ウェルネス・コミュニケーションズがこのほど、東証グロースに上場した。初値は公開価格の2480円を33%上回る3300円を付け、3660円で引けた。ネットワーク健康診断サービス事業を2006年に開始。コーポレート・ウェルネス領域における健診ソリューション事業(ネットワーク健康診断サービス)と健康管理クラウド事業(Growbase)を企業向けに提供している。松田泰秀社長が東京証券取引所で上場会見を行った(6月23日実施)。

―企業でウェルビーイング経営や健康経営が推進されているのが事業の追い風になっているとのことだが、今後、国内やグローバルの市場規模をどう見通しているか
国内の大企業で働いている人が約1660万人で、 Growbase のIDは、前期末に大企業で174万ID。ID数でようやく10%を超えた程度。企業グループ数では、232が前期末の実績値となっている。国内には4600社、従業員規模で1000人を超える会社があり、市場規模としては当社にとって拡大の余地がある。健診の事業では、1人当たり平均単価3万円ほどで受診をするので、大企業では先ほどの1660万人に家族を合わせて約2700万人が健診を受診する市場規模と見ている。
―他社と比べてどういうポジショニングでどんな強みがあるか
それぞれの事業で競合がいるが、2つの主要事業である健診ソリューション事業と健康管理クラウド事業を両方持っていることが最大の強みだと考えている。短期的にはGrowbaseを成長・拡大させていく。現在は国内の健康診断の結果はほとんど紙で返ってくる。そこには手書きのものも多く含まれ、基準値も判定の記号もバラバラだ。健診ソリューション事業では、データを構造化して使える状態にする機能があり、データドリブンの健康経営やウェルビーイング経営を実現できるプロダクトがある。その両方の事業があることが強みとなる。
―健康診断や医療機関のデータ化やデジタル化が進まない大きな理由と背景をどんなふうに考えているか
カルテやレセプトの領域は、徐々に電子カルテや電子的なレセプトコンピュータが市場に入ってきているが、健診の領域は、あまり普及していない。その背景には、これまで属人的に事業運営しており、例えば、予約手配1つをとっても、1人の専任者が、その業務を長期間担当するような状態があり、これをデジタル化して置き換えていくことは非常に難しい市場だと思っている。
全国の提携医療機関が2205あるなかで、医療機関の現状の情報を収集しており、その解決策としてのデジタル化を一緒にどう進めていけるのか議論している。我々も解決の一助になれる努力をしていきたいが、短期的には、属人化が大きい状態にあることと、経営側で強い意志を持ってデジタル化を進められていない状態があるのではないか。
―健診サービスとSaaSの2つを持っていることが強みだそうだが、それぞれをどう伸ばしていくのか
両事業を個別にどう成長させるかでは、 Growbase に関しては非常にシンプルで、今まではIDの拡大に取り組んできたが、それに平行して、1社当たりの収益単価を上げていく。
多様化への対応で、アップセルができるサービスやソリューションが多くあり、機能の面でもたくさんのデータを預かっていて、例えば、「分析機能を強化してほしい」あるいは、もう少し近接した領域では、「エンゲージメントサーベイのようなことも基盤上でできるようにしてほしい」といった声を顧客から多く寄せられている。そうした機能を強化して収益を拡大していく。
健診ソリューション事業に関しても、IDの拡大に取り組んでいくが、医療機関のデジタル化が進まない限り、我々が案件を受託する件数が増えるとオペレーションにも大きな負担が出てくる。これまでも取り組んでいることだが、社内と並行して、医療機関側にもDX推進のためのツールを提供することによって、IDと収益の拡大、収益性の改善に取り組んでいく、それがこの事業の拡大成長戦略となる。
―SOMPOグループと連携しているが、今後他社との連携予定はあるか。また、どのような市場を開拓していきたいか
大企業にとっても人手不足がどんどん進んでいる市場であり、そのなかでも健康管理の役割を司っている産業医や保健師は人手が非常に不足している。まず、産業医や保健師、こうした紹介の事業に取り組み、いくつかの会社と連携を協議し、同時に自社での事業開発にも取り組んでいる。
健康管理の市場は労働安全衛生法という法律に基づいており、この法律が作られたのは1970年代で、その頃の国内は、男性が非常に多く働いており製造業が中心で今の国の状態とは全く違う。現在は、女性の活躍が進み、女性管理職の比率が高まり、そうすると婦人科の健診対応や、そのフォローアップなどが必要になる。今の産業保健の体制では対応しにくいがんの罹患がどんどん増えてくることで、健康相談やeラーニングなどヘルスリテラシーをより高めた健康管理が必要となってくる。そういった健康管理を多様化していく点で、様々な良い機能を持っている会社と連携していきたい。
―上場後、現在の大株主であるSOMPOホールディングスや伊藤忠商事などとの関係に変化はあるか
今回の上場を通じてSOMPOHDの持分の比率は希薄化していく予定。ただ、我々にとってSOMPOHDは筆頭株主であり、法人や人事、企業健保といった営業の連携を中心に強化を図っていきたい。伊藤忠商事とは昨年に共同事業をリリースしており、伊藤忠商事グループで製薬会社向けの様々なマーケティング支援の事業に取り組んでいるなかで、我々が持っている顧客の設定データの基盤を連携していきながら、共同事業でしっかりと連携していきたいと考えている。
[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 紫乃]
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