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上場会見:ブルーイノベーション<5597>の熊田社長、ドローン・ロボの有用性を訴求

12日、ブルーイノベーションが東証グロースに上場した。初値は公開価格の1584円を27.71%上回る2023円を付け、1899円で引けた。同社は、複数のドローン・ロボットを遠隔で制御し、統合管理や情報を収集するデバイス統合プラットフォームである「Blue Earth Platform(BEP)」を手掛ける。それを基にインフラの点検や、ドローンを扱う人材の教育などのサービスを提供する。飛行型ドローンが離発着する「ドローンポート」も開発する。熊田貴之社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

ドローンの手動操縦から、ネットワークを軸とした自律稼動まで、4つのステップにまたがる開発局面があると説明する熊田社長
ドローンの手動操縦から、ネットワークを軸とした自律稼動まで、4つのステップにまたがる開発局面があると説明する熊田社長

―会社として1つの転換点を迎えた感想と、今後に向けた意気込みを
やっているほうからすると、今の事業にそのまま邁進しているので、さほど大きな変化を感じていない。転換期という観点では、これだけ多くの人たちに来てもらい、上場セレモニーで鐘を鳴らしたり、株式市場での反応などを見ると、改めて凄いことになってきたというのを、時間とともに実感している。

当面は点検のソリューションが今後数年でかなり伸びていくと見ており、強く力を入れていこうと考えている。2025年に関西・大阪万博があり、空飛ぶクルマやドローン物流の、世界での前哨戦の場と言われている。ドローン離発着場「ドローンポート」を武器として展開しようとしているので、狼煙を上げて、どれだけ拡大展開できるか、そのための戦略を打ち出せるかを展望として考えている。

―東証のIPO改革として仮条件を上回る公開価格となる初めてのケースだが、感想を
ロードショーを通して、事業への高い評価を得たことで、初めてのケースではあったが、証券会社ともいろいろと話をして、今回の価格に決まった。

井手雄一郎取締役:証券会社などからのフィードバックでは、それなりに機関投資家からの需要があって、こういった価格の設定となったと聞いている。投資家の期待に応えられるよう今後とも頑張っていきたい。

―初値が2023円だった。熊田社長の受け止めと、どのような点が特に評価されたと見ているのか
熊田社長:初めてこういう市場に出て、いろいろな評価を得られたという意味では率直に嬉しい。改めて、評価は真摯に受け止めて、先ほどで井手取締役も話したが、しっかりと気を引き締めて邁進していきたい。あくまでも1つの観点だが、ドローンの業界やビジネスはモデルが確立されていないなかで、ハードウェアとソフトウェア、パイロット運用サービスが、フロー型とストック型で、いかにストック型に移行していくか。そのストック型が毎年上昇傾向にあり、収益が安定化して、少しずつ利益率が上がっている点に関しては、新しいドローン・ロボット業界でビジネスを確立しつつあるところは、少し評価してもらえているのではないか。

―上場の目的は
レベル4(での飛行)解禁が昨年末にあり、ドローンの社会実装は、今年、来年に向けてかなり加速していると見ている。当社はドローン・ロボットのハードウェアメーカーを支えるインフラ会社なので、まずは先行的に上場して、多くのこれからのメーカーを支えていくインフラを先行的に整えていきたい。

産業界では、ドローンは認知度がそこまで高いとは思っておらず、今回の上場を機に、ドローンは間違いなくこれからの社会インフラを支える役立つツールだということを社会にアピールしていきたい。

目的は、今後成長を拡大していくために資金を獲得する機会を増やしていきたい。将来的には優秀な人材の獲得も視野に入れている。

―資金使途は
主に研究開発費だ。ドローンなどハードデバイスの機体購入費や人件費、PRマーケティング費用。今回は借り入れの返済も目的として調達した。

―スイスのFlyabilityとの関係について。契約は年単位の更新だが、今後スイスやEUなどで展開する見通しは
この6~7年、協業を進めていて、Flyabilityのドローンの8割は手動操縦だが、今後、自動化していくフェーズでは、いろいろと貢献をしていきたい。それに伴って、Flyabilityは世界60カ国に展開しているので、何かしら協業できたら良いというのが私の願望だ。

国内の展開に関しては、当社も国産のドローンメーカーと、表にはまだ出ていないがアライアンスは積極的に進めている。今後国内でも安全保障の観点で、国産ドローンが推奨されていくだろうから、重点領域として力を入れていきたい。

―Flyabilityとの契約にあまり拘束されず、そこを中心にというわけではないのか
基本的には、AnyDeviceなので、さまざまなドローンやロボット、無人搬送車とつなぐスタンスだ。広くハードウェアメーカーとアライアンスを組みたい。

―自動化の進展とドローンパイロットの人手がどこまで必要かという話との兼ね合いで、パイロット育成事業には成長の限界があるのか
労働人口が減少しているので、今のインフラを維持していくためにどう考えても人が足りない状態だ。今後、パイロットが増えすぎてしまうということは全くなく、むしろ足りなくなるだろう。おそらく、操縦というパイロットから運航管理のパイロットに移行していくのではないか。

―管理に移行すると、ドローンが人と1対1で操縦されるというよりは…
1対Nの世界になっていくと思う。警備員による監視のような感じになっていくのではないか。

―完全にリモートワークのような感じになるのか
ドローンやロボットはそこがメリットなので、極論すると自分の家でもいろいろな物を動かすことができる時代になってくる。

―海外戦略は
特に電力で、日本の業界ではかなり「面」で展開しているので、海外展開についても、得意な電力業界から展開していこうというのが戦略だ。海外からも多くの電力会社から問い合わせがある。今後、「わーっと」広がっていくというよりは、ある程度特定した地域ごとに、戦略を持って展開していこうと考えている。

―スケジュール感は
この2~3年以内には、そういった可能性はあるのではないか。

―インフラ点検の分野で、衛星を打ち上げて、宇宙からいろいろ見ようという点検のPoCの話を聞く。そういった企業との競合や協業の可能性は
衛星もかなり解像度が良くなってきているので、そういったところでの空撮ソリューションを展開する企業から逆に問い合わせがあり、彼らが入れない特殊環境や屋内、非常に狭い場所などで、協業していこうという相談は増えている。競合よりも協業していこうという話が寄せられている。

―黒字化のメドは
明言はできないが、かなり近い将来に黒字化したいという思いで事業をしている。想像がつく成長率や、今後の当社の販管費のバランス感覚から、近い将来、黒字化できるのではないか。

―販管費の増加について。売り上げに比例して急激に伸びているものではないだろうが、今後の推移について
事業計画上、販管費が増えることは、今のところ大きくはなく、人材を急激に増やすことも当面はない。ソフトウェアの売上高が安定化し、パイロットリソースを外でのアライアンスが組める体制も作れているので、人件費の大幅な投資はない。

研究開発費も、ハードウェアとはケタが違う。当社の場合、数十億円ではなく数億円という規模、今は大体2億円ぐらいだ。その規模なので、今見る限りでは大きな投資は、考えていない。

―ソフトウェア売上高が落ちているようだが理由は
これは第3四半期までの結果なので、今後ソフトウェアの売り上げは上昇傾向にあると計画している。

―サービスについての傾向は
足元で需要は増えている。外部パートナーとのアライアンスはあるが、こういった分野での展開は、ここ数年は続くのではないか。

―BEPがこれからいろいろなドローンやロボットをつなげていくことになると、業界的にハードウェアの規格を作る際の参考になる、あるいは重要な役割を果たしていく可能性はあるか
今、BEPを軸にしてそういうプロトコルを標準化しようということは、まだ考えていない。ただ、ドローンの離発着場のドローンポートは、国際標準化に先行的に取り組んでいって、間違いなく物流の世界ではこういった規格は重要になってくると想定している。

今後、ソリューションごとにはそういったプロトコル的なところをある程度作っていくことは、可能性としてはあるかもしれない。ただ、直近ではまだ何か展開しようというところまでは着手はできていない。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]