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上場会見:AViC<9554>の市原社長、解明力と再現力

6月30日、AViCが東証グロースに上場した。初値は公開価格の1020円を24.12%上回る1266円を付け、1100円で引けた。広告予算が月間500~5000万円の中小事業者を対象に、インターネット広告サービスを提供する。グーグルやヤフーといったメディア運営会社から広告枠を仕入れ、コンサルティングを行ったうえで広告枠を販売する。検索順位を上げるためのSEO(Search Engine Optimization)コンサルティングも手掛ける。市原創吾社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

市原社長はDXツールに関して、分析の自動化はできているので、実行の自動化や機械学習の精度向上などプロダクトの進化を図ると話した

市原社長はDXツールに関して、分析の自動化はできているので、実行の自動化や機械学習の精度向上などプロダクトの進化を図ると話した

―初値の感想は
我々の期待通りの結果となった。地合いも、今年が始まってからかなり冷え切っている状態での厳しい環境下、逆風のなかでの上場でも初値が公開価格を上回り、一安心している。

―起業は考えていなかったという記事もあるが、起業した経緯は
30歳になるまで起業は一切考えていなかったが、次の10~20年に何をしていこうかという時に、指数関数的に自己成長していきたいと思った。大きな会社の組織で、幹部として非常に成果が出せた経験があった。次は経営者という職業にチャレンジすることによって、自己成長していきたいと、まず経営者という職業をやってみようというのが1つの理由としてあった。もう1つは、そのようななかで、株主でもあるBuySell Technologiesの岩田匡平社長が私の友人であり、BuySellを大きくして経営者として成長していく姿にも非常に感化され影響を受けた。

―起業する時に目指していたゴールは
あまりビジネスモデルを考える前に起業を優先にして、いろいろなビジネスに携わりながら自分に何をできるのだろうという形でスタートした。そのなかで、様々な人たちからマーケティング支援の相談をたくさん受けた。2兆7000億円のうち、私が今まで見ていた市場は、本当にわずかな市場だった。

ピラミッドで一番上の市場だけを見ていた状態だったが、いろいろな顧客や広告会社、(事業)会社と付き合いながら、急成長しているインターネット市場で、デジタルディバイドが色濃くある業界全体の負の構造を、最初の1年目に強烈に感じた。それを解決していくことは、私自身ができることだろうと、このビジネスモデルに行き着いた。これがどこまで行くのかというのは、マーケットが非常に大きく、我々は今1%に満たないシェアなので、今後5~10年は長く続けていっても十分なマーケットと想定している。

―上場の最大の目的は
最大の目的は2点ある。資金使途の1つにもあるが、人の調達をしっかりしていく。我々は今、サプライサイドが間に合わないぐらいの案件が寄せられている状態なので、サプライをいかに強化していくことが会社の成長にヒットしてくる。

2つ目は、創業時から強烈に感じていることだが、やはり社会的信用・信頼が重要だ。我々はBtoBの商売なので、いろいろな企業に信頼・安心してもらうことが非常に重要なポイントだ。人材の採用でも、ベンチャーでは、(応募者)両親や家族から納得してもらえないケースもたくさんあったので、それも含めて信用・信頼や権威のようなものが上場において非常に重要になる。

―強みをひと言で言うと
解明していく力と、それを再現していく力、これが我々がすごく強いポイントなのではないか。解明力と再現力だ。

―ノウハウがある人が社内にしっかりいるということか
ノウハウがある人間がいるというのもあるが、ほかのジャンルをやっても解明していく力が非常に強いのではないか。例えば、SEOは新規事業であって、私自身はSEOに携わった経験がない、ノウハウがない状態でスタートしているが、そのなかからマーケットのトップクラスのアルゴリズムのベストプラクティスに行き着くような解明をしていく動作は非常に得意な会社ではある。誰がやっても効果が出るような形式知化しながら、ツールにシステムとして再現していく再現力も強みだ。

―SEOに関して、アルゴリズムがかなり変わって複雑になっているとのことだが、そのレベルになると事業会社が内製化して対応することが難しいのか
事業会社が内製化していくのが難しく、広告会社も収益性を担保するのが難しいと思っている。そのなかで、高いパフォーマンスと分析をしていくためには、テクノロジーの活用も必要で、我々が1社1社に対して高いパフォーマンスを出すためのコンサルティングをしている。手動でするとコンサルティングには1人あたり108時間ぐらいかかる。DXツールを使いながらそれを10分の1程度に圧縮し、高付加価値化と効率化を実現しているので、内製化していく代理店が収益を担保しにくい点に対して、そのアプローチで解決している。

―マーケティングのDXツールは、市原社長が9年間、サーバーエージェントでいろいろな経験を積んだことがコアとなっているものなのか
それは一部であると思っているが、プラットフォームは進化していくので、都度社内の専門家がハックしていきながら、そのツールに足し続けていく形になっている。最初の構想というかベースは私の知見というのもあるが、そこから3年かけて時代が変化しているところがあり、アップデートし続けていくものだろう。

―人材育成の方針に関して、営業目標を課さず組織知化が進むというが、具体的にはどのようなことか
幹部以上、部長格以上に関しては、もちろん営業数字・組織目標を課しているが、我々が今提供しているものは、顧客からの売り上げを消化していくことではなく、効果で返していくことだと考えている。全ての顧客に対して百発百中で効果を返していくことが、我々がまずビジネスとして最低限やらなければならないことで、各社員に関しては、基本的には全ての顧客に対し効果目標をクリアしていくところを見ている。

一定の収益性が担保できると見込んだ顧客にだけ対応していくので、そこで効果が出れば、我々としての収益も担保できるし、離脱されないので、継続率高く、顧客と付き合っていける状態が実現できている。そのようなエコシステムができているので、顧客を開拓し、人材育成をしていく流れで会社を拡大している。

―UUUMとの提携の成果は
1社、次にまた2社という形で取り組み始めているが、一定の広告効果の成果は出ており、そのナレッジをほかのクライアントにも展開していく予定だ。

笹野誠CFO:今期の業績予想などには、UUUMとの協業については織り込んでいない。

―新卒採用を増やす理由は
市原社長:我々が一流で競争力があるだろうという人材の育成が、2年半〜3年程度で仕上がる。育成できるエコシステムが当社の育成フローとしてある。さらに、再現性を持って採用して一流の人材を育てていくとなった時に、新卒が2〜3年で育ち収益を多く生む仕組みができており、コーチングできる人間も育っていくので、新卒採用はこれから加速していきたい。

―ノウハウがあるので会社の規模を大きくする時に新卒でも再現性を持たせていけるのか
未経験人材を育てることは、仕組みが作られ、教育システムやノウハウの形式知化が必要になってくるので、新卒を育てることで強度が上がるという実感を持っている。

―意識する競合は
ダイレクトに我々が脅威としている競合はないが、我々はミドルのマーケットをどんどんリプレースしていく状態なので、そうなった時には、例えば上場企業でいえば、オーケストラホールディングスといった会社になる。とはいえ、皆が聞いたことがないような会社が100社以上ある。どこか1つベンチマークしているというよりは、このマーケットに対して正しくサービスレベルが行き届いていないなかで、我々がマーケットに対して正しいサービスを提供していくことを目指している。

笹野CFO:上場していないにもかかわらず数十億円の売り上げのインターネットの広告代理店は100社近くある。私もこの会社に入って初めて知った会社がたくさんあり、特定の会社をベンチマークしていることは決してない。

―大株主のミダス投資事業組合については
ミダススキームについては、市原創吾社長と岩田匡平社長、ミダスキャピタルの吉村英毅代表のそれぞれ個別にミダスファンドを組成している。その仕組みとしては、元々彼らは当社の株を自身で持っている。資産管理会社が持つケースもあるが、実質的に自身で持っている。その株をそれぞれが現物出資する形式で組成し、二階建ての株主構成になっていて、オーナー株主、各人のミダスファンド、AViCという資本構成になっている。

―どのようなメリットがあるのか
まずミダースキャピタルのミダスメンバーであることで、横のつながりが非常に強い。世の中には、例えば経団連などの団体があり、情報交換や相互扶助があるが、ミダスキャピタルという資本を絡める形でのつながりを持つことで、より一層プロアクティブに相互扶助がなされる。具体的には、人材や営業先、ナレッジの紹介がある。我々も特に若輩者なので、先輩の経営者やビジネスプロフェッショナルの人々にIPOの過程で様々なアドバイスを仰ぐことで、今回の上場に至るまでも、いろいろな助言やサポートを得られた。

―それぞれの投資事業組合は、LP(出資者)はそれぞれの個人なのか
共同GP(運営者)として各オーナーとミダスキャピタルが存在する。

―GPのみが出資しているのか
LP出資は吉村ホールディングスという、吉村代表の会社が1口だけ出資している。ミダススキームを成り立たせるためには適格機関投資家の出資を受ける必要があり、そのためだけに吉村代表がLPとして、吉村HDが1口入れている。詳しくは開示資料のリスク資料を見てほしい。

―サイバーエージェントグループとの横のつながりはあるのか
市原社長:前職ではあるが、資本関係があるわけではないので、事業では一切ない。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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