を支援するビジネスコーチングや、経営幹部を対象とした「エグゼクティブコーチング」などを法人顧客向けに提供する。細川馨社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

トップマネジメント層や若いエグゼクティブ層に投資している会社にはきちんとしたサクセッションプランがあり、連続的成長もしていく。そこで止まってしまうと企業は成長しないというケースは日本企業ではたくさんある。そういったことに気づいた時に日本は再び成長するのではないかと話す細川社長
トップマネジメント層や若いエグゼクティブ層に投資している会社にはきちんとしたサクセッションプランがあり、連続的成長もしていく。そういったことに気づいた時に日本は再び成長するのではないかと話す細川社長

―初値が公開価格の2倍になったことの受け止めは
高い評価で本当にありがたい。しかしながら責任重大だ。企業の成長戦略と人材開発戦略が連動している。顧客への人材戦略の支援で、企業の成長に貢献しなければならない。我々自身が常にアップデートしていかなければならいと決意を新たにした。

―米国に比べてビジネスコーチングの需要が少ないという話だが、例えば、政府の旗振りで需要が急激に伸びる可能性があるのか。その可能性が厳しい時にはどの点に日本の課題があるのか
日本では、先進的な会社では受けているが、大企業のトップリーダーや役員がコーチを受けるエグゼクティブのコーチングが圧倒的に少ない。そういうトップマネジメント層がコーチングを受けて、自分でイノベーションを起こす、あるいは部下との接し方、部下の話を聞く、部下に質問することはとても重要だと思う。

そうしないと、自分の部下の人たちがイノベーションを起こすとか、そういうことが足りなくなる。コーチングを受けることがすごく効果的。人材版伊藤レポートにも書いてあったが、“ゼロイチ人材”の育成がすごく重要。20~30代でイノベーションを起こすような人材を選抜して伸ばすことも重要なテーマだ。

―市場自体が安定した環境にあるとのことだが、市場を上回るトップライン成長率23%の秘訣は
コーチングで成果を出したい企業ニーズが非常に高まったのではないか。「研修をやれば人材開発だ」ということが何十年も続いているので、「この人たちをどうやって成長させるのか」という目的を持ってやる。例えば、ゴルフのレッスンを集合研修で受けて上手くなるわけがない。コーチが付いて、常に練習していくとゴルフが上手くなるように、ビジネスも全く同じだろう。

―そのフォローアップなどが、クライアントがビジネスコーチを利用するニーズになっている
それがすごく高まっている。人材開発で結果を出したいという企業が増えている。エグゼクティブコーチングを大量にやりたいという会社も相当増えている。

―収益構造について、マイクロラーニング以外はフロー型という理解で良いのか
鈴木孝雄常務:その理解ということだ。プロジェクト単位で受注してサービスを提供して、売り上げを計上している。

―業績予想を若干堅めに見ていて増収減益とのことだが、この状態はスポット的なものなのか。「1対1型ビジネス」のサービスが増えたことで外部コーチに支払う外注費(原価)が増えたとある。現状で、「1対n型ビジネス」と「1対1型ビジネス」の売上高比率が67%と23%となっており、5年以内に50対50にしたいとのことだが、1対1型ビジネスを増やしていくと、外注費が嵩んでいくようにも見える。その点の関係は
外注費が増えた部分の説明は、1対1というよりは、コーチ(外部のパートナー)が関わるサービスの提供が増えた。コーチが関わると外注費が発生するので、その分が増える。マイクロラーニングなどは売り上げに関わらずコストは一定なので、その部分の構成比よりはコーチが関わる部分が増えたことが原価の上昇という説明になっている。

―1対1型サービスの割合を増やすことは、稼働するコーチが関与する割合が増えていくので、原価に影響するのではないか
1対1型とn型では同じ料率を適用しているので、コーチへの支払額は基本的に変わらない。原価率が上がるか下がるかについては、役務提供型とマイクロラーニングシステム提供型との構成比によって変わる。1対1型が増えていくことは、結果的にはマイクロラーニングの割合が相対的に減るので、若干減少する傾向にある。

―1対1型サービスのほうが、単価が高い印象だが、その点はどうか
1対1型についてはエグゼクティブ層とビジネスパーソン層では単価が違うので、その構成によって変わるが、一概にどちらが高いということは言えない状態だ。

―AIでコーチング結果を分析することは、これから行っていくのか
青木裕常務:プロジェクトとしては既に先行して実施しており、これから本投入していく。

―コーチングの定量的な評価や効果測定は可能なのか
細川社長:エグゼクティブコーチングの場合、コーチング終了後に360度サーベイをして定量的な測定をする。クライアントのニーズによっては中間(測定)をする。例えば、5~10個ぐらいの質問項目、「この人は人の話を聞くか」など様々な質問があり、それに周りの人たちが5点満点中何点という評価を行い、後半でも行うバージョンがある。あとは、Webで行う膨大なものがある。CP360という商品では相当数の質問項目があり、それで測定している。

―今は大企業中心だが、中小企業にコーチングのニーズが発生した場合、ビジネスコーチとしてイベントを開催したりセミナーを開くなどしてコーチングという文化をどう根付かせていくのか
大企業向けに事業を展開している。大企業のなかでも、コーチングという1つのパーツしか我々は(任せて)もらっていない。我々が信頼できる会社であると認識してもらえば、その大企業の人材戦略の中核を(担い)、成長の手伝いをする。そうすると会社の規模が大きくなってくる。その時に、中堅企業にもどんどん広げていきたい。まだまだ大企業との取引が多く、裾野まで広がっていない。アカウントマネジメントの進捗が弱い。

―株主還元の考え方は
ビジネスコーチングを日本で定着させたい。「あなたに1人のビジネスコーチ」というコーポレートスローガンを持っている。株主還元は非常に重要視している。常に株主還元について社内で揉んで還元していきたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

トップマネジメント層や若いエグゼクティブ層に投資している会社にはきちんとしたサクセッションプランがあり、連続的成長もしていく。そこで止まってしまうと企業は成長しないというケースは日本企業ではたくさんある。そういったことに気づいた時に日本は再び成長するのではないかと話す細川社長
トップマネジメント層や若いエグゼクティブ層に投資している会社にはきちんとしたサクセッションプランがあり、連続的成長もしていく。そこで止まってしまうと企業は成長しないというケースは日本企業ではたくさんある。そういったことに気づいた時に日本は再び成長するのではないかと話す細川社長

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