株式・債券の発行市場にフォーカスしたニュースサイト

上場会見:リブC<480A>、成長投資優先、若手も活躍できる環境

25日、リブ・コンサルティングが東証グロース市場に上場した。公開価格の1000円を40.00%上回る1400円の初値を付け、1280円で引けた。関厳代表が東京証券取引所で上場会見を行った。

事業の強みや人材確保について説明する関代表

―初値の受け止めは
関代表:しっかりと値段がついて安心した。また、高く評価してもらったことはありがたい。ただ、今後、企業価値を向上させていくことが我々の仕事であり、それを継続して取り組みたい。

―事業領域から、デロイト トーマツ コンサルティングやPwCコンサルティングなどのBIG4、アクセンチュアなど今後外資系と競合することも想定される。これに対して人材や顧客の獲得など、どう対抗していくか
アクセンチュアはIT領域があまりに強いため、そこまでバッティングすることはない。だが、BIG4や一部ボストンコンサルティンググループ(BCG)とはバッティングしている。そこでの差別化について、まず事業面では「クロスポイント」がある。これは、我々にしかできない強みだと考えている。また、大企業との案件で競合することになるが、外資系に頼むメリットは海外の事例を知りたいという点にある。しかし、最近では海外事例だけでなく、日本国内の新規事業の成功例やべンチャー企業の事例、地方拠点の戦略などの議論も増えている。この点において、我々が地方やベンチャーのナレッジを提供できることは、わかりやすい差別化ポイントになる。

また、人材獲得競争で負けると事業が成り立たないため、条件面については改善する必要がある。しかし、当社の場合は若手でも実力があれば責任あるポジションを任せていくという、ベンチャーならではの良さを維持している。最終的にはそうした点を評価して選んでもらえると見ている。実際、新卒や若手の採用ではその強みで選ばれている。さらにその魅力を磨き上げていきたい。

―ITやDX、AIに関する成長戦略について。アドバイザーに宮田裕章氏などの名前もあるがどのように考えているか
まず、我々は生成AIを企業に実装し、組み込んでいく領域をIT・DXコンサルティングとして見ている。一方で、生成AIをどのように使っていくかは、DX戦略の流れで考える領域としており、ビジネスコンサルティング側と捉え、既に多数の案件を実施している。宮田氏には約3年前からアドバイザーとして参画してもらっている。テクノロジーとデータに精通しており、企業が進むべき方向性について意見交換を行いながら、その領域の業務を既に取り込んでいる状況だ。ただし、ITプロジェクトのプロジェクトマネジメントや実装に関しては、人材が不足しているため、M&Aや外部連携によって補完する方針だ。現在、Preferred Networksとの連携を進めており、テクノロジー領域に強みを持つ企業との協業を拡大することで、自社採用以外の手段でも顧客を獲得していく。

―コンサルタントをどのように増やしていくのか
売上を約20%増やすことを考えた際、相応の人員増加が必要だ。当社では離職率を15~20%と想定しており、20%増やそうとすると約35%採用する必要がある。現在、コンサルタントは単体で200人弱在籍していて、この層に対しても35%程度は採用していかないといけない。採用は新卒や中途、未経験、経験者を組み合わせて実施する計画。一方で、1人当たりの売上高を向上させる余地もある。これは利益率向上の1つの鍵であり、この2~3年やってきたことでもある。極論すれば、売上20%増を社員数15%増と1人当たり売上高5%増で達成することをベースにしている。採用は恐らく問題ない。

―離職率低下や1人当たりの売上高向上について。また、これらに紐づく話だと思うが今後の顧客層の配分などについてもどう考えているか
まず離職率について、最近コンサルティングの離職率が下がったと言うが、ITコンサルのほうで大量に採用することによって分母が増え、離職率が低く見えるためだ。ビジネスコンサルでは、ずっとこのぐらいの数字で変わっていない。すぐ辞める人と長く定着する人と二極化するため、結果として15%程度の数値になる。当社の場合、新卒の比率が増えると、離職率が下がる傾向にあるためそこを強化していく。

顧客との関係性について、中堅・中小企業では担当者が退職しても顧客が残る傾向があり、今回の上場により企業との取引がより安定化すると想定している。また、上場による信用力の向上で、大企業との案件はさらに伸びる。現在、大企業案件は約35%で、今後は大企業と中堅・ベンチャー企業の比率は50対50程度になると見ている。

―1人当たりの売上高向上についての戦略は
方法は2つある。1つは単価の引き上げだ。ビジネスコンサルは外資のビジネスであり、同じランクの人の値段が毎年上がっていく慣習がある。当社でも同ランクの人材の単価を毎年4~5%程度引き上げている。もう1つは稼働率の向上だ。受注増加に伴い、空き人員が減少することで1人当たりの売上高が増加する。この2つの組み合わせにより、さらなる向上を図る。今年度は約8%の増加を実現した。

―今回、売出は2人で、売出後も7割以上の株を経営層で保持することになる。上場する以上は、外部資本を活用するべきかと思うが、どのように考えているか
中川貴裕CFO:我々としては今後成長投資を優先していく。それを行うにあたり、資金調達が必要な場合はフォローオンエクイティを含め、資本面での調達も検討する。その結果、株主構成はある程度変化していくと考えている。具体的な方法については現時点で計画を立てていない。

―株式分割や流動性の確保については
現時点では特に必要性を感じていない。将来的に必要となれば検討する。

―コンサルティング業界は景気後退時に逆風を受けやすいと思う。リブ・コンサルティングは顧客に中堅・中小企業やベンチャーが多いため、特に影響を受けやすいのではないか
関代表:私自身、前職でリーマンショック時に営業責任者を務めていたため、不景気時に何が起こるかは把握している。確かに今ほどの成長は難しいかもしれないが、一時的な落ち込みにとどまり、すぐ回復するだろう。コンサルティングビジネスは、昔のように既に社員がいる所に対して戦略を立てる仕事から、現在は人員不足を補う高級代替サービスに変化している。企業側はコンサルティングを使わないと業務が回らない状況であり、必要経費に近い存在となっている。昔は贅沢税のように捉えられ、コンサルティングを使っても使わなくてもよかった。つまり、一時的な影響はあっても長期的に大きな影響はないと考える。

ただ、その意味だと中堅企業や大企業は影響が少ないが、ベンチャー企業は資金調達をしてコンサルティングを利用しているため、まだ贅沢使いのようではあり、景気後退時には落ち込みがあるだろう。しかし、当社としては余剰コンサルタントをほかの案件に振り替えるだけであり、そこまで関係ない。

―株主還元はどのように考えているか
中川CFO:当面は、人材採用・育成を含めた成長投資やM&A戦略にフォーカスしていきたい。将来的には、株主還元策も検討していかなければならないと考えており、それは視野に入れている。

―当面は無配ということか
そうだ。

―上場しているITコンサルティング企業との差別化をどう考えるか
関代表:まず現在、我々の売上の85%を占めるビジネスコンサルティングの領域では、顧客面でも人材面でもほとんどバッティングしたことがない。ターゲットとしている市場が全く異なる。彼らは情報システムを対象にしているが、我々は経営や事業企画を対象にしているため、そこはあまり競合しないまま伸ばしていけると実感している。

ただ、M&Aを含めてIT・DXの領域に入っていく際には、やはり一定のバッティングは必ず発生する。しかし、結局は市場全体が伸びていくため、我々としてはこれまでの本業で培ってきた信頼、例えば「A社の事業企画で良い仕事をしたリブ・コンサルティング」として、その実績を情報システムへ持っていく。それであれば、シェアの奪い合いになる前に、市場の成長に合わせて一定のシェアを獲得できると見ているし、実際に進めていてその手応えはある。

―生成AIの広がりによる影響は
まず、生成AIによってコンサルの仕事がなくなるのかという問題だが、向こう3年間は間違いなく、仕事がなくなるよりも増える可能性のほうが高い。生成AIの導入に関する仕事量が多いため、そこは間違いなく伸びる。この先3年間は、どのコンサル会社も導入特需の恩恵を得て成長する。その後については、我々がかなり有利なポジションにあると考えている。 結局、導入が進み過ぎてコンサルタントが切られるのは、どこから進むかと言うと導入に投資をした大企業から始まる。

一方で、我々が支援している中堅・中小企業は、生成AIによる業務効率化が進み、わざわざコンサルを使わなくてもよいという状態になるのは、10~20年経ってもなかなか訪れないのではないかと予想している。その間は、主軸を中堅・中小に移していけばよいため、業界全体としては短中期的にプラスで、我々にとっては中長期的にもプラスになる。

また、社内における生成AI活用による業務効率化は大変なレベルになっており、端的に言えば労働時間が短縮されている。コンサルティングは長時間労働というイメージがあるかもしれないが、早く帰れるようになってきた。その観点からも、今後も若手からの業界人気は続きやすいだろう。当社の場合、議事録や資料作成の一部、リサーチ結果やインタビュー内容のまとめといった業務の8~9割は、すでに生成AIが行っている状態だ。 コンサルティング会社としては、これを公にしてしまうとフィーを下げられるのではないかという懸念があるためあまり公表しないが、各社とも高水準で活用している。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 紫乃]

関連記事