12月26日、GVA TECHが東証グロースに上場した。初値は公開価格の690円を1.4%上回る700円を付け、650円で引けた。2017年1月に設立。企業の法務部門における法律業務のDXを推進する「OLGA」と、オンラインで変更登記申請を可能にする「GVA 法人登記」を提供している。山本俊社長が東京証券取引所で上場会見を行った。
ー初値の受け止めは
株主や投資家の評価として受け止めていく。今後も期待にしっかり応えていくしかない。
ー株主還元方針について
直近は事業の成長に集中していきたいが、もちろん未来永劫還元をしないというわけではない。一旦は、規模を大きくしつつ収益化をしっかりと実現するのが先決と考えている。
ー配当の予定はないか
直近では配当を予定していない。収益化が実現してきたタイミングで検討を進めていきたい。
ー売上規模がどの程度になれば黒字化が見通せるのか
数字についてはあまり公開しているものはなく、明言することは難しいが、このまま赤字を継続していくつもりはない。来期以降しっかり収益化に向けて取り組み、売上の規模もあまり遠くない未来に確保したい。市場関係者は収益を重視すると思うが、当社のプロダクトはしっかりと利益を出せると考えており、そこは期待してもらいたい。
一上場後の成長投資でどのあたりを注視していくのか
基本的には人員の増強と広告関係など、今まであまり使っていなかった認知の面での施策だ。ユーザーの評判がかなり良くなってきているので、認知をより高める施策を今後はやっていきたい。
ー人員は営業担当者か
そうだ。営業とカスタマーサクセスで、解約率が当社は1%未満とかなり低く、顧客が来期もかなり増えていく見通しなので、サポートのメンバーを増やしていきたい。
ー解約率が少ない理由と強みはどこか
まず、プロダクトの改善スピードがかなり速いと思う。弁護士や元法務部門のメンバーなどを含めてプロダクトのアイディアを出し、顧客からも意見を聞いて、機能の改善が進んでいるのが1つ。
もう1つは、カスタマーサクセス。既存の顧客のサポートをするメンバーに弁護士や法務部門のメンバーが一部アサインしており、共通言語で課題を引き出して、しっかり使えるような形でサポートができているのが大きいと思う。
ーGVA TECHはエンジニアサイドの人や弁護士もいるが、どのような人員構成なのか
職種としては、4割程度がエンジニアメンバーになっており、4~5割程度がビジネスサイドでマーケティングやセールスを行うチーム、カスタマーサクセスチームだ。残りの約1割がコーポレートといった組織になっている。
こうした人材のうち、法務のプロの弁護士や司法書士などの有資格者や元々企業の法務部門で働いていて知見がある人が約2割いる。元々は法務のバックグラウンドがあるメンバーと一緒にプロダクトを開発していたが、彼らをビジネスサイドなど様々な部門に送り込んで、そういうところで活躍してもらっている。
ー成長戦略について、LegalTechSaaS事業と登記事業の2つがあるが、それぞれ将来的に何をやっていくか
LegalTechSaaS事業はモジュールが4つあり、4つ全てを導入している顧客も出てきてはいるが、いずれかを使っている顧客が多い。モジュールを複数導入していくところで展開していくことが1つで、前提としては単価の向上になる。
単価の向上の施策として、法務部だけで使っているところを事業・営業部門にも広げていきたい。 そのための目玉になるセールスフォースとの連携が11月にできた。当社が事業部サイドに広げると言っても、会社によっては営業がわざわざ法務のために別のプロダクトにログインして使うことを嫌がるケースもある。普段もセールスフォースを使っている会社だと営業は毎日見ており、セールスフォース上で法務案件の依頼をできたり、セールスフォースに取引先情報があり、その横にどのような契約書が過去にあるのか分かったりする。営業情報と法務情報の一元化が実現できており、そのあたりを含め、法務だけではなく、営業にも拡大していきたい。
ー事業部門がGVA TECHのサービスを使うと、どのようないいことがあるか
ここは会社も計測していないと気づかない部分だが、法務に依頼して、返ってくるまで1ターンでも2~3日かかるケースが多い。その往復回数を減らすことが利点であり、営業のリードタイムが大きく短縮される。それによって売上の計上も早くなる。待っていたり、催促したりする時間もあるので、営業の時間が少し空いて、より新しいことができるようになるのが1番の効果だ。
ーモジュールを複数入れるのは、基本的にクロスセルすることが多いと思うが、1社が1つのプロダクトしか使っていない場合は、営業やカスタマーサポートなどに2つ目3つ目と契約してもうらうという理解でいいか
そうだ。
ー登記業務の成長戦略について
全体の登記の数が法務局のデータで出るが、まだ市場の2%程度しか取れていない。これを第3の選択肢と言うために、3割程度までは伸ばせると思う。基本的には従来していたようなコンテンツ、SEO対策で登記をやりたい瞬間に選んでもらうという施策を継続して伸ばせると見ている。
さらに、登記以外の領域への進出は、早期にやっていきたい。知財や労務、許認可などがあるが、複数立ち上げて積み上げていくのが、成長戦略の骨子になる。
[キャピタルアイ・ニュース 北谷 梨夏]
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