26日、INGSが東証グロースに上場した。初値は公開価格の1940円を39.18%上回る2700円を付け、同価格で引けた。「らぁ麺はやし田」などを運営するラーメン事業と、ピザなどを主に提供する「CONA」や「焼売のジョー」といったレストラン事業を展開する。ラーメン店の開業に始まり、CONAに2011年にライセンス加盟し出店を推進。2018年にプロデュース部門を開始し、CONAのライセンサーであるキャンディーBOXを買収した。青柳誠希社長が東京証券取引所で上場会見を行った。
―初値が公開価格を大きく上回っているが、受け止めを聞きたい
初値が付いてほっとしている。良い初値が付いたと感じており、その分期待が大きいというのはあるので、期待を裏切らないように、会社をしっかり成長させていきたい。
―足元で飲食業が二極化しており、物価高で外食が控えられる一方、インバウンドの需要もあるだろうが、コロナ禍後の状況や今期・来期を見ての市場環境をどう見ているのか
コロナ禍が落ち着いてから売上は順調に伸び、直近ではコロナ前の状態に戻ったと見ている。加えて、インバウンドも徐々に増えており、その伸びには今後もう少し期待できるのではないか。物価高で値上げも考えなければならないが、売上としては順調に推移していくと考えている。
―意識する競合は
特にラーメンでは、ギフトホールディングス<9279>が直営店とプロデュースという形で運営しており、多ブランド展開している面でも、当社とかなり近いと思う。ラーメンの業界でもかなり先頭を走っている会社なので、競合はギフトHDと考えている。
レストランでは、低価格で展開している串カツ田中ホールディングス<3547>とNATTY SWANKYホールディングス<7674>、エターナルホスピタリティグループ<3193>がベンチマークとしている企業だ。
―焼売の事業に着目した小売・飲食の上場企業はあまりない印象だが、どのような狙いがあって進出したのか
CONAを1都3県を中心に展開していて、店舗数がある程度増えていくなかで物件のカニバリゼーションもあり、そのなかでCONA同様に当社の得意な広さで、同じオペレーションでできる業態を開発しようということでいろいろ考え、「焼売のジョー」というブランドが生まれた。
世間では餃子がブームであったなかで、焼売は名物にはなっていないが、嫌いな人が誰もいないというのが1つ。また、焼売は蒸して調理するので、調理機器に入れてしまえば勝手に調理してくれるオペレーション上の優位性を感じていた。当社は店舗展開を見据えてブランドを作るので、そういう意味で今までありそうでなかった焼売に目を向け、かつオペレーションの良いものをということで焼売酒場を作ることにした。
―CONAもそうだが小麦粉を使うものなので、原材料の供給や物流などでシナジーがあるのか
現状、各ブランドでシナジーが大きく生まれているかというと、まだまだというのはあるが、肉や魚といった価格変動が大きいものに比べて、当社の業態は麺やピザ、焼売で、安定している食材を使っているので、原材料の高騰にあまり左右されず、店舗展開しやすい。
―飲食業界は人出不足だが、タレントプールを形成することで、出戻りというか再び働いてもらう施策を打っているとのことだが、その実効性や成果は
実効性がとても高いかというと、これからの部分があるが、人材不足のなかであらゆることをしなければならない状況ではあるので、タレントプールのなかから出戻りの人も積極的に採用しているし、アルバイトからの社員登用は直近1年間では15人近い。あらゆる手段を使って採用を強化している。
―長期的に直営で200、合計で500店舗を出店戦略としているが、どれぐらいの時間軸で見ているのか
いつまでというのは断言しにくいが、今後数年をかけて直営店は、ラーメンとレストランで各12店舗ずつ、月に1店舗のペースで直営店を出店したい。加盟店は、この数年をかけて年間30件を超える新規出店をしたい。直営店と加盟店を合わせて毎年50店舗以上出店できる体制をこの数年で作っていく。
―最近、クリエイト・レストランツ・ホールディングスが、「えびそば一幻」の一幻フードカンパニーを買収するという話があったが、今後、アライアンスでもM&Aでも、外部の力を入れて成長していく考えは
大きなM&Aを成長戦略にしていこうという考えは特別ないが、例えば、当社も好立地に展開していくのが得意な会社なので、良いブランドであればM&Aで引き継いで伸ばしていくことはあるのではないか。
―この業界はM&Aが多い気がするがこれまではどうで、今後はどうか
2018年に当社が加盟していたCONAというブランドの本部を買収したが、それは当社がその加盟店中で加盟数が最多ということもあり、その時の当社にとっては大きなM&Aだった。
店舗を展開していくのが当社の1番の得意なところなので、例えば、当社は海外には手を出せていないなかで、海外で展開しているラーメン店と一緒に組んで、海外展開をスタートすることもありかと思う。また、良いブランド、当社が一緒になることで店舗を展開でき、成長できるようなブランドを作れるのであれば、積極的にM&Aも考えていきたい。
―株主優待は
できるだけ早いタイミングで定期的に行いたい。今後成長するための資金を内部留保しなければならないので、配当はじっくり考えていきたい。
[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]
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