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上場会見:アイドマHD<7373>の三浦社長、中小から大企業まで営業支援

23日、アイドマ・ホールディングスが東証マザーズに上場した。初値は、公開価格(1930円)を77%上回る3430円を付け、3600円で引けた。同社は中小企業の新規開拓営業を支援する。受託実績は延べ4500社以上。また、主婦向け求人サイトの「ママワークス」も運営する。三浦陽平社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

PCブラウザ上でアクセスするバーチャルオフィスで場所の制約なくコミュニケーションを取ることできることに言及する三浦社長
PCブラウザ上でアクセスするバーチャルオフィスで場所の制約なくコミュニケーションを取ることできることに言及する三浦社長

―初値が公開価格を上回った
非常に高い期待を受けている。今期の第2四半期に上場し、通期業績についてある程度の予想も出たが、今期の数字を見てこのような形の初値になったと思う。期待に応えるために、来期と再来期、その翌期も含めて成長し続けていくことが重要だ。

―コロナ禍でデジタルトランスフォーメーション(DX)が一気に進んだが、来期以降は投資が一服するのか、それとも成長が加速するのか
当社のサービスは、1年ほどの期間で契約するパッケージがメイン。例えば、今の業績は昨年の6月に受注した会社の売り上げが、12ヵ月分に按分して立つ仕組みになっている。来期は、基本的に今と同じような成長率を維持する受注計画となっている。

―コロナ禍は追い風か
コロナ禍前後で受注率は変わっていない。倍になっていれば、コロナ禍の影響があるといえるが、前後で受注率が変わっていないので良くも悪くも大きな影響がない。単純に活動数や営業体制を増やし、単価の向上で伸ばす。

―3つのサービスのうち期待できる分野は
全ての事業が伸び、そのなかで最も期待できるのは2つ目の人材支援サービスだ。我々に営業支援を発注する会社は、支援意外の領域でも人手不足感がある。地方の企業では採用に課題があり、そのような課題を解決するためにクラウドワーカーの活用を提案できる。純粋にアップセルやクロスセルで顧客数が増えるのと同時に、新規でアプローチをかけており、ダブルで受注数が増える。これによって、伸びが加速度的に高まってくる。

―DXツールの単体での販売を予定するというが、販売戦略や業績への貢献は
既存の営業支援の顧客に関しては、営業支援パッケージのなかにDXツールが入っていて、DXツール単体では料金を受け取っていない。約1年間の契約が終わった後に、DXツールだけを使いたいという声がかなり多い。その顧客に月額課金で利用してもらう戦略の準備ができ、今期に始まっている。

次に、Sales Crowdというサービス単体の営業部門を組成する。今のメインターゲットは10~100人が属する中小企業だが、100~300人の営業部隊を持つ会社に専門的にアプローチし、新しい市場を広げることができる。

―SaaSモデルではサービス利用の継続が重要だが、1年間で終わりなのか
サービスメニューとしては、トークスクリプトやアウトバウンドの実行結果を1年間で全て納品するパッケージを組んでいる。納品後は基本的に顧客の社内で進めてもらうが、6割程度の顧客には、「この部分だけをお願いしたい」、「このターゲットだけを専門に動いてくれないか」というニーズがある。その場合には個別案件として契約する。1年の結果を見てスポットで依頼を受けることが多い。積極的にSaaSモデルのような形で提案するスキームを組んでいなかったが、今後は本格的に取り組む。

―大企業に対応する専門部隊を作る話は
大企業との取引は数十社あり、事業部からの発注が多い。中小企業の場合は社長直下での発注で会社の営業を支援し、大手企業の場合は事業部の営業を支援する。その事業部からの紹介を得て、1社で最大7事業部を支援するケースもある。担当者による専任が求められるため、例えば、従業員が3000人いるAという会社がある場合、A社の支援に専念する部隊を組成することが大企業に向けた戦略で、準備している。

―成功事例は
例えば、物流や建設といったセグメントごとにコンサルティングする経営コンサルティング会社は事業部が分かれている。建設系のセグメントで当社(のサービス?)を利用してもらい、いろいろな建設系の会社にアプローチして結果が出た。そうすると、物流系のセグメントを担当する事業部から受注して支援するケースがある。

また、(顧客である)大手広告代理店の1課はテレビCMがメインで、2課は交通広告など事業部で商材が違う。我々が交通広告のアプローチで実績を出した場合、テレビCMの部署の支援をするような感じで広がるイメージだ。

―競合環境の認識は
大手企業向けサービスに関しては、インサイドセールスやオンラインセールスの部隊を派遣する会社が存在する。例えば、1人あたり月額100万円かかる。我々の場合は専任の担当が付き、実行部隊はクラウドワーカーで、社員が常駐しない。100万円で発注する顧客と同様のサービスを提供しても40万円でできる。20~30%の営業利益を出せる構造になっており、価格面で圧倒的に強い。営業の人材派遣会社が競合になる。

―コミュニケーションツールのmeet inの音声自動書き起こしでは膨大なテキストデータをテキストマイニングのような形で分析に活かすのか
文字起こしをした音声は、マイニングをして音声認識の精度を上げる観点で使っている。横展開してこの言葉を使うとこのぐらい受注率が上がるという分析まではできていない。

―今後はそのような領域にも広げていくのか
当社はボイステックという商標を取得しており、次の打ち手は、声を文字化したものをテクノロジーでビジネスに変える。時期的には来年の1月ぐらいに始めるイメージだ。

―ROEなどの指標を設定しているのか
阿部光良CFO:そのようなKPIは、投資家に対してしかるべきタイミングで開示していく。

―株主還元は
三浦社長:現状では事業の拡大で会社の価値を上げていくことに使おうと考えており、直近で配当を行う予定はないが、タイミングを見て計画したい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]