22日、SQUEEZEが東証グロース市場に上場した。公開価格の3110円を4.50%上回る3250円の初値を付け、3195円で引けた。舘林真一CEOが東京証券取引所で上場会見を行った。
―初値の受け止めは
舘林CEO:しっかり取引されていると思う。売買代金も含めて順調なスタート。

―2026年度12月期予想の最終時純利益がマイナスになっているのは
安養寺鉄彦CFO:2025年12月期は繰延税金資産の計上(税効果会計)が大きく、利益に対してプラスに働いた。2026年12月期はその反動減を見込んでいる。一方で、営業利益や経常利益はしっかり伸びていく予想だ。
―2027年12月期以降の成長見込みについて
舘林CEO:企画業務から参画していくことが多いため、先々が比較的見えやすい。その強みを活かし、今後も売上と利益のコントロールをしながら成長していきたい。
―単一セグメントだが、システムとホテル運営事業、それぞれを切り分けた見通しは
当社は、純粋なSaaS企業でもなければ、単なる運営会社でもない。その理由は、独自のプラットフォーム「suitebook」を活用したシステム提供から、実務的なオペレーション支援、さらにはハウスキーピングまでも提供できるからだ。
こうした業務の性質上、セグメントを分けてしまうと、かえってミスリーディングとなる恐れがある。我々はこの総合力で、顧客に対してどのようなエンタープライズのサービスを提供できるかを指標としている。この統合的なプラットフォームが我々の強みであるため、基本的にはセグメント別の開示は行っていない。
システムだけで解決できない課題に対し、オペレーションという付加価値を組み合わせることで利益率を底上げしていく。事業全体を一貫したものとして捉えてもらいたい。
―本店を北海道・北広島に構えているが、上場により認知度を高めるなかで、今後はどのエリアを重点的に展開していくのか。また、他地域でも同様に地域の課題解決を軸とした計画などがあるのか
ホームページでも公開している通り、全国各地でホテルの支援や運営を担っており、今後も幅広く展開していきたい。日本の観光におけるインバウンド需要を取り込みつつ、地方創生に寄与する事業を行っていく。
今、北広島では面白いことが起きており、ぜひ皆さんにも現地へ足を運んでいただきたい。北海道日本ハムファイターズやエスコン、北広島市が連携して、魅力的な街になっている。
2023年に「エスコンフィールドHOKKAIDO」が誕生し、昨年は約450万人が来場した。私は北海道旭川市の出身だが、北広島駅は一度も降りたことがなかった。このスポーツを核とした街づくりや、駅前の再開発をエスコンと共に手掛け、商業施設を併設した大規模なシティホテルや、球場内の「tower eleven hotel」の温泉・サウナの運営をしている。さらにファイターズとは、この集客力を活かして地域のホテルへチケットと合わせて送客する、OTA(オンライントラベルエージェント)事業などの新しい試みも一緒に行っている。
我々のブランドの「Minn」も出店したが、このようにユニークな街づくりが行われるなかで、観光・ホテル領域で貢献できることは多いと考えている。この北広島で観光ホテルセクターとして、どういった役割を担えるかをしっかり追求し、日本を代表する地域事例にしたい。実際、現在多くの自治体から視察が相次いでいる。
この地に拠点を置き、採用活動も強化しながら、世界に誇れる街づくりのモデルケースを作ることに全力を注ぎたい。事例を1つ作ることで、ほかの自治体からも連携について声をかけてもらえる。そういったことが、北広島にいる理由だ。
ローカルとグローバルというテーマを心掛け、地域に強いインパクトを与え、それを世界に発信していきたいと考えている。フルサービスの運営を手掛けているのは主要都市が中心だが、「suitebook」というソリューションは、様々な地域のホテルチェーンに提供しているため、今後も幅広くサービスを届けられると確信している。
―クラウド運営が可能な事業形態だが、北広島の拠点にこだわる理由は
地域に還元していくには、事業だけ伸ばす運営だけでなく、その地域の雇用を創出することが何よりも大事だ。運営している北広島のホテルでも地元の学生やフルタイムの従業員がいるが、地元で大きく成長していくスタートアップはあまり例がない。それに対して、北広島市に拠点を置くスタートアップとして、「日本や世界へ展開できるサービスを作ることができる」。そういった企業が必要と考えている。これらの理由から、本店を東京から移転した。
―マネジメント・コントラクト(運営受託)かシステム提供か、上場で調達した資金も含めてどちらに投資していくのか
新規上場の意義については、財務の質を上げていくことが第1だ。そして、もう1つは、テクノロジーによるホテル業界のアップデートにある。
ホテルを利用する際に紙に記載してチェックインするケースが見受けられるなど、ホテル業界には依然として改善の余地が多く残されている。業界全体に一石を投じるにはテクノロジーの浸透が不可欠であり、AIなどへの投資が重要と見ている。
我々は、鉄道会社や大手不動産などと提携し大規模な事業を作り上げているため、運営企業かシステムベンダーかといったことではなく、今後も独自の取り組みで展開していく。
―IP(知的財産)コンテンツを活用したホテル展開について具体的には
この場での公表は難しいが、多くの企業がIPの活用を検討しており、強いニーズを感じている。例えば、IPホルダーが不動産を取得し、その事業を共同で展開するといった動きが今後予想される。これまでホテル業界ではコンテンツの活用が十分に行われてこなかったが、今後はこうした面白い取り組みが立ち上がってくると見ている。
―上場の鐘を鳴らしたときの気持ちは
創業して12年目だが、新たなスタートラインだと思っている。鐘は、スタートの鐘という気持ちで鳴らした。ここから先、太く長く走って、業界にしっかりとインパクトを出していきたい。そういう意味では、まだ助走・序章で、今日ようやくパブリックカンパニーとしてのスタートラインに立てた。コロナや民泊新法、レギュレーションの変化などで2回ぐらい死にそうになっているが、多くの人に支えられながら乗り越えて、今、ここにいられることは感慨深い。
安養寺CFO:舘林も述べている通り、上場に対して浮かれた気持ちはなく、ここからがスタートで、これから何をやっていくかのほうが重要だ。また、パブリックカンパニーになることで責任も大きくなる。投資家や株主に我々を認めてもらい、見守ってもらえるような社会責任を果たしていき、成長という形で恩返しする。
[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 紫乃]
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