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上場会見:Jファーマ<520A>、胆道ガン治療薬、信頼される日本のバイオへ

25日、ジェイファーマが東証グロース市場に上場した。公開価格の880円を8.07%下回る809円の初値を付け、700円で引けた。吉武益広社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

副作用の少ない患者に寄り添う抗がん剤を目指すと説明する吉武社長

―初値の受け止めは
吉武社長:STOCKVOICEで値段が下がっていくのを見て、心が潰れるような気持ちだった。また、今回40件ぐらいの機関投資家に会い痛切に感じたのは、日本のバイオベンチャーは信じられていないということだった。ただ、それを私達は覆したいと考えている。

―日本での評判が悪いバイオベンチャーが日本で上場する意味は
私達も何度もナスダック上場を考えた。私も、30年以上米国に住んでいたことがあり、ナスダックであれば、日本とは比較にならない規模の資金が集められるのは確かだ。しかし、そのためには米国の厳しいガバナンス体制や情報開示に耐え得る組織を作らねばならず、多くの米国人を雇用する必要がある。そうなってくると、予算が合わない。かつての部下が私より遥かに高い給料をもらっており、昨今の円安も重なり、自力で米国へ進出するのは難しいと考え、日本での上場を決めた。

結果として、今回のIPOでは機関投資家の8割強が海外となり、欧州や香港の複数の投資家から出資してもらい、中東情勢が悪化する厳しいマーケット環境でも上場できた。香港に来てはどうかという声もあったが、日本で生まれたシーズを日本人が育て上げ、そして日本発の創薬ベンチャーとして薬を世に送り出すことが、これまで支援してくれた人たちや、新たに投資してくれる人たちへの恩返しになると我々は信じている。

上場したことによって、例えば、米国での子会社設立やスピンアウトなどといった選択肢が増えてくるとは思うので、チャンスがあればそういったことも想定してはいく。ただ、まずはフェーズ3のパートAを実施するために、どうしてもあと26億円ほどが必要だった。これを集めれば、私たちは本当の意味でグローバルな製薬会社の仲間入りができる。そのための最後の資金調達を日本でしたというのが現実だ。

―2024年6月以降に調達した約57億円と今回の資金で、ナンブランラトのフェーズ3とJPH034のフェーズ1を完了するのか
これまで集めた資金の残りと今回調達した約26億円を加えて、私どもの臨床プログラムを動かしていく。フェーズ3に関しては、パートA、パートBと分かれており、パートAでは、FDA(米食品医薬品局)のリクエストにより、もう一度米国人に最適な用法・用量でしっかりと比較してほしいという要望があった。

日本のデータだけでなく、米国のデータも組み込んだ形にするため、約120人の患者に実施する。日本で既に110人以上の実績があり、トータル200人強の試験で立証できれば、どの製薬会社からも「嘘ではない。これは絶対次にいける」と信頼してもらえる。

パートBについては、日本や韓国、米国、欧州の5~6ヵ国で一斉に並行して進める予定だが、一緒にやろうと手を挙げてくれた製薬会社やバイオテック企業が数社ある。ただ、彼らもパートAのデータを見たいと考えていて、並走しながら、秘密保持契約の基で情報を開示して進めていく方針だ。このパートAまでの費用が、今回の資金のなかに含まれている。

また、JPH034のフェーズ1については、今日に至るまでAMED(日本医療研究開発機構)の潤沢な資金で全てを賄ってきた。今年の暮れまでにかかるフェーズ1の残りの資金については、自分たちで出す予定。もう1つ、私達のナンブランラトは、Immune Checkpoint Inhibitor(免疫チェックポイント阻害薬)と高い相乗効果がある。これは私達のデータだけでなく、中国の先生が既にパブリケーション(論文化)していて、米国の大腸ガンの先生も発表はしていないが立証している。

そうした背景もあり、向こう側から「一緒にやりたい」と言ってきた。普通の製薬会社と比べて10分の1ほどの経費でここまでやってこられたのは、様々な先生の援助や、日本や米国の補助金システムのおかげと考えている。

―MS(多発性硬化症)についてはどうか。早期段階での導出もありうるか
最近のサノフィやヤンセンファーマの事例を見ると、比較的早い時期に導入が決まっており、そこには4つのキーポイントがあると見ている。1つ目はユニークな誰もやっていないようなメカニズムであること。2つ目はメカニズムが病気に関連していて、その病気のパソジェネシス(病気が起こる過程)のなかに原因が含まれているということ。3つ目は薬が高濃度で脳へ到達すること。4つ目がフェーズ1での安全性だ。

MSは半分以上が女性患者で、先週の日曜日から米国での健常者への投与が始まった。既に女性の被験者が入ってきているので、日本ではこういうことができないというのもあり、米国でのフェーズ1を、米国市場の西洋人の母集団(ターゲット層)に合わせて行う。

この4要素があれば、サノフィやヤンセンファーマも導入している。我々は2つ目のエレメントで、フィンランドの医師と、MSの患者で頭のなかに我々の薬剤のターゲットが存在していることを実証し、パブリケーションしようとしている。パブリケーションが合わされば、早い段階でも JPH034は導出できると考えている。

―胆道ガンは早い段階でやり切ると話したが、MSについては
MSは市場が大きく、2000人規模の臨床試験をしないと承認されず、3~5年の期間が必要。そのため、早期に大手製薬会社と組むのが得策と考えている。一方で、我々はLAT1が関与しているほかの中枢疾患を現時点で見つけており、それに関しては、ショートカットを狙うような形を視野に入れている。

―ナンブランラトの承認申請はいつか
藤本裕CFO:パートAが2年間のため、2028年3月期になる。承認申請は今から4、5年間フェーズ3が続くため、2031年3月期頃。

吉武社長:承認までの期間、全く収入がないというわけではなくて、パートAが終わりライセンスアウトができれば、それ相応の頭金が入り次の資金に回せる予定だ。

―藤本CFOに上場に際しての思いを伺いたい

ジェイファーマの魅力について語る藤本CFO

藤本CFO:私は2年半ほど前にジェイファーマに入った。当時は起業家として自分の会社を経営していたが、この会社の魅力にすっかり引き込まれた。代表の吉武が説明した通り、日本発の技術で、日本で育てたプロダクトが年間売上10億ドルを目指せるようなブロックバスターのプロジェクトというのは、医薬品に限らずそうあるものではない。

技術だけでなく、チームを率いる吉武のこれまでの実績や人脈、そして将来性に惹かれ、そこに私自身もぜひ参加したいと思い2年半前に合流した。目論見書を見てもらえれば分かる通り、私個人としても相当な額(2.9億円)を出資している。

それだけこのジェイファーマに賭け、この2年半を全力で走ってきて、今日という大きな節目を迎えられたことに、心から安堵している。ただ、株価については、まだ市場に信じてもらえていない状況であり、これからさらに良い事業を推進し、海外で着実にデータを出していく。そして、その成果をしっかりと開示することで、みんなに確信を持ってもらえる段階まで何とか持っていきたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 紫乃]