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上場会見:LIFE CREATE<352A>、女性特化、直営でフィットネス拡大

24日、LIFE CREATEが東証グロースに上場した。初値は公開価格の1250円を2.4%上回る1280円を付け、1250円で引けた。女性をターゲットにしたホットヨガスタジオやピラティススタジオなどを展開しており、全国で直営の店舗を運営している。前川彩香社長が東京証券取引所で記者会見を行った。

直営店舗数の拡大など成長戦略について話す前川社長

―20代で起業した時と、上場に際しての思いを
1号店を始めた時は、友人が自分の人生を失っていたり、自信がなかったり、あまり幸せな状態ではなかった。彼女たちが輝ける場所、自信をつけられる場所を作りたいという思いから1号店を開いて起業した。その思いは顧客に伝わり、彼女らの人生も変化してきた。日本を変えるべく、このような場所を広げ、女性の自己肯定感を作っていこうとスタートした。上場したが、今も変わらず、より発信力をつけ、日本を変えていく力になるのではないか。社員全員で思いをどんどん伝え、成長していきたい。

―コロナ禍を経験し、ほかのフィットネス企業が上場しているなかで、なぜこのタイミングになり、どのような思いで上場に臨まれたのか
上場しようしていたが、準備している最中にコロナ禍が来た。結果、コロナ禍が明け、成長期でしっかりと資金調達をすることも含め、このタイミングになった。

―トランプ政権の影響で株価が非常に荒れているなか、初値が公開価格を若干上回ったが、初値あるいは市場についての感想は
清水敬太CFO:非常に難しい局面だったのは事実だと思うが、基本的には投資家から、当社の事業の本質的な強みや将来の成長性を強く評価されていた。そこをしっかりと証券会社とも話したうえで、マーケットに配慮するという過程で、目論見書価格からは(仮条件を)少し下げた。その結果、上限でプライシングができ、公開価格を上回る形で初値が付いた。マーケットと良い対話をした結果だと思う。

 

―成長率や利益率が高く、新規出店に対して投資回収のサイクルも早いが、会員がつかないと店自体も回らないだろう。集客面において、独自の取り組みなどはあるか
前川社長:ホットヨガを64店舗出店したため、どれぐらいの商圏に出店すると、どれぐらいの会員が来るのかを、データとして読み込める。また、ピラティス市場が拡大しているところで、打てば響くという感じである程度の顧客がピラティスを探している。店を出せば、しっかり集客ができる。

「ほかの会社もそれはできるよね」ということだが、転勤が必要な場所に新規出店して、そこに社員がついてくるかというと、それは(他社では)なかなかできない。全国のニーズがある場所で出店できるのは人の力であり、出店が1つの集客だ。なおかつエンゲージメントの高い社員がいることから、来てくれる顧客をしっかりと捕まえることができるので、高い入会率と、クオリティをしっかり担保できる継続率が、売上の安定、あるいは利益になっている。

―1番の成長戦略は出店の強化だと思うが、運営はすべて直営店だ。ほかの方法で出店のスピードを上げていく考えはあるか
フランチャイズ(FC)などは全く考えていない。直営でFC並みの出店ができるところが、我々の強みだ。採用力があり、人を育成でき、資金を調達できることから、利益率の観点でも、直営が良いと判断している。出店ペースを加速できるだけの力を持っているのが、FCをやらない理由。そして、全社員が正社員でやっていくことが、しっかりとした営業成績やクオリティの担保につながると思うので、基本的には直営で変わらずやっていこうと思う。

―地方都市での自立型の出店形態と商業施設などでの出店であるモール型が、新しい強みになると思うが、今後どのような形態で出店していくのか
自立型とモール型はすでにホットヨガでやっている。イオンやドンキホーテ、ゆめタウンなど、様々なモールに出店実績があり、集客についても分かっているので、それを今度は「pilates K(ピラティスK)」で展開する。

―調達した資金を出店と物販に当てていくということだが、中長期でも構わないので出店は、いつまでにどれぐらいなどの目標はあるか
清水CFO:前年度が47店舗のうち45店舗がピラティスだ。このペースかプラスアルファ程度を、数年間は継続していきたい。具体的な店舗数は、決算発表が5月にあるので、そこで見通しを出したい。イメージとしてはプラスアルファで、45店舗を50なり、もう少し上乗せする。ほかのブランドでは、少数の出店を基本にしながら何年か継続する。また、今トライしているシニア向けのブランドは、上手くいった場合には出店を加速するかもしれない。

―トレンドを押さえて運営していると、流行に左右されてしまうところもあると思うが、対策や考えについて
前川社長:例えば、ヨガは何百年~1000年、ピラティスも200年ぐらいの歴史がある。この2つはトレンドというよりも、文化になって根付いているものだ。ホットヨガは日本で20年ぐらい経っているが、それでも我々の顧客の会員数は、微増で維持できているので、文化になっていると感じる。今、市場は大きくマシンピラティスによって拡大しているが、ピラティスもホットヨガと同じように息の長いエクササイズになると考える。

―2つの新規事業の位置付けについて
今までの事業はF1層(20~34歳の女性)、F2層(35~49歳の女性)がメインだ。シニア事業はF3層(50歳以上の女性)が基本ターゲットだが、入会から継続して、ブランドを変えながらも、我々のスタジオを長く使ってもらうために、F3層を伸ばしていきたい。また、当社は女性の社員が99%で、結婚しても子供を産んでも、シニア事業だと遅番がなかったり、日曜日は休みだったりするので、社員のLTV(LifeTime Value=生涯価値)も上げていくための事業として位置づけている。

「REDY’S GYM」に関しては、パーソナルトレーニングは料金が高いが、誰でも簡単に筋トレができる。また、グループで行うことから、最後までやりきることができる。パーソナルに金額が高くて通えない人たちがしっかりと筋トレできるような位置づけだ。

―女性経営者として上場し、表彰もされているが、それゆえの苦労はあるか。また、後に続く人へのメッセージはあるか
女性経営者で苦労したことは全くない。逆に注目してもらえたり、「自分を愛し、輝く女性を作る」というパーパスの女性向けのフィットネスなので、女性であることで、サービスやアイディアの発見に役立つ。また、私は子供を育てて、今年で22歳になるが、子育てをしながら仕事をするという社員の観点で発見がある。対外的にも女性経営者は逆に有利に働いてきたと思っている。

これから若手の女性経営者がどんどん出てくると思うが、大きなスケールで夢を描いてほしい。それができる土壌は日本にあると思うので、事業を拡大できる女性経営者が日本に出てきてほしい。

[キャピタルアイ・ニュース 北谷 梨夏]