28日、プロディライトが東証グロースに上場した。初値は公開価格の1440円を108.68%上回る3005円を付け、2399円で引けた。自社開発のクラウドPBX(電話交換機)の「INNOVERA(イノベラ)」を提供する。固定電話の機能をスマートフォンやPC、IP電話で利用できる仕組み。電話のシステムと回線、端末をワンストップで提供し、同業他社と差別化している。BtoB向けを主力とする。小南秀光社長が東京証券取引所で上場会見を行った。
―初値の受け取めは
投資家からかなり期待してもらえたと受け止めている。今後、株価が上がっていくように企業価値の向上を進めたい。
―クラウドPBXを手がけている会社はいくつかあり、この何年かで上場しているところもあるが、競合の認識と優位性は
当社は主に企業にクラウドPBXを提供する。ほかの会社はBtoCとなっている。システム回線または端末をワンストップで提供する企業はないと見ており、競合他社はほとんどない。
―いろいろな機能を追加し、音声のDXを進めるとのことだが、最近の生成AIの動きを事業に取り込むのか。例えば、CRM(Customer Relationship Management)と組み合わせるといったことは
既にCRMを扱う企業と連携が進んでおり、その会社とともに我々のシステムを提供する方向に進んでいる。音声通訳や合成に関しても、自社開発ではなく、AIベンダーと組んで提供していく予定がある。顧客の利便性が高くなると考えている。
―2023年8月期第2四半期の決算短信を開示したが、上期の進捗をどう捉えているか
顧客は企業がほとんどなので、2月までの分を掲載している。3~4月は毎年伸びる状態にはなっているので、進捗は100%の推移として動いている。
―下期に特に注力したいことや施策は
先月ぐらいに感情分析というAIのシステムを組んでいる。オプションではあるが、顧客の社内の感情を分析をする。社員の退職率を下げることを目的に解析している。今後、障害のある人や外国人も分け隔てなくコミュニケーションできる仕組みである「バリアフリー・コミュニケーション」というプラットフォームの実現を考えている。誰もがコミュニケーションできる仕組みを作っていきたい。
―バリアフリー・コミュニケーションについて。どのようなインターフェースになるのか。音声で聞く人もいれば、スマホにアプリを入れて文字で読む人もいるようなものになるのか
手話を使う人の利用も考えているので、音声合成や和訳などを加えて統合していく。世界で誰でもコミュニケーションが取れるという意味合いで、バリアフリーのコミュニケーションという形を取っている。
―段階的に要素技術を取り入れ、徐々に出来上がるのか
過去に音声テキストや通話テキストを出して、今期に新しく感情分析、来期は音声合成の実装も含めて、AIのデータとして提供できる。
―2023年8月期の予想利益がかなり伸びているが、その背景は
販売代理店であるパートナーからの売り上げが全体の7割ほどを占めており、自社の契約は約3割となっている。パートナーの人員が稼働して、当社の人手がそれほど必要とならないので原価率が低い。売り上げに応じて利益率も上がっていく構造になっている。今後は、変わりなく向上すると予想している。
―パートナープログラムを充実させていくと、インセンティブの調整が必要になってくると思うが、施策はあるか
パートナーに対してインセンティブは提示していない。商材の金額を専用に提示し、それに上乗せして顧客に提供するので、インセンティブで原価が上昇しない。
―パートナープログラム制度が始まり、顧客が増えてくるだろうが、データセンターなど大型投資が発生するのか
全くない。元々クラウドで提供しており、物理的な設備がそもそもないので、そこはない。
―今後の投資は人材や機能開発か
機能の開発がメインと想定している。
―人材戦略は
年間10人ぐらいを社員として登用していく予定で、その半分ぐらいが技術者と考えている。
―電子黒板の教育現場への導入などがあるが、もう少し詳しく聞きたい。端末販売に限らず、本業でも、BtoB領域以外に教育や行政への拡大はあり得るのか
今のところ、行政などは考えていない。ただ、MAXHUBというホワイトボード機能を付けた電子黒板は企業への導入に加え、既に教育領域に入っている。
―全国的に導入されているのか
役所や小学校、大学などに導入実績がある。法人以外は考えていないので、一旦はBtoBでやっていこうと思っている。
―電子黒板もそうだが、販売チャネルはパートナーか
そうだ。
―株主還元について
上場したばかりで、柔軟に対応していきたいが、まず、財務体質を強化し、新しい株主を含め、株主との対話を進めて、出せる時に出そうと考えている。
[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]
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