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上場会見:True Data <4416>の米倉社長、データ人材で成長を加速

16日、True Dataが東証マザーズに上場した。初値は公開価格(2200円)をおよそ1.3%上回る2250円を付け、1835円で引けた。同社は、POS/ID-POSなど全国の消費者購買データを扱うビッグデータプラットフォームを運営する。データを分析し、購買行動分析ソリューションを小売業や消費財メーカーなどに提供する。米倉裕之社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

株主である事業会社は協業プレーヤーであり、データを使いながら新しい世界を構築していきたいと話す米倉社長
株主である事業会社は協業プレーヤーであり、データを使いながら新しい世界を構築していきたいと話す米倉社長

―投資家からの引き合いは
厳しい評価と感じている。

―上場の目的は
今までのV字回復から安定成長というステージのその先の成長を見据えた時に、上場は非常に重要な打ち手だと思っている。これからの成長をどんどんドライブしていくうえで、人材の採用、例えば、分析してデータを作るデータサイエンティスト、活用するデータアナリストやマーケッター、それをシステムに押し込むエンジニアが必要になる。

また、データを扱うビジネスなので、信頼性がブランディングとして非常に大事になっている。どんなにしっかりしたデータがあって、クオリティの高いシステム・ソリューションを作っても、信頼度で成長のペースは変わってくる。しっかり改善してくうえで非常に有効な施策と考えている。

―大型投資が一巡し、来年度から広告やアナリティクス事業に参入するが、また大型投資が出てくるのか
プラットフォームを作り変えてほぼ完成した。今後の大規模投資は考えていない。さらに サービスを良くするための小型の投資は継続して競争力を高めるが、大規模なものは現時点では考えていない。償却という意味では大きく変化していく。

一方で、成長投資はもう1つあり、人材への投資だ。どこまで厚みを持たせていくかをコントロールしながら進める。できるだけ踏めるアクセルは踏んだほうがいいと考えているが、適切な利益水準を見ながら検討していく。

―コロナ禍の具体的な影響は。トップラインの11.5%増については
なくなってしまった売り上げがある。例えば、ドラッグストアでインバウンド購買が物凄く見えていた。それを顧客に提供することで、活用してもらっていたが、ほとんどゼロになってしまった。また、消費財メーカーでは、その顧客は小売業で、外食や食品・飲料両方が顧客となる。メーカーからすると特に外食のほうが打撃を受けた。化粧品も、マスクをするなかでいろいろな影響を受けることもあり、予算を縮小したことはあった。市場が変わっていくと、逆方向に動くと考えており、今はコロナ禍がひどくなるという前提で計画を立てている。その前提が変われば当然変わる。

―2023年にアジアの購買データに拡大とあるが、海外に進出するのか、国内企業に海外データを提供するのか
データの特長として、距離も国境も言語も関係ない。2014年にV字回復にチャレンジした時に、何もないところからスタートしたが、その時にはデータセンターを買って、サーバーを買って置いて、テクノロジーを含めてチャレンジした。今回、全てをグローバルなクラウドの上に全部乗せ換えたことで、海外に出ていくにしてもそんなにハードルなく、アプリケーションの言語を変えなければいけないが、他の国に持っていきやすい。クラウドの人たちは言語対応が得意なので、ハードルはない。

日本からアジアへというイメージは、アジアの小売業のデータを、「ショッピングスキャン」と同じようなものを提供することで、アジアのその国でもデータを使えるようになる。日本でもログインすれば、現地の企業が見える世界をメーカ―に提供する。支店や現地法人を作って営業部隊を揃えるのではなく、軽く展開するイメージだ。

―株主還元の方向性は
現在は成長投資をして、企業価値に変えていくことが急務だ。配当を含めて株主還元は非常に重要なことだと認識しているので、しかるべきタイミングが来た時に、最適な形で実施していく。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

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