2月27日、ギークリーが東証スタンダード市場に上場した。公開価格の1900円を7.53%下回る1757円の初値を付け、1670円で引けた。奥山貴広社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

―初値について
初値は公募価格を割り込む状態で付いたので、我々としては投資家の評価を厳粛に受け止め、まずは業績拡大の経営にしっかりと努めて株価を向上させ、投資家の期待に応えられるよう取り組んでいきたい。
―成長戦略として他業種への進出を考えているとのことだが、勝ち筋としては、ビッグデータを用いる現在の基幹システム「OLG(オルグ)」の活用を水平展開するのか
基本的にはそのように考えている。各社で攻め方は異なるが、当社では、1人のキャリアアドバイザーが面談もしながら営業もする一気通貫型ではなく、分業制でシステムをつないで勝ち上がってくる仕組みを作ってきた。他業種であっても基本的にはシステムを通じて生産性をいかに上げていくのかというアプローチで進めたい。
―他業種への進出について、どのような業種を想定しているのか。
まずはIT 業界での CTO(Chief Technology Officer)クラスのハイレイヤー層(年収800~1300万円)を開拓していきたい。そこが成長戦略の1丁目1番地となる。それ以降に関しては例えば、士業や金融も考えられる。
―ハイクラス(年収1300万円以上)・ハイレイヤー層に力を入れて、仮にその領域を独占できるとすれば、売上にどの程度のインパクトがあるのか。この領域は採用がかなり難しく、どの企業も欲しい層で、なかなか難しいのではないのか
即答は難しいが、当社の今期の着地が97億円になってくるので、同等か少なく見積もっても半分程度の売上をさらに上積みできるぐらいのインパクトはあるのではないか。
―何年程度でこの領域を攻めていくのか
この1~2年でしっかりと参入してシェアを獲得したい。
―ハイレイヤー層への参入は、既存のサービスを強化する形になるのか、それとも新しいプラットフォームを立ち上げるのか
既存のサービスを強化していく。現在もハイレイヤー層は手掛けていて、売上シェアは10%強になっている。この1~2年の間で10%強まで上がっていて徐々にシフトしている状態でもあり、そこにリソースを割いて、より高い目標値を設定して開拓していくという意味合いで捉えてもらいたい。
―上場後の投資計画について
今回、売出のみでIPOをした。足元では潤沢なキャッシュフローがあり、大規模の投資は当面必要ないと見ている。我々が手掛けているIT人材の中堅層(年収400~800万円)はTAM(Total Addressable Market)が非常に大きく、当社のシェアもまだまだだと思っている。IPO後も引き続きこれまで手掛けてきた中堅層の市場を開拓でき、売上を年々積み上げていける余地がある。それをベースに、ハイレイヤー層も進めていく。
ハイレイヤー層に関しては、あくまでもギークリーのサービスブランドのなかでターゲットとして広げていくやり方を考えているので、大規模投資は必要ない。今のところ調達はなしでも構わないため公募ゼロとなっている。
―2026年5月期に国内有数のeスポーツチームであるZETA DIVISIONとのスポンサー契約を新規に締結し、関連施策の展開で、広告宣伝費を削減するとのことだが、どのようなターゲットを意識した広告施策なのか
ZETA DIVISIONとのスポンサードに関しては、中堅層のエンジニアをターゲットとしている。もちろんゲーム系の人材をターゲットにしているが、IT人材がどこにいるのかを常にマーケティング施策として探していて、オンラインゲーム、eスポーツゲームと非常に相性が良いのではないかという仮説のもとでZETA DIVISIONと一緒にマーケティングしている。多くのエンジニアがeスポーツゲームに参戦し、観戦しており、足元では非常に良い認知が取れている。投資対効果としては今のところ非常にうまくいっている。
―これまでの交通広告などは求人企業に対する訴求である一方、新しい施策は求職者の集客に重点を置くものなのか
テレビ CM・交通広告も求職者をターゲットにしている側面はあり、ZETA DIVISIONとの取り組みは完全な求職者狙いとなる。交通広告・テレビCMは7年間続けており、テレビCMは年間4回以上実施している。違った手法で我々がリーチできていない求職者にリーチしていく狙いから、ZETA DIVISIONとの取り組みを始めた。
―新規上場企業として、投資家に注目してほしいポイントは
投資家が今、一番気になっているのは AI との相性だと思っている。AIによってエンジニアが不要になるのではないかという論調も年明けから加速していて、ほかのソフトウェア企業の株価にも影響がある状態という認識を皆が持っているのではないか。
AIの普及によって、この後ITエンジニアの市況がどうなっていくのか最も気になっているが、私の見立てとしては、非常にポジティブに捉えている。IT を駆使することによって、企業はAIや既存のシステム開発にさらにアグレッシブになると見ており、今まで以上に高度なシステムエンジニアリングの要件を組める人材などが求められてくるはずだ。これが、我々がハイレイヤーを攻めていきたい理由だ。
要件が高度化・複雑化してくると、企業は自前で人材採用を手掛けることが難しくなってくる。それが追い風となって我々のようなエージェントにその役が回ってくると思っている。
AIによって売上が落ちるのではなく、むしろアップにつながるきっかけになるのではないかと考えているので、これを投資家に訴求していきたい。それよりも前にしっかりと売上・利益で示してアピールしていきたい。
[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]
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