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上場会見:デコルテHD<7372>の小林社長、日本のフォトウェディングに伸びしろ

22日、デコルテ・ホールディングスが東証マザーズに上場した。初値は、公開価格(1720円)を138円下回る1582円を付け、1334円で引けた。同社はフォトウェディングなどのサービスを提供するスタジオ事業などを展開する。技術者を内製化しフォトグラファー134人とメイクアップアーティスト148人を抱える。小林健一郎社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

小林社長は、プロフェッショナル職人材と衣装、マーケティングの内製化を強みとして語った
小林社長は、プロフェッショナル職人材と衣装、マーケティングの内製化を強みとして語った

―初値の受け止めは
真摯に受け止めたい。今後はしっかりとした業績を残して企業価値を高めていきたい。

―このタイミングで上場した理由や狙いは
計画を変えなかったということになるが、コロナ禍でも順応した経営ができたことや、フォトウェディングに対する顧客のニーズの力強さを感じたと捉えている。

日本でのフォトウェディングの実施率は50%強という状況だ。9割以上実施しているアジアなど諸外国が多いなかで、まだ伸びしろがある。我々が上場することでサービスの認知度向上と当社を多く知ってもらうことで、パートナーとの提携も増やしていきたい。

―海外はなぜフォトウェディングが多いのか。日本ではどうアプローチするのか
中国や台湾、韓国、香港では多くの人がしている。海外の人がしているのを知って、日本にはそういう文化や屋外で撮っている風景がないということで、我々が実際にやってみて体験自体は面白く受け止められ、良い表情の良い写真になる。

日本で、結婚のタイミングでプラスアルファの良い思い出作りができる海外の良いものを広げたいと考えた。日本は遅れながら来ている状況と認識している。ただ、我々が始めた当初からすると50%ぐらいまで来ている。日本の特性として、ある瞬間を超えると皆が始めるようになることを期待している。

―コロナ禍前よりも顧客を伸ばしているというがその背景は。また今後どう伸ばすか
コロナ禍前から成長を重ねてきた。コロナ禍でいろいろな制限が掛かって顧客の動きが止まっているなかでコロナに順応した商品を打ち出した。結婚式を挙げない顧客のニーズを満たすために、和装や洋装の複数の衣装を着る顧客のプランを充実させることで客単価が上がってきた。その状況のなかで最大限の取り組みをした成果と見ている。決してやりやすい環境ではないなかで進めている。

―コロナ禍に順応した商品とは
これまでは100%来店型の集客をしていた。来店型集客では、移動を避ける顧客も一定数いるので、コロナ禍ではその人達に対して内容が分かるオンライン接客の仕組みを作って、丁寧にできる資料作りに力を入れて接客数を落とさないようにした。

商品では家族と一緒に写真を撮り、複数の着装をすることで結婚式を予定していた顧客の満足度を高める。その後にプラスアルファでオンライン結婚式を開催することで、参加者に感謝や祝福をライブで発信できる商品を作った。

―コロナ禍後にはインバウンド向けサービスに注力したいとのことだが、コロナ禍前は比率は高かったのか
比率は決して高くなかったが、海外の顧客が増え、直近は年間で300組ほどまで徐々に増えてくる状況だった。伸びしろは大きくなっていくのではないか。

―婚姻数が減るなか“ナシ婚”が増えて市場が拡大する傾向は、中長期的に見ても変わらないのか
結婚式を挙げない人が、花嫁衣裳を着る、写真を残す、それを親御さんやパートナーに見せることで、結婚式で叶えたいことをかなり補完できるサービスになっている。食事会や家族と一緒の写真を撮影する、リゾート地に行って撮影をするといったプラスアルファの商品を作ることで、新たな顧客を創造してマーケットを伸ばしたい。

―プラスアルファの写真を撮る機会を広げていくうえで、例えばコスプレの撮影などはサービスの範疇に入ってくるのか
今のところ企画したことはないが、そのような主役体験など思い出作りのお手伝いやサービスを考えて、顧客のニーズに合わせて商機があればやっていきたいので、柔軟にいろいろなことを考えていく会社でありたい。

―管理会計上のKPIとその見通しは
新井賢二CFO:客単価と客数を、特にスタジオ事業に関しては各店舗で見ていく。今後もEBITDAを管理数値として見ていきたい。

―目標とする成長率について
小林社長:コロナ禍以前の成長率を継続していきたい。

―M&Aや提携の方針は
特に決まっているものはない。将来的にはシナジー効果があれば研究して取り組んでいきたい。

―発行済み株式の87%を保有し66%を売り出したキャス・キャピタル・ファンド六号が資本参加した経緯は
2017年から話をしていた。新しいサービスを作り、店舗展開をすることが得意と認識していたが、バックオフィス作りが思うように進まず能力に限界を感じた。会計士と相談しながら人と出会うなかでキャス・キャピタルの川村治夫代表と会う機会があった。自分の会社を成長させるための戦略としていろいろな提案を受けたなかで、パートナーとしてともに強い会社を作っていこうという流れになった。

―キャス・キャピタルとの今後の関係は
引き続き大株主として残り、今後の成長に期待したいという趣旨の話を聞いている。1株主としてのコミュニケーションをしっかり取りたい。

―株主還元は
直近では成長投資に使い、中長期的には配当なども考えていきたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]