株式・債券の発行市場にフォーカスしたニュースサイト

IR関連企画(1):集約!みんなの問題意識

情報開示などで企業価値を投資家に伝え、そのフィードバックや外部の情報を経営陣や社内に還元して事業運営の望ましい方向性を提示しながら企業価値の向上につなげるIR(Investor Relations)の担当者。キャピタルアイ・ニュースは2023年~2024年にかけて、彼/彼女らの活動をIPOとの関わりで紹介してきた。そこから一歩進んで、日頃の活動にまつわる担当者の疑問や悩みはどのようなものか、上場企業8社の10人にヒアリングを行った。

3月期決算の上場企業では、規模や業況によるものの、IR担当者は4~6月に通期決算に伴う開示資料の作成や定時株主総会関連の業務を行う。7~9月には第1四半期決算や統合報告書の発行、10~12月には中間決算に対応しつつ次年度の計画を練り始める。翌年の1~3月には、通期決算の数値を固めるとともに第3四半期の決算発表に対応する。

業務を総務部門と分担するなど、IRの体制は各社で異なり、「何人程度で、どの部署と連携しながら進めているのか他社の座組が気になる」(複数のIR担当者)。さらに、「財務や経理、法務などいろいろなバックオフィス部門がIRを担っているだろうが、どこがリードして責任を持っているのか」(担当者A)、「IR担当者の普段の業務範囲が他社ではどのようになっているのか」(担当者B)、「説明資料を作成する際の、他部署からの情報収集の仕組みや体制で各社に工夫があれば聞きたい」(担当者C)と話が広がっていった。

■気になる発信チャネル
ヒアリングに参加した担当者はいずれも、定期的な開示業務と並行して情報発信に注力している。ホームページへの掲載や、プレスリリースやメールマガジンの配信、SNSやnoteを用いるプレスリリースに盛り込みにくい情報の補足など複数のチャネルを運用する。

一方で、「noteを含めコンテンツを増やしたいと悶々としている」(担当者D)という声があった。「ただの発信ではないのがSNSの良い点であることも含めて、他社の取り組みがとても気になる」(担当者E)。これに加え、「ホームページの改定が必要で、IRサイトの機能や投資家に情報を提供する動線の工夫を知りたい」(担当者F)など新たなチャネルの活用や改善に向けた質問が投げ掛けられた。

■定量か定性か
こうした活動に必要な予算の獲得を課題に据える担当者も複数存在し、「IR活動に関する費用対効果というか、振り返りをどうしているのか聞いてみたい」(担当者G)との声があった。

効果測定の前提として、IRの目標設定に頭を悩ませる担当者が複数存在した。株価と株式売買高を指標として設定したものの、なぜその株価になったのかを証明しなければならないが、それが難しく堂々巡りになり、「他社ではどのように目標を設定しているか凄く気になる」(担当者D)との声もあった。

これに対して、定量的なものだけではなく「個人投資家向けの説明会を開催するなどプロセスの側面も取り入れている」(担当者H)というコメントもあった。一方、個人向け説明会の実施回数や決算説明会への参加人数などを定量的な指標としつつも、KPIを固定せずに「現況から考えるとこの数字を伸ばすべきではないかと、CFOと擦り合わせて動く」(担当者I)との報告もあった。「何を目標とすべきか考えるのがIRの難しいところだと毎年思う」(同)。

■変化の波に飲まれながら
IR活動には一定のサイクルがあり、定型業務の反復が多いと思われることもあるが、「担当者の業務量や質が年々上がっていく一方と感じており、今後もどんどん増えていくだろう」(担当者H)。常に同じことをしているわけではなく、この数年は特に、毎期いろいろなことが追加されながらも、投資家といかにコミュニケーションを取るべきか、「担当者は変化の波にのまれながら日々進めているのではないか」(同)という。

そうしたことを反映してか、参加者からは「個人投資家やアナリスト、機関投資家などの投資家ターゲティングやアプローチ、アレンジをどのようにしているのか」(担当者J)、「英文開示や海外投資家対応にどのように取り組んでいるのか知りたい」(担当者A)との要望が上がった。そのほか、資本コストに関する東証からの要請などへの対応や、「多角的なスキルが必要となるIR担当者の本棚も覗いてみたい」(担当者F)といった提案が寄せられた。

上記の各テーマについて、座談会形式の記事で今後順次取り上げていく予定。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

関連記事