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上場会見:ビーエイブル<604A>、廃炉技術を水平展開

29日、ビーエイブルが東証スタンダード市場に上場した。公開価格の700円を45.14%上回る1016円の初値を付け、1316円で引けた。佐藤順英社長と神谷均CFOが東京証券取引所で上場会見を行った。

現場の作業をロボット化するなど、「現場を科学する」ことで技術と現場力を組み合わせ、高難易度の作業にアイディアを出してチャレンジしていく姿勢が優位性となっていると話す佐藤社長

―IPOで投資家と対面した際の印象を聞きたい
投資家から言われたのは廃炉事業の「成長性はどうか」ということ。我々としては、やることがいっぱいあるので、十分な成長性があると見ているが、具体的に示すことが難しい。

実際の予算の枠も、我々にとっては非常に大きなお金だが、当社はまだその2~3%しか手掛けていないので、そのパーセンテージを10%ぐらいまで上げることを具体的に示すのが難しかった。事業の内容が複雑で、あまり詳細に話せない部分もあったので、そこで苦労した。投資家にとっては、そういったところが見えなかったのではないか。

―廃炉の必要に駆られて事業が拡大してきた側面があるが、上場すると株主の目もあり稼がなければならない。収益のバランスは
当社の社是は“利他”で、人のために尽くすことなので、大事なお金を出してくれている顧客・株主を裏切るわけにはいかないし、凄く喜んでもらいたいと当社の全社員が思っている。

そのなかで利益を出していくには、広報や、社内での経費をどのように最小にしていくかということ。売上高は“お役立ち高”だと思っているので、廃炉に関しても、地域に関しても、どれだけ当社が役に立っているかが売り上げになるので、なるべく無駄のないようにして、利益が貢献度だと思っている。経営をなるべくスリム化したり自動化したり、管理部門をもう少し、AIのClaudeなどを使い、その人にまた別のほうで活躍してもらうといったことを、早速8月以降にチャレンジしていく予定だ。

―会社の規模は大きくないほうだろうが、どのように拡大し、ガバナンスを強化していくのか
全国の原子力発電所の廃炉を含めたメンテナンスと再エネを展開していくために、規模はそれなりに大きくなっていくと考えているので、それに追従したガバナンスやコンプライアンスで、これを契機にもっと上を目指していきたい。

―廃炉事業は息が長いが、当面のスケジュールや次の課題、何年後にどんな課題があるのか
規模を大きくしていくためには、全国的にそれなりの体制を取っていかなければならない。そういった組織をこれから作って、しっかりとした安全や品質管理を保てる体制を取って、全国展開の地盤を固め、5年後ぐらいには安定したものを作りたい。10年後には、(IPOで)コンプスとして比較された会社ぐらいにはなりたい。

―原発再稼働に関する事業での強みは何か。事業拡大の余地は
原発はBWR(Boiling Water Reactor、沸騰水型原子炉)とPWR(Pressurized Water Reactor、加圧水型原子炉)の2種類があり、当社はBWRを主としてメンテナンスしている。福島第1原発の原子炉はBWRという事故を起こしたタイプなので、関西電力のPWRとはタイプが違って、ずっと再稼働していなかったが、いよいよ再稼働が始まってきた。

当社はBWRの、しかも原子炉に付いている特殊な機器などのメンテナンスを非常に得意としているが、この15年ずっと動いていなかったので、撤退している会社が多い。当社はずっとメンバーが残って、今回の島根原発もそうだが、原子炉の点検を行ってきた。当社でなければなかなかできない特殊な部分には必ず注文が来ると思う。

―福島県双葉町での研究開発センター建設に関連して。国内での廃炉ビジネスの拡大への期待を込めてのセンターだろうが、狙いと廃炉ビジネス拡大への期待について改めて聞きたい
廃炉はこうしなければならないとか、こうするというやり方は決まっていないので、都度考えて、それに対するロボットや工法が必要となる。そういったものを双葉の研究開発センターで試作・検証して、現場に持ち込む。

その向かいに「東日本大震災・原子力災害伝承館」があり、そこに多くの学生が見学に来る。廃炉で使っているロボットを展示し、操作してみたりする場所にもしながら、将来、技術者に興味を持ってもらえたら良いという狙いがある。

廃炉の技術を応用して、JRと新幹線の(防音壁)を自動で清掃することも一緒に開発しているので、そういったことも含めて廃炉をベースにしながら、そのほかのことへの応用も考えていきたい。

―福島県の浜通りでは福島イノベーション・コースト構想などの形で廃炉やロボット技術の産業集積を目指しているが、そういった背景もありながら、この拠点を通じて他分野に応用できるロボットや自動化技術の開発を目指すのか
その通りだ。

―将来的に手掛けていきたいSMR(Small Modular Reactor、小型モジュール炉)が量産化の段階になると、メンテナンスが大型炉に対するものよりも簡素になると想定する、そうすると受注案件の数を追うようになるのではないか。どのような戦略で受注していくイメージなのか
IHI<7013>が原子炉を製造し、当社にも出資している。IHIが受注したものに対して、定期検査が必要になる。原子炉のどういったところを主眼に点検が必要になるかをIHIに教えてもらいながら、「こういうのを自動化した装置ができる」ということを議論しながら一緒に開発している。

―上場前にIHIが資本参加し、上場に合わせてクラフティア<1959>が親引けで株式を保有する。大手企業や外部との資本関係はこれからも広がるのか。また、どんな投資家を株主として期待しているのか
IHIはいろいろな技術を持っているので、当社は、現場力で、現場の作業的なロボティクスやフィジカルで解決していくが、エンジニアリング的なことは、当社は追い付かないのでIHIのエンジニア力を借りて廃炉をより加速化していこうと協業することになっている。

親引け先のクラフティアに関しては、上場前に九州電力の子会社の担当者が当社を見にきて、九州電力もどんどんクリエイティブに改革していかなければならないということで「できれば技術交流をしましょう」という話にもなっていた。その間を取り持ってくれたのがクラフティアだった。今回、クラフティアとも技術的な交流をして、九州電力とも交流していきたいということで親引け先となった。

そのほかの電力会社も、親引け先にという話があったが、ルールが難しく、期間もなく叶わなかったところがあるが、上場後は考えてもらえるかもしれない。

―海外投資家からのアプローチもあるかもしれないが、株主構成をどう考えているのか
先ほど私が言ったような会社を中心にしており、海外はまだ先だろう。

神谷均CFO:国内の投資家としっかりした関係を構築することに当面は注力したい。将来的には、SMRが海外で主流になりつつある状況を考えると、当社も海外展開を視野に入れなければならないので、この先そうしたステージに向かって動き出したい。

―2026年7月期の配当は20円だが、配当は今回が初めてか
佐藤社長:今回が初めてで、最低で20円という考えだ。

―今後の株主還元の考え方は
利益が出て連動的に配当が増えれば良いとは思うが、1回増やすと利益が落ちた時になかなか下げられないので、例えば、記念配当のような形で少しでも出た分は還元していきたい。

―秋田県鹿角市の尾去沢鉱山で実現可能性調査を進めているBCP(事業継続計画)データセンターは、あくまでもBCP向けを想定しているのか。それとも、電源の問題は別としてAIデータセンターのようなものに発展する可能性があるのか
今のところはBCPをメインにしている。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]