17日、リスキルが東証グロースに上場した。初値は公開価格の3730円を29.8%上回る4840円を付け、4540円で引けた。2022年5月に設立し、企業を対象に研修サービスを提供する。日本にとどまらず、アジアへも展開を予定。松田航社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

ー研修の質の担保やプログラムの作成の力で、どういうノウハウがあるか
社内にコンテンツ作成人員を何人も抱え、1個1個のコンテンツを作成している。それに対してフィードバック体制を整えており、ビジネスファームのベテランのメンバーがそれを確認し、内容や調整の不足などがあれば説明し、社内で調整することで質を担保している。また、かなり多くの企業に使ってもらえているので、そのなかでもらった沢山のフィードバックを反映し、ブラッシュアップを重ねて行う。標準的なカリキュラムの改定を重ねて提供し、それを多くの人に使ってもらう。結果的にフィードバックを沢山もらえるので、質の担保はかなりうまく行っている。実際、(顧客から)5段階評価中4.7程度の評価を受けている。
ー最近特に注目を集めたり人気がある研修は
昨年はChatGPT研修が非常に盛り上がった。個人的にはあまり好きな研修ではなく、書けば出てくるから教えることが本当に少ない。もっと論理的なことを教えようと頑張っているが、使い方だけ教えてくれと言われることが多く、なかなか難しいケースではあったが、やはり人気はあった。今年度は、カスタマーハラスメントなどが1つのキーワードになってきている。条例が制定されていることもあり、カスタマーハラスメントという言葉が、徐々に広まってきている。
また、マイクロアグレッション研修を最近は提供している。これは自ら作ったというより、顧客から聞かれ、そのようなものが今流行りなのかと顧客からフィードバックをもらって提供に至った。こうしたケースが多い。マイクロアグレッションは悪気のない悪意。そのようなものを積極的に取り込み、すぐに研修として実現し、顧客にすぐ提供できるような状況を作るというこのサイクルの速さは、かなり社内的に担保できていると思う。
ー「一社研修」はビジネス講座のみか
「一社研修」はテクノロジー研修もビジネス研修も提供している。 投資家がかなり厳密性を求めていたので、顧客企業数推移の表を作成し、資料に掲載している。資料では30~40%顧客が増えているとしたが、実際にはもっと増えている。「一社研修」と公開講座、動画講座の3つの方式で提供している。このなかでbiz研修は「一社研修」が顧客からのニーズが大きく、割合的には1番大きい。公開講座と動画講座はまだまだ売り上げが些少であるので、開示情報からは省いている。biz研修の「一社研修」が顧客の伸びとしてはこれぐらいの割合と見ている。テクノロジー研修は、動画講座が売り上げ的には小さく、「一社研修」の公開講座が一定程度の売り上げになっているので、この2つに関しては合計して開示している。
ー「一社研修」も公開講座も動画講座も全てbiz研修でもやっているし、tech研修でもやっている
そうだ。
ー「一社研修」のみの方が高いのか
biz研修に関して、公開講座も動画講座も同じ程度の割合で成長していて、公開講座と動画講座の方が社数の伸びとしては大きい。ただ売り上げ的に小さいため、顧客企業数推移に入れると、KPIの設定として投資家が混乱をすると予測し、この2つを省いた形で「一社研修」を提示している。
ー動画よりもリアルの需要が伸びているということではないのか
全部伸びている。どれも50%以上。動画講座と公開講座に関してはもう少し高いと見ている。
ー世の中の需要的に動画編集の方が今後高まっていきそうだが
動画の売り上げ自体は市場シェア的にも多少伸びてきている部分はある。ただ動画講座を始めたのが2年前ぐらいなのでまだまだ売り上げが小さい。それ故に、2倍などの速度感で成長しているが、あくまでもそれは売上高が小さいからと捉えている。顧客に話を聞いても動画からの揺り戻しも、ある程度確認ができている。サブスクリプションしているが、なかなかうまくいかないから「一社研修」に戻していこうという話が結構多い。動画に流れが行っていると確信が持てるほどの感覚も研修市場のなかではなさそうだ。
ーアジア圏展開のターゲットは日系企業なのか、それとも現地の企業なのか。日本と違った課題やチャンスはあるか
ターゲットは現地の企業になる。日系企業は、既に受注をもらっていることもあり、国内で展開をしていけば問題はないので、海外にいるローカルの企業がターゲットになるが、それほど大きな課題は見つかっていない。いわゆる日本のビジネスマナー研修のようなものは売れないが、ロジカルシンキングやコンプライアンスなどはカタカナ用語であり、アメリカ産の輸入品。海外展開のときにこのようなサービスを実験的にマーケティングしており、顧客からの要望はラインケアやセルフケアなどが、しっかりと根強くある状況は確認できているので、大きな課題は見つかっていない。まだテストマーケティング段階なので、しっかり出た後に当たった課題に対応していきたい。
ーアジア圏以外にほかの国へ展開していく予定はあるか
アジア圏がかなり広く、インドまでアジア圏に含めているので、初めはアジアに集中する。これは日本のプレゼンスの問題もあり、ヨーロッパで日本の研修会社がどこまで受け入れられるか、若干の難易度の高さを感じている。ただ東南アジアやインドは、ある程度の日本に対する国としてのリスペクトを持っている感覚があり、マレーシアやシンガポールで営業していても、そのあたりの感触は掴んでいる。もうグローバルの会社で、日本の会社ではなくどこにも属していないといった状況になれば、ヨーロッパ圏への進出を考えていくが、ヨーロッパと米国はこのあたりのハードルはあると思う。
[キャピタルアイ・ニュース 北谷 梨夏]
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