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上場会見:セレコーポレーション<5078>の神農社長、数年で2000戸に安定成長

11日、セレコーポレーションが東証2部に上場した。初値は公開価格の1900円を4.21%下回る1820円を付け、1720円で引けた。同社は、賃貸住宅開発や、管理を受託する賃貸経営事業を手掛ける。1都3県で、若者向けに特化した軽量鉄骨造のアパート経営の提案や、設計・施工管理を行う。神農雅嗣社長がオンラインで上場会見を行った。

神農社長は、1階当たりの部屋数を多めにする設計による収益性の向上や、ラインアップに加わる4階建アパートなどについて説明した
神農社長は、1階当たりの部屋数を多めにする設計による収益性の向上や、ラインアップに加わる4階建アパートなどについて説明した

―初値が公開価格を下回った
投資家の評価を厳粛に受け止める。今後は、投資家の評価を得るために、企業価値の向上にさらに努力していく所存だ。今回の初値について我々のほうから特に述べる意見はない。

―上場の目的は
永続企業を目指す我々にとっては、ガバナンスの強化が大変大事だ。上場企業となることによって、資本市場から大変厳しい視線を受けることがある。そのことによって、社員が内部の管理体制に対して、さらに充実・強化することで、より良い会社になる。そのために上場を決意した。

―アパートを建てたい人の属性はどのようなものか。職業や資産規模などで、どのような顧客が多いのか。また、開拓戦略は
大半が国道16号線の内側にいる地主で、昔は農家を営んでいたと思う。都市化していくなかで、土地を有効利用するために売却し、また、先祖から譲り受けた土地なので売ることには懸念があるため、有効利用できないかといった相談がある。

そこで、アパート経営の適地なのか、売却と建築のいずれが良いかコンサルティングをする。大半が、サラリーマンとして働いていた人で、子供たちは働いており、父親たちはリタイアして資産管理会社を作り、アパートを管理している人が多い。

土地をたくさん持っている人たちが非常に多い。7~8代と続いている地主が多く、どのように開拓していくか。1つはリピートだ。古い建物に関しては、建て替えていく。場合によっては、土地を一部売却して、もう少し都心部に移る。家族のなかで、資産を分離する時に我々が受託する。それから、紹介業者がいる。そのような業者から紹介を受ける。

もう1つは、WEBによって多くの人たちが、当社や積水ハウスなどを含めて資料を請求する。そこで我々と大手ハウスメーカーが、競争して競り勝つ・負けることになる。地域の人の大半はWEBからで、コンサルティングやオーナーの知り合いの紹介もある。

―ハウスメーカーと競り勝つというが、勝率は
今は、大体五分だ。我々のほうが事業性は高いが、知名度などに関して「大丈夫ですか」と問われることもある。今日上場したので、社会的信頼を多少でも勝ち取ることができ、これからその上にきちんとした業績を重ねていくことで、信頼してもらいたい。品質その他は理解を得られている。商品や生産については圧倒的にいい。ところが、「セレさん本当に大丈夫ですか」と、積水ハウス(など大手ハウスメーカー)の、事業性が多少悪くともネームバリューに引っ張られる顧客が存在することは否めない。我々とは経営資源が全く違うので致しかたない。積水ハウスのほうが高い、事業性も悪い、手残りもない、でもやはり「積水さんかな」という結果が出て負けることはある。

―2020年から2021年にかけて人員が50人ほど減っているが、その背景と今後の人材戦略は
山口貴載取締役:主には福岡工場だ。当社は現在、千葉に工場があり、その前は、2002年から福岡に工場があった。千葉に工場ができたことで、並行して両工場で生産していたが、福岡工場を閉鎖した。主に福岡工場にいた工員たちに、千葉工場に来てもらいたいと呼んだが、地方の人ということもあり、退職もあり、地場の会社に就職先を斡旋して退社したため、大幅に人員が減った。千葉工場で、現状でそれ以上人数が増えることはないと思っているが、これからは人材の層を厚くすることで、多少の人員増を検討している。

―今後の成長戦略を改めて聞きたい
神農社長:基本的にはストック事業が経営基盤となる。2つの事業がフローとなるが、その賃貸住宅事業と賃貸開発事業を、地に足のついた形でしっかりと成長させていく。

今後は、例えば、我々が最初に竣工させたアパートはもう20年経っている。そのようなアパートに関しては、リノベーションやリフォームなど新しいビジネスがついてくる。関連派生ビジネスを取り込み、新事業に加えていく。

特に、若者スタイル研究所は、我々の将来展望のキーとなるので、収益が伴わないが大変大事な基盤の事業だ。

―管理棟数を今後どのようなペースで増やしていくのか
管理戸数は、竣工物件の大体55~60%を目安に受託している。古いアパートの場合、(オーナー)自身が管理していることもあり、そういう人たちや、自分たちで管理をする前提で、我々に建築を紹介する業者もいる。40%程度が(オーナー)自身で管理、もしくは自社で管理する。新築で受託するもので60%ぐらいの目安だ。

それから、我々が建てていないアパートのオーナーから紹介してもらう。また、昔、当社で建てておらず、他社が管理しているものの管理を依頼されることや、当社が営業活動で管理を受注するリプレースという新規受託がある。それで、20~25%ぐらいの水準を目指している。

―年間の竣工件数のペースは、どの程度を想定しているのか
戸数では、今、90棟で12戸ぐらいだろう。1000~1200ぐらいの戸数がある。それの大体60%、600~700戸ぐらいのレンジだ。今後は、2000戸の平時運航を考えており、数年の間に、今の1200戸前後から2000戸ぐらいまで、少しずつ成長させていく。

―今後のROEの考え方はどのようなものか
山口取締役:中国の子会社を売却したことで、100億円超の純資産が増えた。それに伴って、以前であればROEが9%ぐらいになったものが、数字的にはかなり落ちている。子会社の売却資金を成長戦略に投資していきながら、営業利益と併せてROE の向上も目指していきたい。

―株主還元について
神農社長:配当性向は、非常に重要な経営マターと考えている。株主還元は今後ともしっかりしていかなければならない。急成長を好んでいる会社ではないので、安定的に成長して、還元をしっかり履行していく。中期的には配当性向30%程度を堅持しながら、株主に喜んでもらいたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

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