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上場会見:テスホールディングス<5074>の石脇会長兼社長、省エネから電力供給まで

27日、テスホールディングスが東証1部に上場した。初値は、公開価格(1700円)を18.24%上回る2010円を付け、2062円で引けた。同社は環境・省エネ対策システムの設計・調達・施工(EPC)に関わる「エンジニアリング事業」を行う。設備の運用・保守や電気の小売供給、再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電などの「エネルギーサプライ事業」も手掛ける。石脇秀夫会長兼社長がオンラインで上場会見を行った。

石脇会長兼社長によると、フロー型収益のエンジニアリング事業とストック型収益のエネルギーサプライ事業は相互補完的な性質があり、クライアントからの循環的な受注に寄与する
石脇会長兼社長によると、フロー型収益のエンジニアリング事業とストック型収益のエネルギーサプライ事業は相互補完的な性質があり、クライアントからの長期的かつ複数回にわたる循環的な受注に寄与する

―初値が公開価格を上回った
投資家の当社に対する評価として真摯に受け止めている。今後とも株主や投資家の期待に添えるように役職員一同努力したい。非常に幸先の良いスタートを切れた。

―この時期に上場する狙いは
創業は1979年で、中核子会社のテス・エンジニアリングの社歴は40年を超えている。FIT制度が始まったのが2012年だが、エンジニア会社の得意技であるEPCから事業投資に切り替えようとした時期が2015年で、自社の発電所を持とうとしてきた。そのためには資金が必要で、脱炭素の新技術に向かう技術力の面で専門家が欲しい場面もある。人材確保を目的の中心に据え、2017年に上場を決断した。

―株式の3割を海外投資家に販売する狙いは
山本一樹専務:上場に際し、様々な機関投資家とミーティングをして、欧州の機関投資家から脱炭素・再エネのビジネスに対する期待が大きかった。長期保有してもらえることから結果的にこの配分になった。

―海外投資家から理解を得る工夫は
資金調達に関して、SDGsに合致する先に全て投資するセカンドパーティ・オピニオンを日本総合研究所から取得した。海外投資家はESGやSDGsに精通しており関心を持つため、ESGのEに関連した事業やSDGsに合致した事業の展開を中心に説明した。

―地熱発電への関心は
髙崎敏宏取締役:九州地区では事業化できないか引き続き検討している。電力会社の設備などが整っていないため事業化にはまだ不十分だが、太陽光や地熱、風力などをより多く活用したい。

―今後の提携の考え方は
石脇会長兼社長:これだけ技術革新が速い時代に入っている。有力なメーカーと長年の付き合いがあるため、パートナーシップやアライアンスを組む。強いところと上手な付き合いを続けながら顧客の立場になって仕事をするという基本的な考えを持っている。

―ヴェオリア・ジャパンとの提携については
山本専務:ヴェオリアはグローバルには水とエネルギー、リサイクルの3事業を展開している。日本では水やリサイクルを展開するが、エネルギーに関しては規制や特殊な事情があり、提携先を模索していたと聞いている。

我々はこれまでほぼエネルギー分野で事業を展開してきた。ターゲットの産業や工場はエネルギーだけでなく水も使い、リサイクルも必要となる。今後の成長のための新たな分野として水やリサイクルを、生産設備の稼働に必要な「ユーティリティ」として総合的に提案する。また、欧州ではそれらをアウトソーシングするケースが多く、日本でもユーティリティ分野の人員の高齢化や設備の老朽化で多くのニーズがあるのではないかとヴェオリアと意見が合致した。そこで合弁会社を設立し、営業を展開している。

―自己資本比率が10%ほどだが、今後の考え方は
エネルギーサプライ事業で200メガワットの発電所へ投資している。今回資金を調達することで改善すると思うが、発電所の投資を継続する予定だ。発電所の投資に関しては、SPCを作りプロジェクトファイナンスを組成した。

SPCの与信で調達しており、負債が多いことなど健全性に関しては、FIT制度で買取価格が20年間固定されているため、安定した資産への投資と考えている。我々の方針であるエネルギーサプライ事業の伸長や、再エネ発電所の増加を継続したい。

―中長期的な成長のKPIは
髙崎取締役:詳しいことはこの場では控えたいが、脱炭素化の流れが来ており、当社が取り組む省エネや再エネの普及が今後の事業を大きく伸ばす核になる。太陽光発電所の獲得数や売り上げ、利益などがKPIになる。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]