30日、ネイスが東証グロース市場に上場した。公開価格の1320円を11.82%上回る1476円の初値を付け、1776円で引けた。南友介社長と田島幸樹CFOが東京証券取引所で上場会見を行った。

―初値の受け止めは
予想以上に投資家に期待されているのではないか。期待が高い一方で、それを超えていくために、事業をしっかり成長させていきたい。
―習い事市場が横ばいで推移していくことについて、どう分析しているのか
大きな目線では、少子化の波は進んでいく。ただ、我々の体操教室は、マーケットを作っている状況なので、子供が減っているが供給が追いついていない。向こう10年、少なくとも1000店以上の出店は可能と見ている。
田島CFO:少子化は間違いなく進展しており、今後もしていく。足元では1人の子供に使うお金が増えていると分析している。今の子供たちは週3~4日で習い事に行くので、昔と比べると、かけるお金は増えている。ただし、それが週7になるかといえば必ずしもそうではない。
―習い事のランキング1位が水泳だが、2位の体操はどう肉薄していくのか
南社長:スイミング教室に恨みがあるわけでは全くないが、体操が1位でないのは、拠点数が圧倒的に少ないからだ。イニシャルやランニングコストがかかるスイミング教室が7000近くあるのに対して、体操教室はまだ千数百しかない。
今までに体操教室のチェーンがなかった理由は、体操教室の先生をどうやって作っていけば良いのか、なかなかうまくいかなかったことで、教室が少なく、2位に甘んじている。我々のような体操教室はショッピングセンターにも入れるので、もっとポピュラーな習い事として作っていける。きっと5 年後に「あ、南が言っていたように1位になっているな」となるのを楽しみにしていてほしい。
―直営とフランチャイズ (FC)の既存店の売上動向は
直営が約3割、FCが約7割になっている。
田島CFO:会員数ベースでは、直営とFCの既存店は前年同月比123%前後で推移している。既存店もしっかり伸びている。
―FC契約の期間は5年間だが更新状況は。また、どのような業種の企業が加盟しているのか
南社長:FCは5 年契約で自動更新となっている。新規の加盟社も非常に重要ではあるが、既存の加盟社に、非常に重心を重く置き、いかに増店するかを非常に重要な指標としている。
FC加盟社がしっかりと運営して利益を出して、その結果がリピートでの増店となる。1社当たりの運営店舗数は年々伸びている。既存の加盟社がどんどん増店しているので、質問に含まれる懸念としては、(契約期間満了で)一旦終わってしまうのではないかとのことだろうが、どんどんリピートしてもらえる状態なので、これからも既存加盟社が増店していくと見ている。
業種については様々で、法人で、第2の柱、新規事業としてネイスを選ぶ加盟社がほとんどだ。規模では、大手企業や上場会社といった候補先もある。一方で、地場に根付いて長く運営し、2代目や3代目の代表者が「地域に根差して事業を」と考える加盟社も多く、割合としては大手企業よりも多い。
―カニバリゼーションについては
まだ出店余地がある。例えば、埼玉県川口市が創業の地で、市内だけで我々の体操教室は5店舗ある。発達支援事業は川口市だけでも3店舗ある。体操教室はあと2~3店オープンできると見ている。カニバリが少し起きるのがドミナント出店(達成)との境目だと思っている。子供向けの教室は小商圏なので、コンビニエンスストアのようにカニバリで出せなくなるのは1000店先の話なので、今はあまり心配していない。
田島CFO:過去にFC加盟店で更新しなかった例はないので、更新率は100%となっている。カニバリを防ぐ仕組みとして、我々は会員ビジネスであることから、その店舗の会員がどの程度の商圏から来ているか分かっている。次の出店で、従来の顧客が利用先を変えることを詳細に分析できるので、カニバリは起きないと想定している。
―530店舗の出店を目標にしているが、FCと直営の比率は
南社長:2割が直営で8割がFCと考えている。
―8割がFCとなると安全性をどう担保するか
直営とフランチャイズの講師の品質はどちらが高い低いとなってはならない。保護者にとっては基本的に(子供を通わせる店舗が)直営・FCかは分からないので、先生が良いパフォーマンスをしているかどうかは、数百人のインストラクター全てをバイネームでKPI管理している。
例えば、入会率がある。本部では常に、約 200店を死角がないようにモニタリングと録画を行っている。こういったものを見ながら、入会率が平均を若干下回る講師がいると、スーパーバイザーがパフォーマンスの良くない理由は何なのか、単にレッスンの技術がまだ足りていないのか、接客が弱いのかなどを分析し、研修を行う。
クレームの件数、体操をやっていると「突き指をした」など少なからず怪我が起こる、そういった件数などをしっかりグリップしながら、店舗を広げてもそうした(事故などの)件数が上がらない、あるいは(入会率などが)下がらないようにモニタリングしている。
―全国530店舗に出店した場合の業績はどうなるのか
売上高は直営店とFCの合算で約80億円を見込んでいる。
田島CFO:経常利益率は20%を目標としている。今期の着地もそれに近いものになるが、直営店からFCへの譲渡という取引もあったので、少しよく映っている部分もある。
―少子化を見据えた運動以外の文化系教室で、「自己管理」や「コミュニケーション」、「社会の仕組み」や「ルール」を“社会で生きていく力を身に付けるための4教科”として教える「ネイスMakes」の内容を見ると、体操とは違うものなので、指導者に求められるスキルも違うだろうが、人材の手当はどうなるのか
南社長:顧客が体操教室を卒業していくさらにその先にある事業だが、講師についても、体操の先生から卒業していく人を想定している。運動を教える先生は、平均年齢が非常に低い。30 歳を超えてくると、体力面などの辛さから退職する人もいる。
ただ、我々は接客業でもあるので、そこで培ったスキルを、登壇する形で生かしていけるのではないかと、体操の先生の次の活躍のステージと考えている。
―そうすると例えば、「社会の仕組み」の内容の1つとして金融教育などに関わる場合は、体操の先生は並行でリスキリングし、新しい知識を備えて、子どもに対して教えることになるのか
その通りで、先生に知識を付けてもらうことは必要だが、重要なのはカリキュラム、台本・教科書作りなので、当然ながら専門家の力を使いながら、我々の本部でしっかりする。一方で、それを授業として行っていく意味では、先生の研修が必要になる。
―最近では、フィットネスに VRや AR(Augmented Reality、拡張現実)、 MR(Mixed Reality、複合現実)といったデジタル技術を取り入れるケースもあるが、幼児体操では、そうした技術を取り入れる可能性はあるのか
可能性としてはある。デジタルかそうでないかよりも、子供がいかに「できた」と感じられるかどうか、自他ともに「できた」ところを認め合いながら、というのが、心が最も育つ瞬間なので、デジタルの分野でうまくなれるものがあれば、どんどん教室に取り入れていきたい。
―海外展開の際、規制や文化的なハードルは
いろいろな国で現地調査などを行った。その1つは、既に体操教室の業態がそもそも存在しているかどうかで、マレーシアでは既に存在している。ただ、我々のようなチェーン展開は、まだなされていない。習い事としては、ポピュラーなものだが、ASEANに展開していくなかで、各国のいろいろなところがあるだろう。
やはり、宗教上の違いがあり、特にイスラム教の人たちが多い国でもある。体に触れてはいけないなどいろいろな制約があるなかで。何度か現地でテストマーケティングを行うためにイベントを現地で開催した。体操教室の模擬レッスンを行って、女の子について、例えば、「体操の補助で体に触れるが大丈夫か」と聞くと、保護者は快諾してくれた。
現地に体操教室が習い事としてあることや、実際にイベントを実施して確かめていることから、宗教上のハードルは考えていない。日本と同様に展開していける。
―海外の体操教室に関して、日本のカリキュラムやメソッドとの違いはあるか
日本と同じカリキュラムでいく予定で、我々は受け入れてもらえると見ている。体操選手がやる器械体操と違って、体操教室は日本が結構進んでいる。
例えば、跳び箱は皆さん知っていると思うが、海外では、「何で日本人は箱を跳ぶのか」と言われる。跳び箱は、第一次世界大戦で、富国強兵の一環として壕を飛び越える練習で導入されたと言われていて、学習指導要領に入っている。おじいちゃんの世代から跳び箱は跳ぶものという考え方が我々にはある。
海外にはないが、箱を跳ぶことは身体的にも合理的で、走る、ジャンプする、手を突く、空中でバランスを取って着地するというように1回跳ぶだけで身体能力が物凄く上がる。マレーシアでも行ったが、こうしたことを丁寧に説明すると、びっくりされる。
これはマレーシアに限ったことだが、非常に親日なので、ジャパニーズエデュケーションに信頼感もあり、マレーシアでは日本とほぼ同じカリキュラムでやっていく。
―調達資金の具体的な使途の優先順位や、株主還元は
FC加盟社の出店は我々の資本によるものではないが、一部、直営店の出店がある。発達支援事業では、全てが直営なので、直営の出店資金に充てていく。上場という節目を迎えて、配当についても前向きに検討している。
―M&Aについて
可能性としてはある。体操教室に仲間になってもらうかどうかは、積極的にではないが、タイミングがあれば、もちろん御一緒したい。ただ、体操教室だけの軸に絞っているわけではない。
いかに行きたくなる場所である「サードプレイス」を作れるかが事業の軸で、中学生を対象に塾のような形で新規事業を始めるので、ひょっとしたら対象が塾になっていく。あるいは、子供の「できた」がより分かるようなデジタルの会社と御一緒するような計画もある。広い枠組みで検討している。
[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]
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